【WRC2021】第11戦ラリー・スペイン ヌービルが今季2勝目。オジエとエバンスのタイトル争いは最終戦へ

  • ヤリスWRC 33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)

10月17日(日)、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第11戦ラリー・スペインの最終日デイ3が行われ、HYUNDAI SHELL MOBIS WORLD RALLY TEAMのティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ組が今季2勝目を挙げた。
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(ヤリスWRC 33号車)が総合2位で、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(1号車)が総合4位に入り、エバンスとオジエのドライバー選手権の争いは最終戦にもつれ込むこととなった。

ラリー・スペイン デイ3の結果

1位 T.ヌービル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 2h34m11.8s
2位 E.エバンス (トヨタ ヤリス WRC) +24.1s
3位 D.ソルド (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +35.3s
4位 S.オジエ (トヨタ ヤリス WRC) +42.1s
5位 K.ロバンペラ (トヨタ ヤリス WRC) +1m31.8s
6位 G.グリーンスミス (フォード フィエスタ WRC) +4m17.3s
7位 O.ソルベルグ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +4m26.7s
8位 N.ソランス (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +4m34.9s
9位 E.カミリ (シトロエン C3 Rally2) +9m49.4s
10位 N.グリアジン (シュコダ ファビア RALLY2 evo) +10m05.9s
40位 勝田貴元 (トヨタ ヤリス WRC) +52m58.3s

  • ラリー・スペイン表彰台

2位に入ったエバンスがオジエとのドライバー選手権の差を詰める

2年ぶりに開催され、すべてターマック(舗装路)のラリーへと変貌を遂げたラリー・スペインの初日は、終日ドライコンディションの中、6本のステージが行われた。
前半の3ステージは、前戦のラリー・フィンランドで勝利を挙げたエバンスが3連続のベストタイムを記録。そのエバンスはSS5でタイムロスしトップの座をヌービルに奪われるものの、後半3つのSSをすべて2番手タイムで終え、ヌービルに0.7秒差の2位で初日を終えた。
7本のSSで行われたデイ2では、ヌービルがエバンスとの差を16.4まで広げることに成功し、リーダーを堅守した。

エバンスに24ポイントのリードでドライバー選手権を争うオジエは、デイ1、デイ2とも上位のタイムを刻むも、デイ1ではエバンスの18.7秒差の3位、デイ2では2本のベストタイムは出すもののその差は広がり、22.4秒差でデイ3を迎えることとなった。

そして、最終日となるデイ3は4本のSSで50.90kmと短い距離で行われ、ヌービルが24.1秒の差をつけラリー・スペインを連覇、今季2勝目を挙げた。
エバンスはデイ2に続き2位でフィニッシュ、3位にはデイ2終了時点でオジエの1.2秒後方4位からスタートしたHYUNDAI SHELL MOBIS WORLD RALLY TEAMのダニ・ソルド/カンディド・カレーラ組が入った。

オジエは総合4位でフィニッシュ、エバンスに17ポイントの差をつけドライバー選手権の通算8回目のタイトルに向けて、最終戦に臨むこととなった。

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組は、ラリー・スペインにはWRカーで初めての参戦ということもあり5位フィニッシュ。
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、デイ1でオーバースピードによるクラッシュでデイリタイアを喫したものの、デイ2から再出走。総合40位ながら5番手タイムを記録するSSもあるなど、最後まで走り切り経験を積むこととなった。

エバンスが総合2位、オジエが総合4位でフィニッシュし、それぞれ3番手、4番手でパワーステージのボーナスポイントを加算したトヨタが、マニュファクチャラー選手権で47ポイント差の首位をキープ。次の最終戦で獲得可能な最大ポイントは52ポイントとなり、圧倒的に有利な状況で、ラリー・モンツァを迎える。

豊田章男 (チームオーナー)のコメント

ラリー・スペインの前、ヤリ-マティは私にメッセージを送ってくれていました。
「チーム代表となって、もう一度、マニュファクチャラーズタイトルを掴みアキオとお祝いするのが自分の夢です」
3年前のヤリ-マティはとても苦しいシーズンを送っていました。最終戦でようやく初勝利をあげ、その勝利でチームタイトルが決まり、当時そのことが本当に嬉しかったのを覚えています。その日、静岡県でラリーに出ていた私はその知らせを聞き、絶叫するように喜び、そのままお祝いのメッセージを送っていました。あの歓喜の絶叫が”代表としてのモチベーション”に繋がり、チームを勝利へ導く一助になればとても嬉しく思います(笑)次の最終戦モンツァ、ヤリ-マティの夢が叶うと信じています。一緒に喜びましょう!

