【トヨタGAZOOレーシング2017】小林可夢偉に訊く…「ルマンは特別。勝たないといけないレース」
2日に今季の活動内容について発表した「TOYOTA GAZOO Racing」。その中軸ドライバーとして、昨年に引き続き世界耐久選手権と全日本スーパーフォーミュラ選手権を戦うのが小林可夢偉である。今季に向けての思いを訊いた。
昨年、可夢偉は世界耐久選手権(WEC)のLMP1クラスには初参戦ながら、M. コンウェイ、S. サラザンとのトリオで『TOYOTA TS050 HYBRID』を駆り、最終戦までドライバーズチャンピオン獲得の可能性を残して戦った(最終結果はシリーズ3位)。富士スピードウェイ戦では、自身の獅子奮迅の働きもあって初優勝も経験。
ルマン24時間レース(WEC第3戦)に総合優勝を争うLMP1で挑戦するのも初めてだった(LMGTE-ProでのWEC&ルマン参戦は13年に経験)。僚機の中嶋一貴組が寸前まで迫ったトヨタ勢初の総合優勝を逃すという悲劇的展開のなか、可夢偉組は2位に。そのルマンを振り返って、可夢偉はこう語る。
「24時間って、ホントにすごく長い。ドライバーとしては、常に冷静にしていても、さらにもっと冷静にならないといけない。そういうことが実感できました。それに、ルマンで勝つということは世界3大レースのひとつに勝つことでもありますけど、2位ってほぼゼロ。ルマンは勝たないといけないレースなんだということも(あらためて)実感しました。やっぱり、特別な一戦ですね」
世界3大レース(他はインディ500とF1モナコGP)のひとつであり、その勝利に無限の価値があるからこそ「2位はほぼゼロ」。当然の話ともいえるが、トヨタ勢としての悲願にかける思いの深さも共有しつつ実際に2位になった可夢偉ならではの比喩は、実に意味深く聞こえる。
「(シリーズ王座も重要ですが)やっぱり、今季もまずは6月のルマンですね。もうあと、4カ月くらいしかないわけですし。自分自身、しっかりそこに向けて(流れとマシンとコンディションを)つくっていって、まずルマンに勝つという目標でやっていこうと思います」
今季、TS050に望む進化とはどういうものだろうか。
「それは(答えが)難しいですね。このカテゴリーは一年の(マシンの)成長が大きいですし、僕たちが良くなっても、相手がもっと良くしてくる可能性もありますから。今年はルールで(性能面が)絞られてくる部分もあるので、それをどのレベルまで取り返しているかの確認からになりますね」
今季はドライバートリオのひとりが、世界ツーリングカー選手権(WTCC)3連覇王者のホセ-マリア・ロペスに代わる(今季は可夢偉&コンウェイ&ロペス組)
「彼とはこれまで(のレースキャリアで)絡んでないですね。たぶん、耐久レースの経験はあまりないですよね? 僕とマイク(コンウェイ)は去年一緒にやって、経験でどうやってクルマをつくっていくかがわかっているので、彼(ロペス)にもいいアドバイスをしながら、僕たちのクルマ(#7)を(自分が)引っ張っていく、そういう気持ちで挑もうと思っています」
ルマン制覇への挑戦に期待が高まる。
そして可夢偉のもうひとつの参戦カテゴリー、それがスーパーフォーミュラ(SF)だ。3年目の今季は、KCMGチームに移籍しての戦いになる。初年度(15年)はかなりの活躍を演じたが、昨季は成績不振状態に陥ってしまい、「心機一転」と語る環境で巻き返しを図る。
「僕もSF参戦3年目になりますので、これまで経験してきたなかで自分が必要だと思う部分を今回の移籍によって得られたら、と思っています。とにかく(初)優勝したいんで、それができるチーム状態にいち早くもっていけるよう、やってみます」
移籍決定前ではあったが、既に昨年11月の鈴鹿テストにはKCMGから参加しており、笠井昭則エンジニア(他チームでチャンピオン獲得経験あり)との仕事も経験している。
「(笠井さんは)いろいろとアイデアをもってきてくれますし、面白いと思います。1台での参戦にはなりますが、そこ(データ面の不利)は工夫してやっていこうと考えています。1台に集中できるという良さもあるかもしれませんので」
昨季はワンメイクタイヤがヨコハマ製に変わった初年度だった。多くの陣営が、限られた時間で特性をつかむのに苦心していた。
「(今はもう)慣れてるといえば慣れてますけどね。去年は、あるレースでブッチギリだったチームが次は最下位近辺になったりして、全体にアップダウンが大きかった。そういうことも含め、一年やったことでいろいろとわかってきたので、今年はその経験を活かしていきたい」
昨年のS. バンドーンに続き、今年はP. ガスリーと、前年GP2王者のSF参戦が2季続いている。
「いいモノサシにはなりますし、(欧州から有力選手が)来てくれるのは嬉しく思います。もっと来て欲しいですね。あと、GP2王者もいいんですけど、ジェンソン(バトン=09年F1王者)も来てくれたらよかったのに。でも、彼の興味はSUPER GTの方にあるみたいですね(笑)」
可夢偉は以前にも、F1時代の戦友バトンにSF参戦を勧めたことがあるという。バトンは昨季限りでF1レギュラーシートを降りたが、「もちろん、また勧めてみますよ」。SFで可夢偉VSバトンが実現すれば大きな話題となることだろう。可夢偉の“リクルーター”としての活躍にも期待したいところだが、それはさておき、まずは今季、可夢偉の大躍進が見られることを楽しみにしたい。
