GRフェスティバルが沖縄で初開催!モリゾウ選手らの“大爆走”デモランで笑顔あふれる1日に

  • GRフェスティバル沖縄に来場した観客
2024年3月16日、TOYOTA GAZOO Racingは沖縄県豊見城市にある豊崎美らSUNビーチにて「GRフェスティバル沖縄」を開催し、モリゾウ選手やプロドライバーが豪快なデモランを披露するなど、来場した11,000人もの観客を魅了した。

那覇空港や那覇市の中心地から30分以内という沖縄県の西海岸にある豊崎美らSUNビーチは、GAZOO.comでも出張取材会 in 沖縄を開催した思い出の場所。青い海に白い砂浜、そして芝生の広場が広がり、さらに隣には約3,000台もの駐車場を備える複合商業施設のイーアス沖縄豊崎やDMMかりゆし水族館があるなど、沖縄県民にもお馴染みの観光エリアだ。
今回のこのイベントが開催された背景には、沖縄市を中心としたモータースポーツで地域を盛り上げる活動が進んでいることが挙げられる。
沖縄市では2015年から、1日に2万人を集めるコザモータースポーツフェスティバルが開催され、2021年には運営母体が沖縄市であるモータースポーツマルチフィールド沖縄がオープンした。さらには本格的なサーキットの建設に向けた取り組みも進められている。
そして隣のうるま市でもモータースポーツ振興推進事業に取り組み、2023年には「うるま市長杯2&4レースin伊計島」などのイベントも開催している。

そうした県内の背景とともに、平良響選手や翁長実希選手などの沖縄出身のレーシングドライバーが活躍を始めたことで、TOYOTA GAZOO Racingとしても沖縄でのモータースポーツを盛り上げるべく、3年前からTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジの開催を模索、ついに2024年3月17日に開催される運びとなった。

そしてそのラリーチャレンジが開催される前日に、このGRフェスティバル沖縄が行われ、まさに沖縄がモータースポーツで熱く盛り上がる週末となった。

これまでGAZOO.comでは、オキナワモーターショー2023やマルチフィールド沖縄などの取材を行ってきたが、より沖縄のクルマ好き事情を理解し読者のみなさんにお届けするべく、現地にて取材を行った。
今回開催されたGRフェスティバル沖縄は入場無料ながら大人から子どもまで楽しめるたくさんのコンテンツが用意された。園内の駐車場を走行コースに設定し、デモランのみならず、デモラン以上に激しい!? 同乗走行が行われたり、ジムカーナ対決などモータースポーツに興味のない人にも分かりやすく、かつ盛り上がりやすい内容に。

さらに、SUPER GTに参戦するGR Supra GT500の乗車体験やGRヤリスの限定バージョンの展示、地元の86BRZオーナーズクラブの車両展示など、クルマ好きが楽しめるコンテンツも用意されていた。

そして、クルマ系のイベント以外にもライブステージが行われ、ゲストMCに国仲涼子さんやMAXをはじめとした沖縄出身のアーティストやエイサーなどのステージで盛り上がり、飲食店ブースやお子さん向けのふわふわなど、ファミリーが楽しめるイベントとなっていた。

テレビCMなどでもイベントの告知がされたことなどもあり、実際にお子さん連れの家族がとても多く、初めて見るレーシングカーの走行や音を体感して、その驚きを楽しそうに話していたのが印象的だ。
デモランでは、モリゾウ選手がGRヤリスのラリー1マシンを舗装路から飛び出すほど豪快に振り回し、同乗走行しながらのデモランでも容赦なく(!?)WRCマシンの大迫力な走りを届けた。
途中縁石にヒットする場面もあったが、逆に外れた縁石にサインをするなど「モリゾウコーナー」として記念撮影を行う一幕も。

沖縄出身でKYOJO CUPなどで活躍する翁長実希選手は超貴重なスーパーカー、50台限定で発売されたLFAのニュルブルクリンクパッケージをデモラン。少し緊張気味ながらも4.8LV型10気筒の甲高いエンジン音を響かせてくれた。

レーシングドライバーのみならず車両開発も務める佐々木雅弘選手は、ドリフト仕様のJZX100チェイサーを持ち込み人一倍タイヤスモークで会場を真っ白にすれば、全日本ラリー選手権7度のチャンピオンを獲得している勝田範彦選手も、GRヤリスでラリー仕込みのテクニックを大いに披露してくれた。
沖縄では初の走行となるモータースポーツ車両たちの豪快な走りに、約500mもあるコース沿いには二重三重の人だかり。特にメインエリア(最初の写真)についてはまさにごった返すような状況だったが、お子さんはもちろん、おじいちゃん、おばあちゃんからも興奮と笑顔が伝わってきたのが印象的だ。

その後行われたジムカーナ対決では、佐々木雅弘選手が見事な走りで勝利を挙げたが、最後のドリフト車庫入れを完璧に収めた時には拍手喝采! 勝田範彦選手やモリゾウ選手が段ボールの壁に接触した際にも温かい笑いに包まれるなど、会場全体に一体感も感じられたほどだ。
ジムカーナ対決の終了後には、MAXによるスペシャルライブで大いに盛り上がった来場者のみなさん。最後にはモリゾウ選手もステージに登壇し、「来年もGRフェスティバルやって欲しい人ーー」との呼びかけに大きな拍手と旗が振られ、期待感の高さも感じることができた。
実際に来場していた方にもお話を聞いたのでお届けしていこう。
GRフェスティバル沖縄で同乗走行を体験したお子さん
満市から来たというこちらのお子さんはTVのCMで開催することを知り、友達が誘ってくれたことで来ることができたそう。普段からドリフトの動画を見るのが好きということだが、なんと8人という同乗走行の狭き門に見事に当選!

