完全オリジナルのフルカスタム仕様から、敢えてメーカー出荷時を目指した再生仕様まで、学生たちの集大成をお披露目・・・東京オートサロン2026

自動車の整備や鈑金、さらにはカスタマイズまで、希望に添った学科が細かく設定されている自動車整備系の専門学校。その卒業製作的な課題として、東京オートサロンへの出展車両製作を設定している学校は多く、来場者の中には、そんな学生たちの作品を楽しみにしている人も少なくはない。このページでは、多数展示されていた学生さんたちの手による、出展車両の中から数台をお見せしよう。

NATS袖ヶ浦 HONDA Life

  • NATS袖ヶ浦 HONDA Life

ありきたりな表現だが、“新車のように”再生された初代ホンダ・ライフを展示していたのがNATS日本自動車大学校 袖ヶ浦校。

再生に携わった生徒さんを指導された先生にお話を伺った。まずベースになったライフは、実習場に長期間放置されていた車両とのこと。再生時に苦労したのは、まず部品の取り外し。旧車なので代わりの部品を探すのは容易ではないので、いかに壊さずに部品を取り外すかが大変だったそうだ。

そしてボディカラー。できる限りオリジナルに戻したいという思いがあったので、元色を再現するのにご苦労されたという。ちなみに再生前は、イエローに全塗装されていたそうだが、内装など純正塗装がわかる部分の塗膜や、グレードなどから元色となるこのグリーンを再現したという。

携わった生徒さんが卒業する3月には、このクルマで移動する“テストランキャラバン”という卒業旅行が実施されるそうで、そのゴールで有終の美を飾ることになる。

  • エンジンルーム内も美しく再生。消耗部品などの手配も苦労されたかと思いきや、専門店から多くのゴム部品などが供給されているそうで、見た目だけでなく性能的にもしっかりと再生できたそうだ。

  • 再生前の状態では、ホイールがアルミに変更されていたが、オリジナルの外観にこだわって純正のスチールホイールを探し出し、これも美しくレストアして装着。こういったこだわりが完成度の高さに繋がっている。

アンフィニRX-7 TIST ORIGINAL

  • アンフィニRX-7 TIST ORIGINAL

先輩がカスタマイズを施し、2022年に東京オートサロンに出展したというアンフィニRX-7(FD3S型)を、限りなくオリジナルな状態に戻し、再び東京オートサロンの舞台に登場させたという筑波研究学園専門学校の生徒さん。

このRX-7は1992年式の1型、つまりマツダRX-7ではなく、アンフィニRX-7。オリジナル化にあたり、アンフィニブランドだったところが苦労の元になったという。

例えばアルミホイール。アンフィニのロゴが入ったセンターキャップ付きのホイールは、現在では、なかなか中古市場に出てこないそうで、入手するまでに3〜4ヵ月も要したそうだ。そんなホイールや、イエローに色替えされていたボディを純正色に塗装し直すなどして、現在の状態へと再生。

インテリアやエンジンもカスタマイズされていた部分や、破損していた部分をオリジナルに戻すという地道な作業を積み重ね、オリジナルな1型RX-7に仕上げてきた。

  • 部品の手配に、なんと3〜4ヵ月も要したという純正アルミホイール。入手したモノは塗装ハゲなどが当然あったので、こちらもしっかりと再生作業を施し、新車同然の状態まで仕上げたそうだ。

  • 本体には不具合はなかったそうだが、一度エンジンを降ろして、エンジンルームを純正色のレッドで再塗装することで、30年以上前の車両とは思えない美しいエンジンルームを再現。吸気系はカスタマイズされていたので、1型の元の形に戻したそうだ。

GAUS☆86Ver3

  • GAUS☆86Ver3

群馬にあるカスタムショップ、MOONTECHと、小倉学園群馬自動車大学校のコラボレーションで仕上げられた“GAUS☆86Ver3”。MOONTECHが車両のプロデュースを行い、群馬自動車大学校のカスタマイズ科19期生の生徒さんたちが、それを元に具現化していくといったスキームで製作。

単に具現化したわけではないそうで、学生さんたちの「やってみたい」、「学びたい」を詰め込んでいるという。例えばボンネットは、カスタマイズのバランスを考慮しつつ、学生さんが自らデザインし、造形したワンオフ品を装着しているそうだ。

残念ながら製作に携わった生徒さんたちは、取材に伺った時には会場にいらっしゃらなかったので、指導された先生にお話を伺ったのだが、今後、カスタマイズ業界に就職されるであろう生徒さんたちにとって忘れられない一台となったはずだ。

