MONETが「マルチタスク車両」で進めるモビリティとデジタルが融合するMaaSの未来

横浜トヨペット株式会社は、2020年11月21日、神奈川県藤沢市に全く新しいコンセプトの店舗をオープンする。
『U-BASE 湘南』と名付けられたその店舗は、「あなたの個性を刺激する、クルマの遊び基地。」というテーマのもと、キャンピングカー、スポーツカーやSUVのカスタマイズ、アウトドアアイテムショップなどのゾーンや、アルファード専門の「ALPHARD SPECIALIST STORE」と、さまざまなコンセプトを詰め込んだ新業態の店舗だ。

  • 上がスポーツゾーン、2段目左がALPHARD SPECIALIST STORE、右がSUVゾーン、下はキャンプゾーンとアウトドアショップと、さまざまな個性的なエリアが用意されている

その一角には、ネクストモビリティゾーンという、水素を主な燃料とするMIRAIやEV車両の提案に加え、未来のモビリティの可能性を体感できるエリアが設けられている。

そこに、展示される車両の一つに、MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)株式会社が手掛けるMaaS(Mobility as a Service)向けの架装車両「マルチタスク車両」がある。その車両にはどのような架装が施され、またモビリティの未来に対してどのような立ち位置のものであるのかを、MONET Technologiesの柴尾嘉秀氏と、車両開発を手掛けた森下久弥氏にうかがった。

  • MaaS向けの架装車両や架装キットを提供する「MONET MaaSコンバージョン」の第1弾として発表された「マルチタスク車両」

MONET Technologiesは、MaaSによる社会課題の解決と新たなモビリティサービスの創出をめざしソフトバンクとトヨタ自動車が共同出資で設立した会社である。
まずは、代表取締役副社長 兼 COOである柴尾氏に、マルチタスク車両のコンセプトについてうかがった。
「弊社では、モビリティを活用し『不動産を可動産化』させ、空間を運んだりサービスを運ぶことで、オフィスや医療施設などさまざまな用途に活用することを目指しています。本来であれば、可動産化した車両の運行管理やより効率的に活用するためのシステム開発やAPIの提供がMONET Technologiesの業務領域でありますが、MaaSをより推進するためにはサービスを゛モノ“で見て、実証していくことも必要と考え開発した車両です」
「この車両をきっかけとして、MaaSの課題を一つ一つ解決し、MaaSにおけるモビリティが多様化していくことで、デジタルを通じてヒトとモビリティとサービスをマッチングするシステムを提供していきたいと思います」

実は柴尾氏は、以前はトヨタ自動車にてGAZOO.comの編集長を務めており、その時代にiQ GRMNの企画から開発まで関わるなど、コンプリートカーのプロデュースを手掛けた経験を多く持つため、このようなアプローチは納得だ。

マルチタスク車両は車内のレイアウトを柔軟に変更し、1台をさまざまな用途で活用するために開発された車両だ。これは柴尾氏によると「自治体などでは、送迎用の車両、運搬用の車両、災害対策用の車両など、用途別で車両があり無駄が生じている」とのことで、そのような無駄の解消に期待が高いという。

  • マルチタスク車両のオフィスモード

  • 車内で柴尾氏、森下氏にお話しをうかがったが、適度な広さがあり資料を広げての会議などにも十分対応可能だ

ベース車両は10名乗車が可能なトヨタハイエースグランドキャビンで、3ナンバーの普通乗用車として登録される。
フラット床面に複数のフロアレールを這わせた専用フロア構造を採用し、最大8脚のシートやテーブル、キャビネットなどを自由なレイアウトで設置することが可能だ。
(※テーブルは駐車時のみ利用可能)

シートやテーブルの着脱は工具が必要なく、好きなレイアウトへの変更もスムーズに行える。着席している分には頭上の圧迫感もなく、快適にオフィス仕事ができそうに感じられた。

レバーを上げてロックを外せばテーブルを着脱することができる

シートはつまみを回し、赤い部分が全て露出したら着脱可能となる。便利なキャスターがついているが、重量は20kgほどある

またオフィスとして不便なく利用できるように複数のLED照明で明るさを確保したり、コンセント付きのサブバッテリー、後席には5か所にUSBポートを設置するなど、使い勝手にもこだわった仕様となっている。

メインのLED照明のほかに、ルーフライト、ウォールライトなどにより、空間全体が明るくなっている

サブバッテリーの他、後席には合計5か所のUSBポートを設置

企画の提案から試作車ができるまでは3カ月というスピード感で行われ、そこから実際にマルチタスク車両をさまざまな場所で展示することで、多くの意見を収集し使用シーンを想定しているという。

森下氏は、「車両をお届けすることだけでなく車両を活用いただくことが大切です。そして、どのように使っていただいているのか私たちも勉強させてもらいますし、改善していくことが必要です」と、今後の改良にも意欲を見せた。

柴尾氏も、「今までにないコンセプトのモビリティを体験していただいて、そこで何が生まれるのか楽しみですね。便利だとか、快適だとか、オフィス利用であれば効率が上がったとか、今までできなかったことができるようになったとか、いろんな価値が生まれてくれることが大事ですし、そこにより便利になるシステムを提供していきたいと思います。その先に、モビリティとデジタルが本当に融合していく空間を提供できていくのではないでしょうか」と語った。

各方面で導入され、生活の一部となりつつあるMaaSだが、まだ特定の地域での観光型MaaSや市町村単位での医療への活用など、まだ限定的なサービスが多い。
MONET TechnologiesはよりMaaSの先を見据え、モビリティとデジタルの融合による広範囲の課題の解決に向けて、着実に歩みを進めている。
今後もMONET Technologiesの動向に注目していきたい。

[ガズー編集部]

 

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