ルーキーレーシング、S耐久公式テストで水素エンジンのカローラスポーツを公開

2021年4月28日、富士スピードウェイ、晴天の中5月末スーパー耐久第3戦の富士24時間に向けての公開テストが行われている。多くのチームが参加し各チームとも精力的にテストを実施している。

今回注目は、先日トヨタから発表された水素エンジンを、ルーキーレーシングがカローラスポーツに搭載し本日3回(合計3時間)テストを行うことだ。
そのテスト走行を前にTOYOTA GAZOO Racingよりクルマについての簡単な説明も行われた。

水素エンジンに特化してどんどん新しいものを新しくしていけば、より良いエンジンはできる。しかし、今回の車両コンセプトは、既存のエンジンを極力そのまま使うこと。そのため、これまでのエンジンの資産をしっかり活かしており、主な変更はインジェクター、プラグ、デリバリパイプだけとのこと。
水素供給側はタンク、配管ともにMIRAIの技術を使っている。タンクは4本搭載、搭載上の関係で2本は短くなっているそうだ。

一般的に水素エンジンは異常燃焼が難しく、今回は異常燃焼のコントロールを直噴化でコントロールしている。技術チャレンジは、まだ始めたばかりで完成しておらずレース活動の中で、異常燃焼のコントロール、適合をにつめていく。

さらにレースで走って本当に大丈夫にする安全への取り組みもしてきている。WEC、ルマンで水素エンジンのレースを目指しているFIA、JAFに協力を仰ぎ、安全の構造について研究してきた。
その結果、タンクの搭載範囲をクラッシュから守れる範囲におくことをルールとし、後突対策として、リヤ車軸より前に搭載する、乗員とタンクの搭載場所をわけることを決めた。前突、側突対策としては、タンクが外に飛び出ない、そして乗員を傷つけないために、60Gレベルに耐える専用のカーボンキャリアを設けている。
なお、前のタンクは横から装着、後ろのタンクは後方から装着できるようになっていて、交換可能な構造となっている。

ルーキーレーシングのピッドの横には水素STのクルマがスタンバイしており、24時間耐久の本番時には水素STが2台、他にローリが4-5台並ぶ予定だという。なお、水素充填時にポンプを稼働させるために自家発電機が必要となるが、本番時はバイオ燃料で動くものにするそうだ。
このように、レース活動トータルでCO2がでない(カーボンニュートラル)運営を目指すとのことである。

 

[GAZOO編集部  文:岡本 編集:山崎 写真:山崎]

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