沖縄市 桑江市長「若ければドリフトにチャレンジしてみたい」モータースポーツで地域活性化を目指す
沖縄で初めてのJAF公認ラリー(TGRラリーチャレンジ)が沖縄市とうるま市で行われた。特に沖縄市はオキナワモーターショー、一昨年まではコザモーターフェスティバルを運営し、政策にサーキット建設をあげている街だ。クルマ好き向けの政策を行っている沖縄市の桑江朝千夫市長に、愛車歴、サーキット構想、カーボンニュートラルについてお話をうかがった。
若ければドリフトにチャレンジしたい
桑江市長は1956年沖縄市生まれ。市長はきっと“車好きで、やんちゃな車に乗っていたに違いない”と想像して真実を確認してみた。
―市長―
「学生時代、社会人時代は東京で過ごしており車を所有する必要がなく、若い頃は愛車を保有していませんでした。バイトではトラックやハイエースのマニュアル車は運転していましたね」
それならば、今どんな車に乗ってみたいのか聞いてみると、
―市長―
「マニュアルのスポーツタイプの車に乗ってみたいですね。助手席でドリフト体験をしたことがあるのですが、ドキドキびっくりしました。まさしくスポーツという感じ、若ければやってみたいですね。」
と嬉しそうに教えてくれた。桑江市長は市長になってから多くのクルマ好きと接する機会があり、そこでクルマの楽しさを知ったのだろうなと想像した。 “クルマ好きがクルマ好きを育てる“のだ。
モータースポーツの聖地化に向けて
沖縄市の人口は那覇市に次いで県内2位、しかも増加中であり中部圏の核となっている都市である。また嘉手納基地に隣接するコザは国際色豊かな街で、バスケW杯会場地にもなった沖縄アリーナもあり、若い人が多い街だ。一方で、沖縄市は西海岸リゾートや美ら海水族館に向かう観光客には通過されてしまうのだ。
そんな沖縄市の桑江朝千夫市長は、モータースポーツと経済の関係に着眼し、モータースポーツによる観光と自動車産業による地域活性化を進めている。公約は、 “本格サーキットの建設”。現在、県内でのモータースポーツの聖地化に向け邁進している。
県内のモータースポーツの聖地化を目指しているが現在の状況は、
―市長―
「聖地化まだまだですね。昨日の豊見城市でのGRモーターフェスティバルや本日のTGRラリーチャレンジのように、多くの関係者が沖縄と様々なイベントなど開催し、沖縄県民が大きなレーシング場、サーッキトが欲しいなという機運になるまで持っていかないといけないんです。県民の理解を得ないといけないんです。」
富士スピードウェイや鈴鹿サーキットをはじめ、国内のサーキットの殆どは民間企業が所有しており、企業の経営方針に従い造られ運営されている。そのため、沖縄市が目指すサーキット建設とは根本的に異なるものだ。
モータースポーツを県民に理解してもらうための活動については、
―市長―
「7~8年前からコザモーターフェスティバル、そしてオキナワモーターショーを開催しています。その途中にモータースポーツマルチフィールド沖縄をつくり、機運醸成ならびにモータースポーツというものを市民、県民に対して理解促進を行っています。」
ターゲットになりそうなモータースポーツについては、
―市長―
「モータースポーツは世界的なものであり、沖縄は地理的にアジア、香港や台湾、そしてオーストラリアにも有利です。ですから日本がメッカであるドリフト、そのへんがターゲットになります。また、モータースポーツ振興、モータースポーツ関連の産業が起きるんではないかと期待しています。」
そんな中、TGRラリーチャレンジに期待することは、
「ラリーカーのような特別なクルマが公道を走ったり、豊田会長が選手として走っていたりすると、県民の皆さまに凄いなと思ってもらえます。また企業が沖縄市を応援してくれていると注目も集まります。」
一部かもしれないが、沖縄のクルマ好きからはサーキットに対する待望感は根強くある。一方で、沖縄でサーッキト建設に向けて大事なことは「モータースポーツは国内だけでなく、海外から多くの観光客や関係者が訪問し、沖縄県に経済的にメリットがある」ことを県民に理解してもらうことのようだ。
将来の沖縄市のモビリティー
私が沖縄を始めて訪れた30年近く前は、塩害で驚くほど錆びているボロボロのクルマを多く目にした記憶があるが、今そのような車を見ることはレアだ。本州と違う点は、走っている車の種類が少し違う気がする。ワンボックス、SUV、輸入車が少なく、軽自動車やコンパクトカーが多く、意外に3代目プリウスとプリウスαが目につく。
沖縄市には今後どんなクルマが増えるとお考えなのか聞いてみると、
―市長-
「沖縄市は東海岸に人口島である潮乃森を開発中です。ここはカーボンニュートラルの街を目指しており、全てのホテルにおいてCO2排出をゼロにする予定です。ですから((世の中の方向性から考えると)モビリティーもそのような車になっていくのでしょう。」
「一方で我々にはまだ馴染みは浅いのですが、今回のようなラリーは文化として残っていくものだと思います。クルマのレースであるのに、ギスギス感が全くなく、アットホームな雰囲気、そして色々な人が下支えてくれて、大先輩達もいる感じも良いですよね」
沖縄には水力、原子力発電がないため、主に化石エネルギーに頼っているが、再生エネルギーやLNGの利用率を高める取り組みを行っている。沖縄でもCO2排出量を減らす取り組みは進んでおり、沖縄市もゼロカーボンシティ宣言をしている。なお潮乃森は県内最大級となる900mのビーチもあるため今後観光客にも注目されるだろう。
桑江朝千夫市長にインタビューをして、地域活性化として取り組んでいるサーキット構想が実現すれば、沖縄市に経済的に効果を生むだけでなく、沖縄のクルマ好きは増えるだろうと確信した。というのも、サーキットができると、クルマ好きが集まり、走らせ、会話するこができ、クルマ好きがクルマ好きを育てるからだ。TGRラリーチャレンジの1週間前にGR Garage沖縄もオープンし、ますます気運は高まりそうだ。
(文:GAZOO編集部 岡本、写真:GAZOO編集部)
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