【WRC2021】第9戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ ロバンペラが圧巻の走りで今季2勝目

  • ヤリスWRC 69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)

9月12日(日)に2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦アクロポリス・ラリー・ギリシャのデイ4が行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(ヤリスWRC 69号車)がトップでフィニッシュし、今シーズン2勝目挙げた。
2位には、HYUNDAI SHELL MOBIS WORLD RALLY TEAMのオィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組、3位に入ったセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組が3位でフィニッシュし、ドライバー選手権のリードを広げることに成功した。

アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ4の結果

1位 K.ロバンペラ (トヨタ ヤリス WRC) 3h28m24.6s
2位 O.タナック (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +42.1s
3位 S.オジエ (トヨタ ヤリス WRC) +1m11.3s
4位 D.ソルド (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +3m01.0s
5位 G.グリーンスミス (フォード フィエスタ WRC) +5m45.0s
6位 E.エバンス (トヨタ ヤリス WRC) +6m24.7s
7位 A.フォルモー (フォード フィエスタ WRC) +6m54.4s
8位 T.ヌービル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +8m41.1s
9位 A.ミケルセン (シュコダ ファビア Rally2 Evo) +9m02.5s
10位 M.ブラチア (シュコダ ファビアRally2 Evo) +9m19.2s

ロバンペラが今季2勝目! 3位に入ったオジエがドライバー選手権のリードを拡大

WRCの初年度、1973年からシリーズに組み込まれた伝統のアクロポリス・ラリーは、2013年の大会を最後にWRCとしては行われていなかったが、今年8年ぶりにカレンダーに復帰した人気のラリーイベント。
グラベル路面で行われるアクロポリス・ラリーだが、過去には大きな凸凹や石が転がりマシントラブルも多かった。それに比べて今年は比較的スムーズになったものの、滑りやすいグラベルが路面を覆うコンディションのもと、ステージは4日間、全15SS、292.19km、総走行距離は1285.85kmというタフなレースだ。

初日の0.98kmの市街地ステージはオジエ、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組、ロバンペラとトヨタが1-2-3での幕開け。本格的なグラベルラリーが始まったデイ2では、2本のベストタイムを記録したロバンペラが首位で終えた。
デイ3でも好調を維持したロバンペラが、オープニングのSS7~SS10まで4連続でベストタイムをたたき出すなど、デイ2終了時点で2番手のタナックに3.7秒だった差を、30.8秒にまで広げる圧巻の走りを見せた。

迎えた3ステージで争われる最終日デイ4は、最初のステージとなるSS13からロバンペラが、総合2位にもつけるタナックに14.1秒の差をつける。対するタナックも続くSS14でロバンペラに9.9秒差をつけるトップタイムで反撃するも、ロバンペラが再びSS15でトップタイムをたたき出し勝負あり。今季第7戦エストニアで挙げた史上最年少優勝に続いての、今季2勝目を挙げた。

3位にはチャンピオンシップに向けて着実な走りを続けたオジエが入り、ドライバー選手権のリードを44ポイントにまで広げた。
ドライバー選手権2位で並んでいたエバンスとヒュンダイのティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ組は、それぞれデイ2でトラブルに苦しめられる展開となり、6位と8位でフィニッシュ、エバンスが136ポイントで2位、ヌービルが130ポイントで3位に。そして今大会で優勝したロバンペラが129ポイントで4位につけ、ドライバー選手権2位の座を射程圏に入れてきた。

マニュファクチャラー選手権は、トヨタが397ポイントで首位、ヒュンダイが340ポイントで続いている。

  • ヨンネ・ハルットゥネン、カッレ・ロバンペラ

豊田章男チームオーナーのコメント

カッレ、ヨンネ、
SS3以降、ずっとトップを走り続けての優勝、とても頼もしい走りでした!
パワーステージも素晴らしい走り! ヤリ-マティの最年少記録を塗り替えたエストニアでの初優勝、次戦ベルギーでの3位表彰台、そして今回のギリシャでの2勝目。頼もしいドライバーになってくれたこと本当に嬉しく思います。
早くもお父さんを超える2勝目、おめでとう!

今回の勝利は、もちろん日々学びながら進化し続けているカッレのドライビングにも感謝ですが、彼を支えるチームのみんなにも感謝したいと思います。今シーズンは感染防止のため、エンジニアの一部はフィンランドに残り、遠隔で現地をサポートしています。遠隔サポートのやり方も改善を続け、今回は遠隔のデータエンジニアたちが、カッレの車両からいち早く不具合を見つけ出してくれて、大事に至らずに走り続けられたそうです。カッレの勝利をサポートしたみんな、今回の勝利をありがとう!