  • サイクルフェンダー化も生徒さんたちの力作。製作予算も決まっている中で、カスタマイズ感を高めるべく、純正部品をポリッシュするなど、生徒さんたちのアイデアと手間が詰まった仕上がりとなっている。

  • ボンネットは、デザインから造形まで生徒さんたちの手で行われたというワンオフ品。他のカスタムパーツと見事に調和するデザインを実現している。このボンネット製作でも、モノ造りの楽しさや難しさをきっと学べたはずだ。

IS300 Velocita

  • IS300 Velocita

トヨタ東京自動車大学校の生徒さんの作品が、アルテッツァをベースに作り上げたIS300 Velocita。『90年代のスポコン仕様』というコンセプトでカスタマイズを敢行。特にこだわった部分を伺うと、リヤバンパーの造形だそうで、90年代のスポコン仕様の定番ベース車両であったシビックのエアロの造形を、アルテッツァのリヤバンパーに落とし込んだことが“IS300 Velocita”の大きな特徴となっている。

ボディカラーはスポコンらしいキャンディグリーンで、もちろんオールペイントも学生さんの手で行われている。組み合わせたメッキ仕上げのホイールと相まって、見事なスポコン仕様に仕上った。ちなみにエンジンは、3リッターの2JZ-GEにスワップしてある。

  • アルテッツァらしからぬビジュアルに仕上げられたリヤビュー。アルテッツァのバンパーをベースに、シビックのエアロパーツ(デュフューザー形状の部分)をミックス。その他トランクリッドを大胆にスムージングして、印象を大きく変えている。

  • 本来は2リッター直列4気筒の3S-GEエンジンが搭載されていたが、3リッター直列6気筒の2JZ-GEにスワップ。美しい直6サウンドと、ゆとりある大トルクで上質なクルージングを実現させる。

80’sレーサー風パブリカピックアップ

  • 80’sレーサー風パブリカピックアップ

1978年式のパブリカトラックをベースに、カフェレーサーカスタムを施したのがトヨタ神戸自動車大学校の生徒さん。エクステリアはもちろん、エンジンルームや内装までしっかりと再生されたパブリカに、エアロパーツなどのアイテムをプラスして、レーシーに仕上げたそうだ。

オーバーフェンダーなどのエアロパーツは、生徒さんたちによる独自のデザインだそうで、型を作りFRPで仕上げられている。指導をされた先生にお話を伺ったところ、FRPの成形がなかなか思い通りに進まず、生徒さんはもちろん先生も苦労されたそうだ。そんな苦労の甲斐もあって、パブリカが見後にレーシングカー風に仕上がった。

  • なかなか思い通りのラインや面が作れなかったというオーバーフェンダー。トヨタの純正色であるプラズマオレンジに塗装されているので見えないが、塗膜の下には、生徒さんや先生の苦労の痕跡が隠されているそうだ。

  • 外観だけではなく、インテリアもレーサー風にしっかりと仕上げられている。フロント側まで伸びるロールケージや、ローバックのバケットシートなど、80年代のレーサーを名乗るに相応しい見栄えを実現している。

NATS C91spider

  • NATS C91spider

2022年の東京オートサロンで、映画ワイルドスピードに登場するブライアン・オコナー仕様を展示していたNATS日本自動車大学校が、今年は“コペン”をベースにした同コンセプトのマシン製作。その名も『NATS C91spider』。

製作時の苦労話を伺うと、「リヤフェンダーの造形が難しかった」、「ボディカラーのオレンジの塗装が大変だった」といったお答えが返ってきた。そんな苦労をしたからこそ、『オートサロン会場で多くの来場者さん見てもらえた』と、達成感と感動を得たそうだ。

ちなみに、2022年に製作したSC430ベースの車両も並べて展示していたのだが、2台を見比べた来場者が「小さっ! でもカッコ良い!」という声が聞こえてきた。それこそが生徒さんたちにとって最高の褒め言葉だったようで、とても嬉しそうな表情をされていたのが印象的だった。

  • リヤのオーバーフェンダーの造形は、製作に苦労させられた部分のひとつ。ベースがコペンということで、限られた寸法の中で、いかに美しくカッコ良いラインを作り出すか、粗形状を出す段階からかなり悩んだそうだ。

  • ランボルギーニの純正色としても採用されているボディカラーのオレンジは、塗装工程が長く、綺麗に発色させるだけでも大変な色なのだそう。さらに、例えばオーバーフェンダー上部の小さなパネルなどは、塗装時の固定方法が難しくかなり苦労して仕上げたという。

(文章・写真:坪内英樹)
[GAZOO編集部]

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