TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 2021年シーズンのWRC参戦体制を発表。ヤリ-マティ・ラトバラが新チーム代表に就任
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、FIA世界ラリー選手権(WRC)でさらなる成功を収めるため、2021年シーズンに向けて参戦準備を進めています。2020年にチームに加入し7度目のドライバーズタイトルを獲得したセバスチャン・オジエは、キャリアを1シーズン延長し、2020年にドライバー選手権2位を得たエルフィン・エバンス、成長著しい若手のカッレ・ロバンペラと共に、2021年シーズンを戦います。
この3人の実力あるドライバー陣に加え、新たにヤリ-マティ・ラトバラがチーム代表に就任しました。WRC史上最も経験豊かなドライバーであるラトバラは、2021年1月からトヨタ自動車のモータースポーツアドバイザーに就任するトミ・マキネンの後を継いで、チーム代表を務めます。ラトバラは、ドライバーとしての視点も持ちながら、プロジェクトディレクターの春名雄一郎、スポーティングディレクターのカイ・リンドストローム、テクニカルディレクターのトム・フォウラーらと共にチームを率いていきます。
WRCで18回の優勝経験を持つラトバラは、TOYOTA GAZOO Racing World Rally TeamのWRC参戦初年度となる2017年からサクセスストーリーの一部を担ってきました。2017年開幕戦ラリー・モンテカルロでのデビュー数週間前からヤリスWRCの開発において重要な役割を果たし、ラリー・モンテカルロでは自らの運転でヤリスWRCを総合2位に導きました。そして、続く第2戦ラリー・スウェーデンでは、チームとヤリスWRCに最初の勝利をもたらしました。さらに、2018年の最終戦ラリー・オーストラリアでも優勝を果たし、トヨタのマニュファクチャラーズタイトル獲得に大きく貢献しました。
ラトバラは、ラリー界で最も人気のあるドライバーのひとりであるだけでなく、ラリーへの強い情熱を持っていることでも知られ、自分でメンテナンスしたトヨタのヒストリックラリーカーでラリーに出場しています。また、彼は2020年に世界中でTOYOTA GAZOO Racingのアンバサダーを務めてきましたが、それはチーム代表に就任しても引き継がれることになります。
多くの知識を持つラトバラは、トップラリードライバーがクルマやチームに何を求めているのかを理解しています。つい最近までWRCの最前線で戦ってきた彼の豊富な経験は、チームの若手であるロバンペラと、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムのドライバーである勝田貴元にとっても、大きな助けとなるでしょう。
<<豊田 章男 (TGR チームオーナー)>>
ヤリ‐マティへ。ドライバーとしての君をチームから送り出したのが1年前。その1年後に、また君にメッセージを出せていること嬉しく思います。2021年から新たなチームにしていくと考えた時、私の中でヤリ‐マティの顔が浮かびました。なぜなら、君に出会ってからこれまで、多くの場面で共感できるところがあったからです。
君は誰よりもファンやチームメイトを大切にしています。ドライバーだった君は、いつもサービスパークでクルマを降りると、真っ先にファンのところに行っていました。そしてメカニックやエンジニアなど、チームメンバーみんなを気にかけ、常に声をかけてくれていました。当時、それが計り知れないチームの力に繋がっていたし、そんな君の人柄が、チームタイトルにつながる強さの源だったと思っています。
また最初に君と会ったとき、君はフォルクスワーゲンのユニフォームを着たトップドライバーだったにも関わらず、自分が大切にしているセリカやカローラの話ばかりをしてくれました。翌年、トヨタのユニフォームに着替えてくれた君は、ヤリスを愛し、本当に大切に乗ってくれました。私もクルマを愛するカーガイの一人として、君のクルマ愛、トヨタ愛が本当に嬉しかったのを今でも覚えています。
そして最後に共通しているのは、「負け嫌い」です。2017年のオーストラリアラリーでリタイヤしてしまった時、君は誰よりも悔しかったはずなのに、サービスパークに戻ってきてチームのみんなに、自分のせいだと謝っていましたね。君には強い責任感がある。「負け嫌い」の心が、チームとクルマを強くしてくれることを私は知っています。
マネージャーとしての君の力は未知数です。私も、君にどんな可能性があるかは、分かりません。ただ、先に挙げた共通点が、君にチームを託す決め手になったことは間違いありません。君は絶対にチームの強さに結び付け、強いチームを作ってくれると信じています。新しいTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamを頼みます。一緒にヤリスの屋根に乗る日を楽しみにしています。
<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
豊田章男さんが私を信頼し、チーム代表に任命してくれたことを本当に光栄に思います。ドライバーとして初期からこのチームの一員だったので、章男さんとトミが一緒になってやってきたこの仕事を、引き継ぐことができるのは大きな喜びです。チーム代表として、今後は大きなビジョンで物事を見ていく必要があります。チームの全員が協力して最高の結果を出せるように、モチベーションを高めていかなければなりません。自分にとっては新たな挑戦ですが、とてもやり甲斐を感じています。チームをゼロから築き上げ成功に導くなど、トミは素晴らしい仕事をしてきました。それでも、さらに改善する余地はありますし、ドライバーとして長年学んできたことを活かし、チームの各ディレクターと協力しながらこのチームにできるだけ多くの成功をもたらしたいと思っています。2021年のシーズンはもうすぐ始まりますが、チームには既に実績のあるマシンと強力なドライバーが揃っていますし、1月のラリー・モンテカルロに向けて何をすべきか、誰もが理解しています。
[ガズー編集部]
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