人はナゼ、長蛇の列を作り並ぶのか?『限定ミニカー』に集まった熱狂・・・東京オートサロン2026

  • ミニカー物販@東京オートサロン2026

東京オートサロン2026の会場で、実車さながらの人気だったミニカー物販。事前に情報をチェックし、「会場限定」や「数量限定」といったレアなミニカーを狙って足を運ぶ来場者は年々増加の一途を辿っている。特に話題となった人気モデルの前には開場直後から人だかりができ、あっという間に“完売”を知らせる表示も目立っていた。

ミニカーは、クルマを好きならばコレクションに。そして東京オートサロン2026の限定ミニカーならばオートサロンの想い出のお土産にもなる。ここでは、そんな『ミニカー旋風』を覗いていただきたい。

トミカブース

  • トミカブース@東京オートサロン2026

オートサロンの限定ミニカーと言えば、やはり「トミカ」の存在は欠かせない。毎年多くの来場者が、トミカからリリースされる“会場限定モデル”を求めて列を作る。その光景は、お正月明け一発目となる一大カーイベント、東京オートサロンの風物詩ともなっている。

イベント初日の販売ブース前には開場前から行列ができ、限定モデルを求める来場者で熱気に満ちる。事前予約販売だけでなく当日販売の列も長く伸び、ミニカー売り場は一日中活気に満ちていたのが印象的だった。

  • 東京オートサロン2026開催記念トミカとイベントオリジナルトミカ

トミカの販売ブースでは、人気車種3種に東京オートサロンのロゴをあしらった『開催記念トミカ』をはじめ、イベントオリジナルとなるゴールドカラーのトヨタGRカローラ、『ドリームトミカ 頭文字D スペシャルセット(5台セット)』、『LV-N日産スカイラインGT-R(R32)など、特別感のあるモデルが揃えられていた。

なかでもGRカローラや、イニシャルDの高橋啓介の愛車として知られるマツダRX-7(FD3S型)は実車展示も行われ、実車を見たあとに同モデルのミニカーを手に取る来場者の姿も多く見られた。そんなミニカーの限定モデルだが、近年ではミニカーメーカーだけでなく、自動車メーカー自身が東京オートサロンの会期に合わせて、限定モデルを用意するといった潮流も確立しつつある。

TOYOTA GAZOO Racingブース

  • 1/43スケール『GR GT3』
  • 1/43スケール『GR GT/LEXUS LFA/TOYOTA 2000GT 3台セット』

1/43スケールの『GR GT3』と、1/43スケールの『GR GT/LEXUS LFA/TOYOTA 2000GT 3台セット』は、いずれも3日間合計で各450台(初日100台、2日目175台、最終日175台)が先着で限定販売された。この“175台”というのは、実車のレクサスLFAが発売された当時、日本での割り当て台数が175台であったのと同数。そんな所にも粋を感じた。

そして、まさにこの記事を書くための取材で、初日の午前10時過ぎにブースを訪れた際には、既に『GR GT3』は完売。さらに7万円近いプライスだった『3台セット』も商品札を手に取っていく来場者の姿が途切れることはなく、GAZOO Racingの人気の高さを感じさせた。

日産ブース

  • Hot Wheels製『スカイラインGT-R(BCNR33 NISMO R-tune)』
  • 日産ミニカーの完売表示

一方、日産自動車ブースでも数量限定のミニカーが用意されていた。なかでも注目を集めていたのが、Hot Wheels製の『スカイラインGT-R(BCNR33 NISMO R-tune)』だ。しかし販売開始から1時間ほどで午前分は完売し、午後の販売分を残している状況に。そして『スカラインGT-R(BNR32)』、『BCNR33』、『BNR34』の3台もこの時点で当日分がすでに完売していたことからも、その注目度の高さが伺えた。

Liberty Walkブース

  • Liberty Walkが展開するミニカー_ TAS 2026 Special BOX

また、国内外に多くのファンを持つ有名チューニングショップにとっても、会場限定ミニカーは欠かせない存在となっている。自社の世界観や歩んできた歴史を凝縮した一台は、プロショップとファンを繋ぐ象徴としての役割も果たすからである。

  • Liberty Walkが展開するミニカー_ FUSOスーパーグレート
  • Liberty Walkが展開するミニカー_ 180SXとMcLaren 720S LB

Liberty Walkでは、1/43スケールと1/18スケールの特注品を含む全6点の限定モデルを展開。開場から30分ほどでブース前には長蛇の列ができ、カウンターでは次々とミニカーを求める声が飛び交っていた。

VeilSideブース

  • VeilSideが展開するミニカー_フェアレディZとスカイラインGT-R(BNR32型)

ショップ限定ミニカーを求めて来場者が群がる光景は、他の有名チューニングショップでも同様だ。VeilSideでは、自社エアロをまとったMINI GT製1/64スケールのフェアレディZとスカイラインGT-R(BNR32型)を用意。Tシャツやミニカー3点セット購入者のみが購入できる条件付き販売にも関わらず、初日は開始から1時間ほどで当日分が完売するなど高い人気を見せていた。