セブの3位表彰台も、ドライバーズタイトルに向け大切なポイントです。ダブルポディウムをありがとう。車両トラブルにより、エルフィンには思ったとおりの走りをさせてあげられませんでした。申し訳なく思います。原因を究明し、改善していきたいと思います。

次戦は我々のホームタウンを走るラリーフィンランドです。フィンランドではセブ、エルフィン、カッレ、貴元、みんなの笑顔を見たいと思います。ヤリ-マティをはじめチームのみんな、よろしくお願いします。

ファンの皆さまも引き続き、応援いただければ嬉しく思います。よろしくお願いします。

追伸
貴元は今回走れない週末になってしまいました。楽しみにしていた日本での戦いも中止になってしまい、残念なことが続いています。しかし次戦は地元フィンランド、しっかり気持ちを切り替えて、次こそ思いっきり走ってきて欲しいと思います。今週末、日本では”もう一人の勝田選手”が貴元の残念な気持ちも背負って、頑張って走ってくれました。今週は”日本の勝田選手”に「おめでとう」を送ります。次回は日本で走る勝田選手、フィンランドで走る勝田選手、両方におめでとうが言えるようになることを祈っています。

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのコメント

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
正直なところ、今週末は優勝を期待していませんでした。全てのドライバーがスタート直後からパフォーマンスを発揮してくれたことにとても満足しています。特にカッレは驚くような速さでしたし、週末を通してとても冷静で、成熟した戦いをする姿を見て嬉しく思いました。セバスチャンは今回も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれましたし、チャンピオンらしい走りで、彼自身とチームのチャンピオンシップのためにポイントを獲得してくれました。エルフィンは、残念ながらラリー序盤でトラブルに見舞われましたが、そこから挽回し、パワーステージでは見事な走りを見せてくれました。頑張って戦ってくれたチームの全選手を誇りに思います。

<<セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 1号車)>>
我々にとってはとても良い結果になりました。今週末の目標は選手権のリードを維持することでしたが、それを達成することができ、非常にポジティブな結果になりました。自分ではとてもクレバーにラリーを戦うことができたと思います。全体的に、ステージはかなり難しいコンディションでした。カッレと同じようなペースで走ることはできませんでしたが、彼は飛ぶように速く、他のドライバーとはレベルが違いました。優勝にふさわしい走りをしたカッレを祝福したいと思います。金曜日を終えてタイトル争いについて考えた時、このラリーで勝つために大きなリスクを冒すべきではないと思ったので、総合3位という結果にはとても満足しています。

<<エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)>>
今回は自分達の週末ではありませんでしたが、ラリーではこのようなことも起こるものですし、このチームで金曜日のような問題が発生するのは非常に稀なことです。クルマのフィーリングは、全体的にとても良かったと思います。最終的に総合6位を獲得できたのは、今朝他の選手のクルマに問題が起きたためで、ちょっとしたギフトのようなものです。最後のパワーステージの走りは完璧ではなかったかもしれませんが、それでもボーナスの4ポイントを獲得できましたし、少なくともこの週末をプラスで終えることができて良かったです。

<<カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)>>
ギリシャで勝つことができて素晴らしい気分です。正直なところ、本当に大変なラリーでした。多くのステージをレッキで走り、夜は毎晩のように映像を見直すなど非常に長い週末だったので、このような結果でフィニッシュできて本当に嬉しいです。金曜日の段階で既にクルマの調子は良かったのですが、タイプが異なる土曜日のステージのためにセットアップを変更したところ、クルマはさらに良くなりました。本当にいいフィーリングだったので、思いきり運転を楽しむことができました。また、チームのみんなが素晴らしい仕事をしてくれたお陰で、クルマはトラブルフリーでした。本当に感謝しています。次のフィンランドでも、今回と同じようなスピードで走れることを期待しています。

次戦のWRCは10月1日~3日、「ラリー・フィンランド」

WRCを代表するハイスピード・グラベル(未舗装路)ラリーであるフィンランドは、ヘルシンキより230kmほど北に位置するユバスキュラを中心に行われる。昨年は新型コロナウイルスの影響により中止となっていたため2年ぶりで、従来の夏から秋に移っての開催となる。

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road