ドライバーズチャンピオンも今回は決まりませんでした。セブとジュリアン、エルフィンとスコットには最後の最後まで悔いのない走りをしてもらいたいと思います。チームはそのために最高のクルマを準備してあげてください。次のラリーはヤリスWRCが走る最後の大会です。2017年WRCに再参戦した時から、我々が言い続けていたのは「常に”今のヤリス”が一番強くなるようにしよう!」という言葉でした。「最後に走るヤリスが一番強かった」とドライバー達にも、ファンの皆さまにも言ってもらえるような戦いを最後に見せたいと思います。チームのみんな、最後までよろしくお願いします!

追伸 ジュリアンへ
ジュリアンにとっても次が最後のラリーになりますね。モンツァが君にとっても最高のラリーになることを祈っています。その姿を日本で見れたら最高でした。それだけは今も残念でなりません。応援しています。

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのコメント

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
最終的に、今週末の我々には期待していたほどの強さがありませんでした。今後のためにも、なぜ思うようにタイムが出なかったのか、どうすればもっと上手く対応できるのかを分析し、学ぶことが重要です。とはいえ、ポジティブな要素もあります。まず、3台が何も問題なくトップ5でフィニッシュしたこと。また、エルフィンが総合2位に入ったのは彼にとって良い結果ですし、最終戦までドライバーズタイトル争いが続くことになり、チャンピオンシップ全体が盛り上がることになりました。マニュファクチャラー選手権は今回、私たちにとって有利な結果にはなりませんでしたが、次のモンツァでは両タイトルを華々しく獲得したいと思います。

<<セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 1号車)>>
今回は総合4位以上を目標にしていたのですが、それでもドライバー選手権争いにおいては十分なポイントを獲得することができました。今日は接戦となり、最初の3本のステージは全力でトライしたのですが、最後のステージで雨が降ってしまい、そこでリスクを冒さないという私の戦略が功を奏さず、安全に走ることを選びました。それでも、全体的には今週末がタイトル争いにおいてポジティブな一歩になったことは間違いないですし、それが何よりも重要なことです。タイトル争いはまだ終わっていないので、モンツァでは昨年の成功を再現できるように頑張りたいと思います。

<<エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)>>
総合2位というのはポジティブな結果ではありますが、ラリーのスタートがとても良かっただけに、手放しでは喜べません。残念ながら、少しずつ良い感覚が薄れていき、クルマとの完全な一体感を得られなくなりました。今週末は、本当はもう少し速く走れたと思います。ただし、良かったこともあります。ポイント差を縮めることができましたし、タイトルの可能性はまだ残っています。1戦で詰めるには大き過ぎる差ではありますが、昨年自分達が経験したように、最後まで何が起こるかわからないので、モンツァではもう一度ベストを尽くして戦います。

<<カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)>>
全体的には、とても良い週末でした。特に金曜日には多くのことを学び、週末が進むにつれて、セットアップと自分のドライビングの両方が良くなっていきました。今日はパワーステージ優勝を目指していたのですが、コンディションがトリッキーで、後続の選手達が走る頃には路面が乾いてしまっていたので、自分にチャンスはありませんでした。完璧なフィーリングを得ることができず、思うようなペースでは走れませんでしたが、自分のベストを尽くしましたし、中身のある週末になったと思います。

次戦のWRCは11月19日~21日の「ラリー・モンツァ」

WRC次戦は、11月19日(木)から21日(日)にかけてイタリア北部で開催される、第12戦「ラリー・モンツァ」。「ラリー・ジャパン」が中止となったことで最終戦となったラリー・モンツァは、モンツァ・サーキットを中心に行われるターマックラリー。今年は、昨年よりも山岳道路の割合が増え、過酷さを増したSS構成となっている。

[ガズー編集部]