【WEC第5戦富士】TOYOTA GAZOO Racingが3年ぶりの母国レースで1-2フィニッシュ! ランキングトップで最終戦へ

  • WEC第5戦富士で優勝したTOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010 HYBRIDのドライバー

2022年9月11日、富士スピードウェイで行われたFIA世界耐久選手権(WEC)の第5戦で、TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010 HYBRIDが優勝、同じく7号車も2位に入り、TOYOTA GAZOO Racingがホームレースで1-2フィニッシュを飾った。

ハイパーカー元年、そして3年ぶりの開催となる富士戦は朝から快晴に恵まれ、多くのファンがグランドスタンドから見守る中午前11時にレースの火ぶたが切って落とされた。

  • WEC第5戦富士に多くのファンが来場
  • WEC第5戦富士のスタートシーン

TOYOTA GAZOO Racingが母国レースで1-2フィニッシュ!

ポールポジションからスタートした7号車トヨタGR010 HYBRID(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス組)が序盤のレースをリード、続いて8号車トヨタGR010 HYBRID(セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮組)が僅差で続く。

3番手にはドライバーズランキングのトップを走るノンハイブリッド車両のアルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌ A480-Gibson(アンドレ・ネグラオ/ニコラ・ラピエール/マシュー・バキシビエール)が単独で走行する展開に。

  • TOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010 HYBRIDと同じく8号車の序盤の競り合い

そのままの順位で1回目のピットストップを終えた2台のトヨタGR010 HYBRIDだが、その後ペースに勝る8号車が64周目にトップに立つ。快調なペースで周回を続ける8号車トヨタGR010 HYBRIDは、最後のピットストップを前に30秒の差を築き盤石のレース展開に。最後のバトンを引き継いだ平川亮が着実に走行を続けトップチェッカー! ル・マン24時間に続いて今季2勝目を挙げた。

2位には7号車トヨタGR010 HYBRIDが入り、トヨタの2台がホームレースで見事に1-2フィニッシュ、3位には36号車アルピーヌ A480-Gibsonが入った。

  • トップでチェッカーを受け祝福されるTOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010 HYBRID

富士戦を終え、マニュファクチャラーズランキングでは、トヨタが147ポイントでアルピーヌに対し26ポイントリード、ドライバーズランキングでは、8号車トヨタGR010 HYBRIDが勝利を挙げたことで、8号車の3人と36号車アルピーヌの3人のドライバーが121ポイントで並び、次戦の最終戦で前でフィニッシュしたチームがタイトルを獲得することになる。

その最終戦となるバーレーンでの8時間レースは、11月12日(日)に決勝が行われる。

D'STATION RACINGが波乱を切り抜け3位表彰台

もう一つの日本チームとしてホームレースを迎えたLM GTE AMに参戦するD'STATION RACING777号車アストンマーティン・バンテージAMR(星野敏、藤井誠暢、チャーリー・ファグ組)は、予選での違反により最後尾からのスタートとなった。しかしスタートドライバーを務めた藤井誠暢が驚異の追い上げをみせ、最初のスティントでトップに踊り出る。

その後、チームオーナーでもある星野敏が2時間以上を走り切り、最終ドライバーのファグは一時期6番手まで順位を落とすも、3位まで再び順位を上げチェッカー、今季初表彰台を獲得している。

WEC第5戦富士6時間 決勝結果(総合順位)

  • TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010 HYBRID

1位 No.8 HYPERCAR
セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮
TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID
232Laps

2位 No.7 HYPERCAR
マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ホセ・マリア・ロペス
TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID
232Laps/1:08.382

3位 No.36 HYPERCAR
アンドレ・ネグラオ
ニコラス・ラピエール
マシュー・バキシビエール
アルピーヌ・エルフ・チーム/アルピーヌ A480-Gibson
230Laps/2Laps

4位 No.93 HYPERCAR
ポール・ディ・レスタ
ミケル・イェンセン
ジャン・エリック・ベルニュ
プジョー・トタルエナジーズ/プジョー 9X8
225Laps/7Laps

