マツダ、次世代バイオディーゼル燃料でS耐参戦! チーム母体のTEAM NOPRO野上監督に聞いた
11月13日、岡山国際サーキットで行われる2021年のスーパー耐久シリーズの最終戦で、マツダが次世代バイオディーゼル燃料を使用したレーシングカーを、ST-Qクラス※で走らせることを発表した。
※STO(スーパー耐久機構)が参加を認めたメーカー開発車両、または各クラスに該当しない車両
これは、マツダがカーボンニュートラルの実現に向け、次世代バイオディーゼル燃料の普及を目的とし、さらに来年からのフル参戦をも目指すプロジェクトの一環として行われている。
今回使用されているバイオディーゼル燃料は、ユーグレナ社製の「サステオ」で、使用済み食用油や微細藻類油脂を原料とした100%バイオ由来で精製されたものだという。
実質1か月ほど前からスタートしたプロジェクトだというが、そのチームの母体となっているTEAM NOPROの野上敏彦監督に、そのマシンについて伺った。
「思っていたよりも意外といける」という印象ですね。もともとは、37号車として通常のディーゼル燃料で参戦していたマシンを使用していますが、バイオディーゼル燃料の特性に合わせてエンジン機関に関する補器類などの仕様は変わっています」
「混合ではなく100%バイオディーゼル燃料を使っていますが、単純に燃料を変えただけですと若干パワーは落ちます。ですが、燃焼状態などをプログラムで調整することによって、パワーに関しては元の水準まで上げることができています」
「見た目でわかる違いでいうと、いろいろな補器類の都合で排気のパイプ径が細くなっています。通常のディーゼルエンジンであれば筒の中が煤で黒くなっていましたが、バイオディーゼル燃料は本当に煤が少なくてパイプ内が黒くもならないですし、そう意味でも本当にクリーンな排気になっていますね」と、その特性を語ってくれた。
TEAM NOPROとしても、ディーゼル燃料での参戦が6年目を迎えており、次の展開を模索していたという。
「観光船や大型トラックなどにバイオディーゼル燃料が使われる実証実験が広島で行われていたり、以前もトヨタさんがダカールラリーでランドクルーザーを走らせていたりと、バイオディーゼル燃料の幅の広さは知っていましたし、実際チームとしても下調べをしていたこともあります。まだ市販の燃料ではないので、今回はST-Qクラスでの参戦となりますが、このような新しいチャレンジに取り組めることは楽しいですしやりがいもありますね」
「世界中で自動車業界を取り巻く環境は厳しくなってきています。そうした中、トヨタさんの水素エンジンへの取り組みは共感するところもありますし、いろいろやってみないと分からないことも多いので、これまで取り組んできたディーゼル燃料のノウハウが何かに役立てばいいですよね。電気自動車の導入が難しい地域もあると思いますので、TPOに合わせて選択肢が多い方がいいと思います」
プロジェクトが動き出してわずか1か月ながら、Aドライバーの予選タイムでは0.7秒差と、TEAM NOPROのディーゼル燃料のマシンと遜色ないタイムで走ることができている37号車MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO。
今回は来季のフルシーズン参戦に向けてのテストレースとしての意味合いは強いかもしれないが、レースファンにとっても自動車業界にとっても意義のあるチャレンジとなっている。
そして、スーパー耐久のST-Qクラスへの参戦を通じた、モータースポーツを起点としたクルマの開発の輪は、今後もますます広がって行くことだろう。
(文:ガズー編集部 山崎 写真:堤晋一)
[ガズー編集部]
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