トップシークレットブース

  • トップシークレットが展開するミニカー
  • トップシークレットが展開するミニカー4車種
  • トップシークレットが展開するガレージのジオラマ

『スモーキー永田』の愛称で、今や世界中のクルマ好きから注目を集める、チューナー永田氏が率いるトップシークレット。999点限定モデルを往年の人気スポーツカー、『スカイラインGT-R(BNR32/BCNR33/BNR34)』、『スープラ(JZA80)』の4車種を用意。初日中に完売するモデルも見られるなど、ブース内は終始賑わいを見せていた。

HKSブース

  • HKSが展開するミニカー_『HKS R35 GT1000+』

HKSからは、2014年WTACで“世界最速”を掴んだ伝説のマシン、『HKS R35 GT1000+』の1/43スケールモデルを80個限定で販売。谷口信輝選手の直筆ゴールドサイン入りという特別仕様で、7万円を超える価格帯ながらファンにとっては見逃せない一台として、多くの来場者の注目を集めていた。

イグニッションモデルブース

  • イグニッションモデルが展開するミニカー_VERTEX S13 Silvia White/Gold With Engine

精密ミニチュアモデルカーメーカーのイグニッションモデルは会場限定として『VERTEX S13 Silvia」を20セット限定販売。このモデルは、同スケールのSR20DETエンジンが付属する特別仕様で、完成度の高さとプレミアム感が際立つ内容。価格は5万2000円と決して安くはないが、ブース前には熱心にショーケースを覗き込む来場者の姿が絶えなかった。

ちなみに、なぜこのS13シルビアを会場限定モデルに選んだのか担当者に伺うと、「80〜90年代のカスタムカーは今もトレンドの中心にあります。その中でGT-Rは主力として売れていますが、次に来る存在としてシルビアのような“2番手”の人気車種を押し上げ、マーケット全体を底上げしたいと考えました」とのこと。

イグニッションモデルの取り組みからは、単に“売れるモデル”を作るのではなく、クルマ文化そのものを見据えたもの作りの姿勢が感じられた。そうした姿勢こそが、現在のミニカーブームを力強く支えているのかもしれない。

ワールドマーケットブース

  • ワールドマーケットが展開するミニカー_RE雨宮カラーリングを施した787B
  • ワールドマーケットが展開するミニカー_TOP SECRET R34 GOLD

また、モデルカーやミニカーの輸入代理店が出展するワールドマーケットでも、RE雨宮のワークスカラーを纏った787Bや、トップシークレットのR34チューンドカーを再現した1/43スケールモデルなどを限定で販売。混雑緩和のため整理券配布対応が取られていたが、初日の午後には配布が終了するほどの人気ぶりだった。

ガリバーブース・VERTEXブース

  • ガリバーが展開するミニカー_GR86 Team Toyo Tires Drift D1GP 2025 #66 H.Fujino
  • VERTEXが展開するミニカー_ VERTEXソアラ

そんな会場では、他にも新旧のD1 GRAND PRIXマシンを再現した限定ミニカーを販売するショップもあり、ファンの注目を集めていた。

ミニカーと飛行機模型の専門店であるガリバーブースでは、#66藤野秀之選手、#88川畑真人選手が昨年のD1GPで使用した『GR86』をモデル化した限定ミニカーが登場。実際のレースシーンを知るファンにとっては、思い出とともに手に取りたくなる一台。

そしてVERTEXからは、TEAM VERTEXがD1GPで長年戦い続けてきた『ソアラ』を再現した1/64スケールモデルを780台限定で販売。競技車両としての歴史や物語を知る人ほど、その意味を強く感じ取れるモデルと言えるだろう。

KUHLブース

  • KUHLが展開するミニカー_40系アルファードとヴェルファイア

ここまでは限定モデルを中心に紹介してきただが、なにも限定モデルだけが価値を持つわけではない。オートサロンという場で、“先行して見せる”ことで注目を集めるミニカーも存在する。

コンプリートカーを手掛けるKUHLでは、「デモカーをミニカーにすることで、KUHLをもっと身近に感じてもらいたい」という想いから、主力となる40系アルファードヴェルファイアのミニカーの予約販売を開始。製作を担当したMINI GT社にとっても、ミニバンのモデル化は初の試みだったという。

東京オートサロン2026で注目を集めていた限定ミニカーは、ただのコレクターズアイテムではない。ミニカーはクルマを好きでいる気持ちを形にする存在として、より身近なものになっているのかもしれない。東京オートサロンで手にしたミニカーは、あの日あの場所にいたという記憶をそっと残してくれる、特別な“記念品”なのだとあらめて感じた。

(文章・写真:西本尚恵)
[GAZOO編集部]

東京オートサロン2026