5位 No.31 LMP2
ショーン・ゲラエル
ロビン・フラインス
ドリス・バントール
WRT/Oreca 07-Gibson
225Laps/7Laps

豊田章男 TOYOTA GAZOO Racingチームオーナーのコメント

我々の“ホームレース”が3年ぶりに開催され、
GR010 HYBRIDは初めて富士を走ることができました。
開催に向けご尽力いただいた皆さま、ありがとうございました。

富士スピードウェイでは、ファンの皆さまが、我々に「おかえり」と言いながら声援を送ってくれていました。
その沢山の応援に、ワンツーフィニッシュで「ただいま」と応えられて、本当によかったと思います。

チーム代表の可夢偉をはじめ、全てのチームメンバーに感謝します。
みんなありがとう!

ドライバー達は、“水素エンジンに乗ってみたい”とレースウィーク中に時間を割いてくれました。
「内燃機関の音や振動は絶対になくしてはいけないと思っています。
そういう意味でも、モリゾウさんが示したビジョンは素敵です。
この開発が将来どこに向かうのか、すごくワクワクしています。
将来、水素エンジンのレーシングカーでぜひレースがしてみたいです!」

セバスチャン・ブエミ選手は、水素エンジンに乗った後、こんな言葉を私に送ってきてくれました。

レーシングドライバーたちは色んなクルマに乗ってきています。
そんな彼らがワクワクし続けられる技術を、彼らとも一緒になって、これからもつくっていければと思います。

ドライバーのみんな、また一緒に“音と振動”を楽しみましょう!

追伸1
勝田範彦選手、木村選手、ラリー北海道優勝おめでとうございます。
乗りにくかったクルマを工夫で乗りこなしていただいたと聞きました。
それによって我々のメンバーも鍛えられたと聞いています。
いつもながら範さんに感謝です。
今回もありがとうございました!

追伸2
ギリシャのみんなにも苦しい戦いをさせてしまいました。
エルフィンとエサペッカには、車両トラブルを出してしまって申し訳ない気持ちです。
残り3戦となりましたが、好調だった前半戦のことは一度リセットしてもう一度“ドライバーが乗りやすいクルマ”をチームみんなで考え直しましょう!
まずは3週間後のニュージーランド戦よろしくお願いします。

その後、スペイン戦を挟み、ついに“初めてのラリージャパン”です。
今週の富士のように「おかえり」と迎えてくれる多くのファンが待ってくれています。
ワンツーフィニッシュ以上の「ただいま」を言えるように、がんばりましょう!

ヤリ-マティ代表をはじめ、チームのみんなよろしく頼みます!

追伸3
ニュルでは仲間達がGR 86とLCを鍛えてくれています。
昨日、6時間を走り切ってクラストップで無事完走。
そして今まさに、もう6時間のレースを走ってくれていると思います。

ニュルらしい天気で不安定な路面と聞きました。
安全第一でクルマたちを鍛えて帰ってきてください!

追伸4
世界の色んな道でクルマを鍛えてくれているドライバー達みんなに感謝!
そして、ドライバーたちと一緒にもっといいクルマづくりを実践してくれているメカニック、エンジニア、工場の仲間たちにも感謝!
これからも、もっといいクルマづくりをみんなで心ひとつに続けていきましょう!
  • 表彰台のTOYOTA GAZOO Racingのドライバー

TOYOTA GAZOO Racingドライバーのコメント

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)

