【スーパー耐久第1戦鈴鹿】ST-4クラスに2.0LのロードスターRFが登場！ライバルのGR86との差は!?

2023.03.18 00:00

66号車 odula TONE MOTUL ROADSTER RF

2023年シーズンのスーパー耐久シリーズ開幕戦の舞台となる鈴鹿サーキットに、新たなマシンが登場した。上の写真を見ていただくと「なんだ、ロードスターじゃん」と思う方もいるだろうが、確かにロードスターだ。

ただし、他のST-5クラス（排気量が1500cc以下の車両）に参戦するロードスターとは違い、2.0Lエンジンを積むロードスターRFをベースに造られたレーシングカーで、GR86が多数参戦するST-4クラスにエントリーしているのだ。

ST-4クラスは「排気量が1501～2400ccの2輪駆動車」が参戦することのできるクラスで、実際にGR86は2.4Lエンジンだ。この400ccの排気量の違いがありながらも、「今年何度か表彰台に上がりたい」と目標を掲げるOVER DRIVEの武地孝幸代表に、ロードスターRFで参戦する経緯と想いを語っていただいた。

OVER DRIVEの武地孝幸代表

今年で8シーズン目の参戦となるOVER DRIVEは、マツダ車を扱うチューニングショップで、オリジナルパーツブランドの「odula」を広めるためにスーパー耐久への参戦を始めたという。

3年間はデミオ、その後ロードスターにマシンをスイッチし2台体制で参戦、2021年シーズンはシリーズランキングで1位、2位を独占するなど、ST-5クラスで実績を残してきているチームだ。

そんなチームを率いる武地代表に、今季からロードスターRFを投入したきっかけを伺うと、1台のロードスターを別の用途で使用することになったからだという。

「そうすると、昨年は僕も含めて8人くらいのドライバーが走っていたんですが、4人は走れなくなるじゃないですか。せっかくみんな楽しそうにやってるんだから、もう1台マシンを作ろうと。そうしたら2.0LのロードスターRFで新しいチャレンジをしたいなと思ったんですよね。しかも、ロードスターRFではST-4クラスで通用しないみたいな雰囲気もあったので、ずっと挑戦したい気持ちがありました」

実際にマシンをシェイクダウンしたのはレース1週間前となる3月12日。そこからカラーリングも急ぎ行い何とかこの開幕戦に間に合わせてきたロードスターRF。
金曜日の専有走行でのタイムは、同じST-4クラスのトップが2分22秒台に対して2分25秒657と、シェイクダウンしたてながら3秒ほどの差に、武地代表も「全然戦えないということはないですね」と、表情を見てもいい感触を得ているようだ。

「ST-5クラスのロードスターとシャーシや足回りなども一緒だからノウハウがあったので、それを活かせたのは大きいですね。違うところといえば、エンジンとコンピューターですが、それもこれまで自分達でセッティングしてきたノウハウが活きていると思います。

ただ、1.5Lから2.0Lに排気量が上がってパワーも50馬力ほど増えているので、駆動系とかフライホイールなんかには気を使わないといけないと思いますし、まだ走り始めたばかりなので未知数なことは多いですね」

左が2.0LのロードスターRFで右が1.5Lのロードスター。エクステリアの違いはハードトップの後方と給油口くらいだ

実際にどのようなレース展開を想定しているのだろうか？

「僕の聞いている話ですと、GR86よりロードスターRFの方が燃費がいいようです。上手くいけばピット回数を減らすなどできたらいいなといろいろ作戦を考えています。実際GR86よりも200kgくらい軽いのもあるので、400ccと200kgどっちがいいのかという戦いでもありますね」

今回、スーパー耐久を代表するベテランドライバーでもある阪口良平選手もドライブしており少しお話を伺ったところ、「アクセルオフした時の不安定な挙動やスロットルの全開の時間をもっと増やせないかといったことを調整しています。コーナリングに関してもまだ速くなると思います」と現在の状況を教えてくれた。

阪口良平選手

金曜日の専有走行では、GR86に対してストレートスピードでは最大10km/hほどの差が開いていた。ただサイズと軽さを活かしたコーナリングを武器に戦うことになるだろうという武地代表は「スポーツランドSUGOや岡山国際サーキットとかはすごく面白いレースができると思いますよ」と自信をのぞかせていた。

「ロードスターファンが全国にたくさんいるのでGR86に負けないように頑張りたいですね」と武地代表が語るように、熱きファンの期待も背負って走るロードスターRFの活躍にも注目して欲しい。

（文、写真：GAZOO編集部山崎）