【オートモーティブワールド2017】評価基準は「ドライバーの笑顔」…トヨタ 86 開発の七転八倒
「余計なモノ・コトを全部捨てて、FRレイアウト、NAエンジンにこだわった」---トヨタのスポーツ車両統括部ZRチーフエンジニアの多田哲哉部長は、『86』開発中の役員審査や、珍妙な評価基準などについて、「オートモーティブワールド2017」特別講演の中で語った。
「直感ハンドリングを実現するFRをつくろうと。役員会議の合議でつくるんじゃない、クルマづくりの情熱でつくるんだ」という開発陣の気概で進められた86プロジェクト。そこには役員会議のジャッジという大きなハードルが立ちはだかっていた。
「トヨタは、役員たちによるデザイン審査を3回、クリアしなければならない。それも非常に厳密。開発陣にとっては、最も胃が痛い、イヤな会議。なかなか意見がまとまるはずがないし、次第に無難な格好になっていく。『アメリカの役員がこういっていたからこうなっちゃった』とかね」
そこで、86開発陣は役員会議に代わる審査グループの立ち上げを提案した。
「デザイン審査はやるけど、役員ではなくて、トヨタでスポーツカーに乗る人たちで審査してほしいと。役員に代わって、スポーツカーに乗るトヨタ社員200人に聞いてみることにした」
「これで『あーよかった』と思ったら、想定外だった。実は彼らのほうが役員以上にうるさかった(笑)あぁでもないこうでもないと。でもみんな真剣に、購買ユーザーとして意見してくれた」
社内のスポーツカー乗りの意見に耳を傾け、社内全体のジャッジへと向かう途中で、開発陣はユニークな評価基準を設定した。
「コモディティ化してはいけないのが、スポーツカー。スペックじゃない、人に近い技術がすべてだと。スポーツカーは、人間の感性が最も重視されるべきプロダクト。ドライバーを中心に考え直し、速さに縛られない新しい価値を見出そうということ。それで評価基準を『ドライバーの笑顔』にした」
その評価を量るのは難しい。役員たちから「どうやってその笑顔を評価するんだ?」と聞かれて、開発陣はこんな手に出た。
「86プロトタイプから降りてきた人たち、全員の写真を撮ろうと。そこで彼らの笑顔をあらためて見て、これまでの成果を実感した」
こうしてカタチになってきた86。クルマができあがると、今度は“売り方”だ。企画・製造・販売という流れで模範にしたのは、米国カリフォルニア州の“リンゴ”だったという。
(レスポンス 大野雅人)
「直感ハンドリングを実現するFRをつくろうと。役員会議の合議でつくるんじゃない、クルマづくりの情熱でつくるんだ」という開発陣の気概で進められた86プロジェクト。そこには役員会議のジャッジという大きなハードルが立ちはだかっていた。
「トヨタは、役員たちによるデザイン審査を3回、クリアしなければならない。それも非常に厳密。開発陣にとっては、最も胃が痛い、イヤな会議。なかなか意見がまとまるはずがないし、次第に無難な格好になっていく。『アメリカの役員がこういっていたからこうなっちゃった』とかね」
そこで、86開発陣は役員会議に代わる審査グループの立ち上げを提案した。
「デザイン審査はやるけど、役員ではなくて、トヨタでスポーツカーに乗る人たちで審査してほしいと。役員に代わって、スポーツカーに乗るトヨタ社員200人に聞いてみることにした」
「これで『あーよかった』と思ったら、想定外だった。実は彼らのほうが役員以上にうるさかった(笑)あぁでもないこうでもないと。でもみんな真剣に、購買ユーザーとして意見してくれた」
社内のスポーツカー乗りの意見に耳を傾け、社内全体のジャッジへと向かう途中で、開発陣はユニークな評価基準を設定した。
「コモディティ化してはいけないのが、スポーツカー。スペックじゃない、人に近い技術がすべてだと。スポーツカーは、人間の感性が最も重視されるべきプロダクト。ドライバーを中心に考え直し、速さに縛られない新しい価値を見出そうということ。それで評価基準を『ドライバーの笑顔』にした」
その評価を量るのは難しい。役員たちから「どうやってその笑顔を評価するんだ?」と聞かれて、開発陣はこんな手に出た。
「86プロトタイプから降りてきた人たち、全員の写真を撮ろうと。そこで彼らの笑顔をあらためて見て、これまでの成果を実感した」
こうしてカタチになってきた86。クルマができあがると、今度は“売り方”だ。企画・製造・販売という流れで模範にしたのは、米国カリフォルニア州の“リンゴ”だったという。
(レスポンス 大野雅人)
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