「最初は楽しみだったけど、乗ったらちょっと怖かったです。でもモリゾウ選手が怖かったら肩をたたいてねと言ってくれたり優しかったです。見てるより乗る方が楽しくて、僕もこんな風に運転できるようになりたいです」と、興奮気味に話してくれた。

今回の同乗走行は8枠と少なかったが、イベントを盛り上げるためにもっと同乗走行の枠を増やしてほしいという声も聞かれた。
こちらは浦添市から来たご家族。ご夫婦ともクルマやモータースポーツが好きで、今回は奥様がフォローしているトヨタのLINEやインスタグラムなどで開催を知ったそうだ。息子さんはドラッグレースが好きで、市販車は「ちょっと古いシビックタイプRが好き。トヨタ車だったらチェイサーかな」という、すでにかなりのクルマ好きだ。

モータースポーツはテレビでは観戦しているというが、こうしたレーシングカーが走るのを実際に見るのは初めてで、音やタイヤスモークなどを体感することができてとてもいい経験になったという。
こうしたイベントの開催が続けばクルマ好きは増えていきそうかと伺ったところ、「絶対増えていきますよ!」と自信を持って答えてくれた。

インタビュー中、モリゾウ選手がクルマに乗って近くを移動する際、奥様が満面の笑みで「モリゾウさーん!」と手を振っていた。この沖縄でこれだけのイベントを開催してくれたこと、また素晴らしいパフォーマンスと来場者一人一人に語り掛けるように楽しませてくれたことが、こうしたファンの熱い応援を生み出しているのかもしれない。
こちらのご家族はウェブとTVのCMで開催を知り糸満市から駆け付けたそう。もともと旦那さんはアルテッツァに乗ってカスタムも楽しんでいたというクルマ好き。

そんな旦那さんはモータースポーツも好きなのだが、今では奥様の方がハマり、SUPER GTやスーパーフォーミュラの情報をいろいろ収集しているそう。実は今回のイベントに向けて娘さんのレースクイーン風の衣装を1週間かけて自ら作ってきたということからも、イベントの開催を楽しみにしていたことが伝わってくる。
息子さんもミニカーを持ってきて展示されていたクルマと見比べてみたり、GR Supra GT500に乗ることができてすごく喜んでいたそうだ。

実際にツインリンクもてぎ(当時)や鈴鹿サーキットに観戦に行ったことがあるというが、沖縄では自分で走っている人以外ではテレビでの観戦も含めモータースポーツは敷居が高いと感じる人が多い印象だという。
だからこそ今回、実際に音など直に観戦しないと肌で感じられないことを体験できたことで、モータースポーツをより身近に感じて好きになる人が増えるのではないかと感じたという。
 
2家族には、少し意地悪ながら「有料のイベントでも来場したいか?」という質問もしてみた。その回答はもちろん“イエス”で、1,000円くらいはどうかと聞いてみれば「全然いいんじゃないですか!」と答えていただいたり、逆に「継続することに意味があるし、継続するためには有料にするのは必要かもしれません」という答えもいただいた。

3月の沖縄はちょうどいい気候で当日は晴天にも恵まれたことが、今回のイベントの大成功の一つの要因であったのは間違いないだろう。だた、天候や入場料がどうあれ、沖縄の方々はこうした本格的なクルマのイベントを待ち望んでいるということはさまざまなところで感じられた。
それはデモランで走るクルマを見て、おばあちゃんとお母さんが興奮して「すごい!」と楽しんでいる姿、柵にかじりついているお子さんや目をキラキラさせた“大きな子供”たちなど挙げればキリがない。

このGRフェスティバルはフィリピンやタイでも開催しており、日本国内外にかかわらず他にもこうしたイベントを開催してほしいという地域もあるとのことで、沖縄で来年も開催されるのかはまだ決まっていない。
だが、GRフェスティバル沖縄はもちろん、翌日に開催されたラリーチャレンジの会場もたくさんのファンやファミリーで盛り上がっており、モータースポーツ人気が高まっていくであろうことが感じられた。

今回のイベントは「クルマ好きを増やす」ということも目的とされているが、クルマ文化の沖縄でも「クルマは楽しめるモノ」であることが改めて感じられたのではないかと思う。

編集部としても純粋にクルマを楽しむ雰囲気を肌で感じさせてもらいいい刺激となるとともに、改めていろいろなクルマの楽しみをこれからも届けていきたいという気持ちが高まる取材となった。
  • GRフェスティバル沖縄のゲストドライバーの看板
  • GRフェスティバル沖縄での86BRZオーナーズクラブのオフミーティングの様子
  • GRフェスティバル沖縄でのオフ会のAE86
  • GRフェスティバル沖縄で飾られていた「MORIZO」パネル
  • GRフェスティバル沖縄でデモランを行ったWRC用マシン
  • GRフェスティバル沖縄でデモランを行ったチェイサーとLFA
  • GRフェスティバル沖縄でデモランを行ったGR86
  • GRフェスティバル沖縄のピットの様子
  • GRフェスティバル沖縄のパレードランで箱乗りする佐々木雅弘選手とMINAさん
  • GRフェスティバル沖縄のパレードランで箱乗りする勝田範彦選手とNANAさん
  • GRフェスティバル沖縄でタイヤスモークに覆われる会場
  • GRフェスティバル沖縄の人だかり
  • GRフェスティバル沖縄でサインにも気軽に応じるモリゾウ選手
(文、写真:GAZOO編集部 山崎)