トヨタが新型BEV、bZ4Xの詳細を公表。「電動車は退屈」という常識を覆すBEVならではのコンセプトとは?
トヨタ自動車は、カーボンニュートラルを推し進めるEV戦略「TOYOTA bZ(beyond Zero:ゼロを超えた価値)」シリーズの第一弾として、SUBARUと共同開発した専用プラットフォームを初採用する「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」のコンセプトや車両概要を発表した。また、2022年年央から、日本、北米、中国、欧州など各地域にて販売していくという。
ホームプラネットの発想で、「プラクティカル(実用的)&サステナブル(持続可能)」にCO2の排出量削減を目指すトヨタだが、今回発表されたTOYOTA bZシリーズにおける4つの目標価値では、単にカーボンニュートラルの実現にとどまらない。ヒトを中心とするクルマの新たな楽しさや価値の提供、地球、社会への貢献などにも取り組む、新たなモビリティ像を目指した取り組みとなっている。
①You & Others: ヒトとヒト
快適な移動空間に加え、大切な家族や仲間と過ごすかけがえのない時間と新しいライフスタイルを提供
②You&Your Car:ヒトとクルマ
BEVならではの運転の楽しさ、可能性を期待させるワクワク感の提供
③You & the Environment: ヒトと地球
CO2排出量など、マイナスを減らすだけではなくプラスを生み出す
④You & Society: ヒトと社会
安心・安全な社会づくりへの貢献
この目標価値を踏まえ開発されたbZ4Xは、「Activity Hub」というコンセプトを掲げ、乗車全員が一緒にワクワクする時間を過ごせる車を目指しているという。
また、トヨタ初となるe-TNGAの考え方に基づくBEV専用プラットフォームの採用や、最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の採用による高い安全性はもちろん、冬場の航続距離の確保(500㎞前後(FWD車・WLTCモード・社内測定値))や、世界トップレベルの電池容量維持率(10年後90%)など、電気自動車ならではの安心に対しても拘り抜いて車両開発を進めている。
bZ4Xの詳細 ①You & Others: ヒトとヒト
(1)どの座席に座っても広く静かで心和らぐ空間
- BEV専用プラットフォームによる、前後シート間距離1,000㎜を確保した、ひとクラス上の広い室内空間
- 低い位置のインストルメントパネル、大開口パノラマルーフ(装着車を設定)による解放感
- 遮音性の高いガラスを採用、風切り音も低減し、静粛性を向上
(2)全く新しいクルマでありながら、安心して使えるBEV性能
- 空力性能の追求、ボディ・ユニットの軽量化による、走行時の省エネ性能向上
- 走行以外の消費エネルギー、特に冬場の暖房による消費電力を減らすため、ヒートポンプ式エアコン、シートヒーター、ステアリングヒーター、前席乗員足元の輻射ヒーター(トヨタ初)の採用
- 世界各地域の高出力充電にも対応(DC急速充電では150kWに対応、30分で充電量80%まで充電可能)
bZ4Xの詳細 ②You&Your Car:ヒトとクルマ
(1)SUBARUとの共同開発を通じて磨き上げた走行性能
- e-TNGAの考え方に基づく、BEV専用プラットフォームの採用
- 低重心化、高剛性化を推進
<低重心化の取り組み>
薄型大容量電池パックを床下・平置きで配置
モーター、トランスアクスル、インバーターを一体化したe-Axleを採用(トヨタ初)
充電機能と電力分配機能を集約したElectricity Supply Unit(ESU)を採用(トヨタ初) - 主要骨格部位にホットスタンプ材、高張力鋼板を用いるなど、軽量で高剛性化への取り組み
- 素早いレスポンス、リニアな加速感など、高精度な出力制御でモーター駆動の特性を活かした走り
- 前後モーターの独立制御(AWD車)による、回頭性や操縦安定性の向上
- SUBARUのAWD技術、X-MODEを採用(AWD車、トヨタ初)
- X-MODEの新たな機能としてGrip-Controlを新開発し搭載
(2)新しいドライビング体験を支えるコックピット(メーター、操作系)
- メーターをステアリングホイールの上側を通して見えるように配置したトップマウントメーター(トヨタ初)
- ステアバイワイヤシステムと異形ステアリングホイールを組み合わせたワンモーショングリップ(トヨタ初)
<ステアバイワイヤシステムの特徴>
ステアリングの回転角度を持ち替え不要な約±150°に設定
ドライブモードセレクトと連動し、ステアリング特性を変更
ロードインフォメーションなどタイヤからの必要な振動のみ伝達 - ワンモーショングリップにより足元の空間の拡大
- ダイヤル式シフトの採用(トヨタ初)
(3)BEVの斬新さとSUVの迫力を表現したスタイリング
- 「Hi-Tech and Emotion」というデザインテーマのもと、BEVの先進感とクルマ本来の美しさを融合した造形にチャレンジ
- 長いホイールベースを活かした新しいシルエットのサイドビュー
- 空力アイテムが織り込まれたコーナー部と、上下に薄いバンパー形状により、BEVの独自性を表現フロントビュー
- リヤコンビネーションランプ、バックドア、バンパーが、タイヤへ向かう台形をテーマとした低重心なリヤビュー
(4)最新のインフォテインメントシステム
- クラウド上の地図情報を活用し、交通情報や駐車場の空き情報をリアルタイムで取得するコネクティッドナビを採用
- 充電施設表示、航続可能エリア表示等、BEV専用の機能にも対応
- 音声認識機能によりワイパーやエアコンなども動作可能
- OTA(Over the Air, 無線通信)による最新の予防安全パッケージToyota Safety Senseとマルチメディアシステムのソフトウェアアップデート
