トヨタ、TNGAによって一新した、新型パワートレーンを発表 -世界初の発進用ギヤを採用した無段変速機、Direct Shift-CVTを開発-
- グローバル販売の主力である、2.0Lクラスの新しいTNGAパワートレーンを開発。無段変速機(CVT)には、世界初*1の機構を採用し、走行性能と環境性能を大幅に向上。
- 2023年には、TNGAによるパワートレーン搭載車をトヨタの車両販売台数の約80%に拡大(日本・米国・欧州・中国が対象)。CO2排出量は18%以上*2削減。
トヨタは、「いいクルマづくり」の構造改革「Toyota New Global Architecture(TNGA)」により、優れた走行性能と高い環境性能の両立を追求した、新しい無段変速機(CVT)・6速マニュアルトランスミッション・2.0Lエンジン・2.0Lハイブリッドシステム・4WDシステムを開発しました。
中でも、新型の無段変速機(CVT)は、新たに発進用ギヤを採用することで従来のCVTに対して低速域の伝達効率を大幅に改善。アクセル操作に応じたダイレクトでスムースな走りと、優れた燃費性能を実現しています。
新型無段変速機(CVT)「Direct Shift-CVT」
トランスミッションの基本性能である「伝達効率の向上」と「エンジン高効率領域の活用」、「高応答変速」を強化するため、「機械損失低減」と「ワイドレンジ化」、「変速追従性向上」に取り組みました。これらの取り組みにより、ダイレクトでスムースな走りと現行比+6%の優れた燃費性能を実現しています。
- 「機械損失低減」
ベルト効率の悪いロー側使用時の伝達効率を向上させるため、乗用車用CVTに世界で初めて*1発進用のギヤを採用しました。発進時はギヤ駆動とすることで、力強い加速を実現するとともに、アクセル操作に対して一瞬遅れるようなもたつき感を改善、スムースで気持ちの良い発進性能を実現しています。ギヤとベルトの切り替えには、AT技術で培った高応答の変速制御技術を使用しています。 - 「ワイドレンジ化」
発進用ギヤの採用に合わせて、ベルトをハイ側に設定。より効率よくベルトを使用するとともにワイドレンジ化し、2.0Lクラストップ*1の変速比幅7.5を実現しました。 - 「変速追従性向上」
発進用ギヤの採用により、入力負荷が軽減されたことで、ベルトおよびプーリー部の小型化を実現しました。ベルトを狭角化するとともにプーリーを小径化し、変速速度を20%向上させています。これにより、ドライバーはパワフルでリズミカルな加速を感じることができます。
新型6速マニュアルトランスミッション(6MT)
欧州をはじめとするグローバルなニーズに応えるために、マニュアルトランスミッションも新規開発しました。従来型に比べ、質量を7kg低減するとともに全長を24mm短縮し、世界トップレベル*1のコンパクトなサイズにすることで車両の燃費性能向上に貢献します。また、伝達効率も世界トップ*1を実現しており、シフトチェンジ時に自動でエンジン回転を合わせるiMT制御を採用することで、ドライバーに不快なショックを感じさせないスムースな変速操作をサポートします。
新型直列4気筒2.0L直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2.0L)」
新型エンジンは、高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時などの様々なエネルギーロスを少なくして熱効率を向上させるとともに高出力を実現しています。その結果、新開発の2.0Lガソリン車用エンジン・ハイブリッド車(HV)用エンジンは、それぞれ、世界トップレベル*1の熱効率40%・41%を達成しました。また、従来型エンジンに比べて、低回転から高回転まで全域でトルクアップを実現すると同時に、各国の排気規制にも先行して対応します。
2.0Lトヨタハイブリッドシステム(THSⅡ)
4代目プリウスに採用された小型・軽量・低損失化技術を継承し、高い燃費性能はキープしたまま、より走行性能を向上させた2.0Lエンジン用ハイブリッドシステムを新開発しました。加速時にはエンジンの回転数を下げると同時に電池からの電力を高め、リニアで伸びのある加速感を実現しています。
新型4WDシステム「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」「新型E-Four」
さらなる燃費向上と、4WDでの高い操縦安定性、走破性を目指し、新しい4WDシステムを開発しました。
エンジン車に採用する新システム「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」では、走行状況に応じてリヤのトルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」を採用することで、ドライバーの思い通りの旋回性能と、高い悪路走破性を実現しました。
また、前後輪の車輪軸に世界初*1の「ラチェット式ドグクラッチ」を備えることで、2WD走行時には、後輪に動力を伝達させる駆動系の回転を停止させて損失を大幅に低減し、燃費向上をはかる「ディスコネクト機構」を採用しています。
ハイブリッド車に採用する「新型E-Four」においては、電気で駆動する後輪の全体トルクを従来型の1.3倍に増加させた上で、走行状態に応じて適切に後輪にトルクを配分する新制御を採り入れ、高い走破性と優れた操縦安定性を実現しました。
さらに、「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」、「新型E-Four」双方に、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、4WDを統合して制御する「AWD Integrated Management(AIM)」を採用し、路面を問わない高い操縦安定性を確保しています。
今回発表した新しいパワートレーンは、今春以降、搭載車種をグローバルで拡大していきます。従来型のエンジン車の環境性能、走行性能の向上に寄与するのはもちろんのこと、その基礎となる技術の一部は、今後トヨタが普及に向けたチャレンジを続けていくハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)といった電動車においても、確実に性能向上に反映されていくものです。
TNGAによって開発したパワートレーンについては、2021年までに、エンジンは9機種・17バリエーション、トランスミッションは4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入を予定していることをすでに発表していますが、今回の無段変速機(CVT)・6速マニュアルトランスミッション・2.0Lエンジン・2.0Lハイブリッドシステムはその中の4機種となります。
これらTNGAによって開発したパワートレーンの搭載車は、当面、5年後の2023年には、トヨタ単独の年間販売台数(日本・米国・欧州・中国)の約80%を目指していきます。これによるCO2排出量の削減効果は、TNGAによるパワートレーンの燃費向上寄与分だけでも、18%以上*2を見込んでいます。
-
- *1
- 2018年2月現在。トヨタ調べ。
-
- *2
- 2015年にトヨタが販売した新車1台あたり平均の走行時のCO2排出量に対する2023年の削減率。日本・米国・欧州・中国が対象。CO2排出量は、各国・地域の認証データを使用した新型パワートレーンの寄与分のみの試算。
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[ガズー編集部]
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