展示車両のオーナーに直撃!ユーザーに聞くマレーシアのクルマ事情【東京オートサロン・クアラルンプール2023】
マレーシアの首都クアラルンプールで初開催された『東京オートサロン・クアラルンプール2023』。その会場内で目立っていたのがオーナーカーの展示だ。
日本の東京オートサロンの場合、自動車メーカーやアフターパーツメーカー、チューニング&カスタムショップが仕上げた、いわゆるデモカーの展示が主体となるが、それに比べると『東京オートサロン・クアラルンプール2023』 はユーザーカー出展がとても多く感じられた。
もちろん日産自動車や三菱自動車などのメーカー、そのほか地元マレーシアのアフターパーツメーカーやチューニング&カスタムショップも多数参加していたが、会場内で取材をしていると「ユーザーカーも参加できるカーミーティング」といった空気感すら感じたほどだ。
そこで今回は、車両を展示していたユーザーに愛車のこだわりやマレーシアのクルマ事情などを調査! ちなみに、会場裏のミーティングエリアに集まっていたユーザー車両を調査した関連記事も公開中なので併せて読んでいただきたい。
■まるで新車のような輝きを放つ三菱ギャラン
マレーシアには旧車愛好家も多いが、その中でも有名だという1台が、エンジンから内外装まで徹底的にレストアされ、新車のような輝きを放つこの1974年式のA112A型ギャランSLだ。
初代は“コルト・ギャラン”という名称だったが2代目からはコルトが抜けて“ギャラン”という名称となった最初のモデル。
この年代のギャランはマレーシアにも数台しかいないそうで、非常に貴重な1台になっている。そんなギャランを愛し、乗り継いでいるのがJaafar Aliさん。ちなみに現在、このギャランは友人に譲ったそうで、元オーナーということになる。
そんなAliさんに旧車やギャランの魅力を聞くと、「ギャラン好きで、じつはこのクルマも含めると4台も同じモデルに乗り継いでいます。このクルマは友人に譲りましたが、70年代のスタイルが大好きで、その中でも三菱のホットモデルであるギャランは最高にクールなクルマです!」と嬉しそうに語ってくれた。
ちなみに現在のボディカラーは『ドラゴンレッド』で、これまでにカナディアン・グリーン→ダークレッド→ドラゴンレッドと変化してきたという。さらに搭載されている1.6Lの4G63エンジンもフルレストアし、普段から安心して乗れるようにセットアップされている。
インテリアも当初はボロボロだったそうだが、シートはオリジナルのデザインを踏襲しながらナッパレザーで特注した逸品。シートベルトやヘッドレストなども新規で製作したという話だった。そのほか、エアコンも最新システムに変更し、旧車でも快適に街乗りできるように仕上げられていた。
ホイールは定番のRSワタナベ製エイトスポークをチョイスし、当時のスタイルを大切にしながらカスタム。まさに旧車チューンのお手本のようなマシンと言えるだろう。
このクルマを見て、古き良きクルマを大切に乗り続けるマレーシアの文化を肌で感じることができた。
■女性オーナーが乗る、スタンス仕様のマツダCX-3
今回の東京オートサロン・クアラルンプール2023会場で意外に多かった車種がマツダのCX-3だ。その中でもクロスオーバーSUVとは思えないほど車高を下げたスタンス仕様がこちら。ピンクのボディカラーが印象的だが、なんとオーナーは女性だった!
オーナーのAh meiさんに、なぜCX-3をカスタムベースに選んだのか伺ってみると「カスタムベースとしてはまだ少なく、珍しいので選びました」と答えてくれた。
また、マレーシアではクルマ好きの女性オーナーが多いのか聞いてみると「クルマをカスタムしている女性オーナーもいますが、まだ少なくて、同じ趣味を持った友達もあまりいないんです。だから、こういったイベントを見て、増えてくれると嬉しいなと思っています」とも教えてくれた。
そんなこだわりは、極低車高を実現するために投入されたエアサスをはじめ、ロックフォードのサウンドシステムなどだ。
また、ホイールは、日本でもスタンス系カスタムで人気のロティフォームをチョイス。前後ともサイズは19インチとなる。ちなみにロティフォームとは、アメリカ西海岸(カリフォルニア)で生まれたホイールブランドで、本国はもちろん日本、さらに東南アジアでも人気に火がついているホイールブランドだ。
Ah meiさんのホイールは、蜘蛛の巣のようなデザインが特徴的なLAS-Rというモデルで、フロントには円盤のようなエアロディスクを追加してアクセントにしているのが特徴的。ちなみにエアロは、日本のブランド『シルクブレイズ』の製品を選んでいた。車種問わず、エアロパーツは日本製の装着率が高かった。
■番外編!通訳カズキさんの愛車、日欧カスタムのフィット
会場内に展示されていた車両ではないが、今回のマレーシア取材で現地の通訳を担当してくれたカズキさんは、通訳としてはもちろん、クルマ好きとしてマレーシアのクルマ事情もたくさん教えてくれた。そんな彼の愛車は、ホイールやブレーキ、内装などに手が加えられたホンダ・フィット。
ちなみにマレーシアやインドネシア、タイなどの東南アジア諸国では、フィットではなく『ジャズ』という名称で販売されているが、和樹さんの愛車はジャズではなく日本仕様のフィット。
まずは、なぜフィットを選んだのか聞くと「クアラルンプールは生活費も高いので、小型のクルマが人気です。例えば、マレーシアの自動車メーカーであるプロトンやプロドゥアもコンパクトなモデルが中心ですし、そのほか日本車も人気です。その中でも少し人とは違い、さらに走りもカスタムも楽しめるクルマとしてフィットを選びました!」と教えてくれた。
今回の取材では、カズキさんのように “日本から輸入して本国仕様に乗る”というクルマ好きがとても多く、ほかの東南アジア諸国とは違った印象を受けた。
フィットの変更点は、サスペンションやホイールのほか、ポルシェ・カイエン純正ブレーキキャリパーやBMW純正シートなどを流用するなど、欧州車の部品を活用しながら日本車のフィットをユーロテイストにカスタム。ラゲージスペース下には、JBL製ウーファーも搭載していた。
今回の東京オートサロン・クアラルンプール2023で取材して感じたのが、ユーザーカーの出展がとても多く、パーキングなどで開催されているカーミーティングのような空気感があったことだ。日本のようにメーカーやショップが手塩にかけて仕上げたデモカーも面白いが、ユーザーカーの多い会場内を見ていると、昔の東京オートサロンに近い雰囲気もあった。
実際にそのクルマに乗るオーナーの話も聞くことができ、リアルなマレーシアのクルマ事情やカスタム&チューニングの人気なども探ることができてとても興味深い取材の機会となった。
(文:三木宏章 写真:平野 陽、三木宏章)
東京オートサロン
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