富士6時間は非常に重要なレースであり、今日の結果はTOYOTA GAZOO Racingにとってこれ以上のない最高のものになりました。チーム全員がこのレースのために懸命に働き、ミスのない戦いで素晴らしい結果に結びつけてくれました。皆を誇りに思います。ハイパーカーの争いは非常に熾烈なものでしたが、我々自身のレースは非常に順調で、力強いパフォーマンスを見せることができました。この結果はチームの努力、そして、トヨタの関係者や全てのパートナーのサポートのおかげです。応援してくれたファンの皆様にも感謝しています。今日のような好天の下、また富士スピードウェイでのWECレースを戦えたことを素晴らしく思います。これでひとつ肩の荷が下りましたが、次はバーレーンでの戦いが待っています。ドライバーとマニュファクチャラーの両タイトル獲得へ向け、努力していきます。我々にとって重要な目標であり、集中力を切らさずにベストを尽くしていきます。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)

今日チームは素晴らしい仕事をしてくれて、目標だったホームレースでの1-2フィニッシュを果たすことができました。ル・マンを終えてからは、富士が我々にとって最も重要なレースだったので、チームにとって完璧な結果となりました。今日、我々7号車は、クルマのパフォーマンスを最大限引き出すことができませんでした。8号車の方が我々よりも少し速く、彼らには敵いませんでしたが、我々7号車もミスのないクリーンなレースを戦いました。優勝した8号車は見事な戦いぶりでした。TOYOTA GAZOO Racingと全てのパートナーの皆様へ祝福を送ります。レースウィークを通して応援してくれたファンの皆様にも感謝しています。

ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)

チームにとって最高の結果です。このレースは我々にとってとても重要であり、そのためにずっと努力を続けてきました。ラップタイムだけを見ているだけでは、今日のハイパーカークラスの戦いがどれだけ大変だったかというのはわかりにくいと思います。チームは完璧なレースをしてくれて、本当に満足しています。勝った8号車、おめでとう。もちろん我々は勝てなかったので最高に嬉しいというわけではありません。しかし、我々にも良いスティントはありましたし、これがレースです。今年は我々7号車にとっては厳しいシーズンとなっていますが、最終バーレーン戦では最高の形で締めくくり、チームの2つのチャンピオン獲得に貢献できるよう頑張ります。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)

3年ぶりのTOYOTA GAZOO Racingの母国レースで勝つことができ、とても良い気分です。我々はクリーンなレースを戦い、ミス無く、全てを完璧に行いました。ピット作業も素晴らしく、全部予定通りに行きました。この最高の結果を共に勝ち取ったチームには本当に感謝していますし、特に亮はこの週末、素晴らしい走りをしてくれました。我々にとって最高の結果で、ドライバーズランキング首位タイに並べたことで、タイトル獲得の大きなチャンスと共にバーレーンへと向かうことになります。シーズン最終戦も今日のようなレースが再現できるよう、ベストを尽くします。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)

今日のGR010 HYBRIDは本当に最高のクルマで、レースは信じられないほど順調でした。こんなことはめったにありません。我々8号車は、路面温度が高くなることを見越してセットアップを変更し、それが効を奏したことで、チームメイトの7号車よりも少し速さがありました。スタートを担当したセブが力強い走りで首位に立ち、それを引き継いだ私が後続とのギャップを拡げることができ、そして、最後を担当した亮も良い走りを見せてくれました。全て完璧で上手く行ったレースのひとつになりました。強かったドライバー同様に、最高の働きをしてくれたエンジニアチームとメカニックにも本当に感謝しています。この形で最終戦バーレーンでのチャンピオン争いに臨むというのは最高の展開です。

平川亮(8号車 ドライバー)

富士は私にとってホームコースであり、レースキャリアを築き、育ってきたコースでもあります。それだけにここでの世界選手権で勝てて感無量です。ル・マンでの勝者としてここ富士にやってきて、自分の母国レースでの勝利を切望すると共に、プレッシャーも感じていました。しかし、チームが素晴らしい仕事で応えてくれました。私自身の2回のスティントは楽しんで走ることができましたし、チェッカーを受けたときは最高の気分でした。これでランキング首位タイに並んだので、この勢いを活かしてシーズン最終戦に臨みたいと思います。今夜はこの最高の瞬間をじっくりと味わい、そして、バーレーンでのタイトル獲得へと意識を切り替えます。