- スマートフォンを携帯していれば画面操作なしでロック、アンロック、システムスタートが可能となるデジタルキー(装着車を設定)
bZ4Xの詳細 ③You & the Environment:ヒトと地球
(1)エネルギーをつくり出すBEV
- 1年間で走行距離1,800㎞(社内試算値)に相当する発電量を生成ルーフソーラーパネルを採用(装着車を設定)
(2)リサイクルをはじめとする、CO2低減へのより積極的な取り組み
- 世界トップレベルの電池容量維持率を確保
- 電池3R(Rebuilt, Reuse, Recycle)のリサイクルへの取り組みも推進
- リサイクル素材を積極的に採用
bZ4Xの詳細 ④You & Society:ヒトと社会 安心・安全な社会づくりへの貢献
(1)最新の予防安全性能
- 「交通事故死傷者ゼロ」の実現に向けて、ミリ波レーダーおよび単眼カメラの検知範囲拡大した最新のToyota Safety Senseを採用
- 高度運転支援技術アドバンスト パーク[Toyota Teammate Advanced Park] (リモート機能付き)を採用(装着車を設定)
(2)BEVに求められる衝突安全性能の追求
- BEVユニットコンパートメントに左右のフロントサイドメンバーを強固につなぐクロス骨格を設定し、衝突のエネルギー吸収効率を向上
- 車両前方に2つのクロス部材を配置し、相手車両への加害性を低減
- 床下の電池パック全面搭載を実現するため、キャビン前側に強固な枠骨格を形成
- 衝突時の入力荷重を複数経路に分散させる構造を採用
(3)電池の安全性
- セルのに異物が混入したとしても異常発熱しない設計
- 異物混入を排除する製造プロセスを徹底
- 電池の電圧・電流・温度を多重で監視。異常発熱の兆候を検知し、発熱を防止
- 電池パックの冷却液が漏れても電池に冷却液が触れない設計
- ボディと一体となり衝突時の保護性能確保に寄与する大容量電池パックを新採用
(4)外部給電機能
◆DC外部給電機能(V2H,V2L)(日本仕様)
- アウトドアや災害時などの緊急時に、給電器を接続し、大出力の電力を住宅や家電に供給可能
bZ4Xの主要諸元
FWD車 | 4WD車 | |
車両重量・性能 | ||
---|---|---|
車両重量㎏ | 1,920~ | 2,005~ |
車両総重量㎏ | 2,195~ | 2,275~ |
最小回転半径m | 5.7 | |
一充電走行距離 (WLTCモード)㎞ |
500前後 | 460前後 |
寸法 | ||
全長㎜ | 4,690 | 4,690 |
全幅㎜ | 1,860 | |
全高㎜ | 1,650(アンテナ) | 1,650(アンテナ) |
ホイールベース㎜ | 2,850 | |
室内長㎜ | 1,940 | 1,940 |
室内㎜ | 1,515 | 1,515 |
室内高㎜ | 1,160(ノーマル/ソーラールーフ仕様) 1,145(パノラマルーフ仕様) |
1,160(ノーマル/ソーラールーフ仕様) 1,145(パノラマルーフ仕様) |
乗車定員 | 5 | |
モーター | ||
種類 | 交流同期電動機 | |
最大出力(フロントモーター)kW | 150 | 80 |
最大出力(リヤモーター)kW | ― | 80 |
最大出力(システム)kW | 150 | 160 |
動力用主電池 | ||
種類 | リチウムイオン電池 | |
総電圧V | 355 | |
総電力kWh | 71.4 | |
充電性能 | ||
AC充電器最大出力kW | 6.6 | |
DC充電最大出力kW | 最大150 | |
走行装置 | ||
ステアリング | ラック平行式電動パワーステアリングシステム | |
サスペンション フロント/リヤ | ストラット式コイルスプリング/ ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング |
|
ブレーキ フロント/リヤ | ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク | |
駆動方式 | 前輪駆動方式 | 四輪駆動方式 |
動力性能 | ||
加速性能(0-100㎞/h)秒 | 8.4 | 7.7 |
※日本仕様*・社内測定値】*日本仕様車はAWDを4WDと表記
「電動車は退屈」という常識を覆すという強い想い、そして、内燃機関の自動車の延長線上ではなく、BEVらしさ新しいカーライフの提案に挑戦する意欲的な姿勢は、より快適な移動、空間により、より豊かなカーライフを送ることができる可能性を見せてくれるであろうと感じられる。
そして、カーボンニュートラル、さらにbeyond Zero:ゼロを超えた価値という、高い壁をあえて設定することにより、bZ4X、そしてBEVの進化の速度が速まることも期待していきたい。
トヨタは、革新的で安全かつ高品質なモノづくりやサービスの提供を通じ「幸せを量産する」ことに取り組んでいます。1937年の創業以来80年あまり、「豊田綱領」のもと、お客様、パートナー、従業員、そして地域社会の皆さまの幸せをサポートすることが、企業の成長にも繋がると考え、安全で、環境に優しく、誰もが参画できる住みやすい社会の実現を目指してきました。現在トヨタは、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも一層力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。この変革の中において、引き続き創業の精神および国連が定めたSDGsを尊重し、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて努力してまいります。
[ガズー編集部]
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