(レスポンス 遠藤俊幸)
昨年、可夢偉は世界耐久選手権(WEC)のLMP1クラスには初参戦ながら、M. コンウェイ、S. サラザンとのトリオで『TOYOTA TS050 HYBRID』を駆り、最終戦までドライバーズチャンピオン獲得の可能性を残して戦った(最終結果はシリーズ3位)。富士スピードウェイ戦では、自身の獅子奮迅の働きもあって初優勝も経験。
ルマン24時間レース(WEC第3戦)に総合優勝を争うLMP1で挑戦するのも初めてだった(LMGTE-ProでのWEC&ルマン参戦は13年に経験)。僚機の中嶋一貴組が寸前まで迫ったトヨタ勢初の総合優勝を逃すという悲劇的展開のなか、可夢偉組は2位に。そのルマンを振り返って、可夢偉はこう語る。
「24時間って、ホントにすごく長い。ドライバーとしては、常に冷静にしていても、さらにもっと冷静にならないといけない。そういうことが実感できました。それに、ルマンで勝つということは世界3大レースのひとつに勝つことでもありますけど、2位ってほぼゼロ。ルマンは勝たないといけないレースなんだということも(あらためて)実感しました。やっぱり、特別な一戦ですね」
世界3大レース(他はインディ500とF1モナコGP)のひとつであり、その勝利に無限の価値があるからこそ「2位はほぼゼロ」。当然の話ともいえるが、トヨタ勢としての悲願にかける思いの深さも共有しつつ実際に2位になった可夢偉ならではの比喩は、実に意味深く聞こえる。
「(シリーズ王座も重要ですが)やっぱり、今季もまずは6月のルマンですね。もうあと、4カ月くらいしかないわけですし。自分自身、しっかりそこに向けて(流れとマシンとコンディションを)つくっていって、まずルマンに勝つという目標でやっていこうと思います」
今季、TS050に望む進化とはどういうものだろうか。
「それは(答えが)難しいですね。このカテゴリーは一年の(マシンの)成長が大きいですし、僕たちが良くなっても、相手がもっと良くしてくる可能性もありますから。今年はルールで(性能面が)絞られてくる部分もあるので、それをどのレベルまで取り返しているかの確認からになりますね」
今季はドライバートリオのひとりが、世界ツーリングカー選手権(WTCC)3連覇王者のホセ-マリア・ロペスに代わる(今季は可夢偉&コンウェイ&ロペス組)
「彼とはこれまで(のレースキャリアで)絡んでないですね。たぶん、耐久レースの経験はあまりないですよね? 僕とマイク(コンウェイ)は去年一緒にやって、経験でどうやってクルマをつくっていくかがわかっているので、彼(ロペス)にもいいアドバイスをしながら、僕たちのクルマ(#7)を(自分が)引っ張っていく、そういう気持ちで挑もうと思っています」
ルマン制覇への挑戦に期待が高まる。
そして可夢偉のもうひとつの参戦カテゴリー、それがスーパーフォーミュラ(SF)だ。3年目の今季は、KCMGチームに移籍しての戦いになる。初年度(15年)はかなりの活躍を演じたが、昨季は成績不振状態に陥ってしまい、「心機一転」と語る環境で巻き返しを図る。
「僕もSF参戦3年目になりますので、これまで経験してきたなかで自分が必要だと思う部分を今回の移籍によって得られたら、と思っています。とにかく(初)優勝したいんで、それができるチーム状態にいち早くもっていけるよう、やってみます」
移籍決定前ではあったが、既に昨年11月の鈴鹿テストにはKCMGから参加しており、笠井昭則エンジニア(他チームでチャンピオン獲得経験あり)との仕事も経験している。
「(笠井さんは)いろいろとアイデアをもってきてくれますし、面白いと思います。1台での参戦にはなりますが、そこ(データ面の不利)は工夫してやっていこうと考えています。1台に集中できるという良さもあるかもしれませんので」
昨季はワンメイクタイヤがヨコハマ製に変わった初年度だった。多くの陣営が、限られた時間で特性をつかむのに苦心していた。
「(今はもう)慣れてるといえば慣れてますけどね。去年は、あるレースでブッチギリだったチームが次は最下位近辺になったりして、全体にアップダウンが大きかった。そういうことも含め、一年やったことでいろいろとわかってきたので、今年はその経験を活かしていきたい」
昨年のS. バンドーンに続き、今年はP. ガスリーと、前年GP2王者のSF参戦が2季続いている。
「いいモノサシにはなりますし、(欧州から有力選手が)来てくれるのは嬉しく思います。もっと来て欲しいですね。あと、GP2王者もいいんですけど、ジェンソン(バトン=09年F1王者)も来てくれたらよかったのに。でも、彼の興味はSUPER GTの方にあるみたいですね(笑)」
可夢偉は以前にも、F1時代の戦友バトンにSF参戦を勧めたことがあるという。バトンは昨季限りでF1レギュラーシートを降りたが、「もちろん、また勧めてみますよ」。SFで可夢偉VSバトンが実現すれば大きな話題となることだろう。可夢偉の“リクルーター”としての活躍にも期待したいところだが、それはさておき、まずは今季、可夢偉の大躍進が見られることを楽しみにしたい。
(レスポンス 遠藤俊幸)
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