トヨタ 稼ぎ頭の北米市場で苦戦…2018年3月期も販売台数減
トヨタ自動車は5月10日、東京本社で2017年3月期決算と18年3月期の業績予想を発表した。その中で気になったのは北米市場での販売台数減だ。なにしろトヨタにとって、北米市場は利益の約4割を稼ぎ出すといわれている重要な市場だからだ。
17年3月期の連結販売台数は897万台で前年同期よりも29万台増加した。日本(21万台増)、欧州(8万台増)、アジア(24万台増)で販売台数を大きく伸ばしたものの、北米と中近東などを含むその他地域で減少した。
なかでも米国市場は2016年通年で1755万台と過去最高の販売台数を記録している。その中にあって、トヨタは約245万台と前年より2%、約5万台減らしているのだ。同じ日系メーカーのホンダ(3.2%増)、日産自動車(5.4%増)、スバル(5.6%増)が販売台数を伸ばしているにもかかわらずである。
これはトヨタが米国市場の変化についていけなかった結果といっていい。米国市場は原油安などの影響でセダン系からライトトラックやSUV系にシフトが起こり、トヨタはそれに対応できなかったわけだ。日本で人気のハイブリッド車『プリウス』も米国では販売を大きく落としている。
その傾向は今期(2018年3月期)も変わらないようで、米国を含む北米の販売台数は前年よりも1万7000台少ない282万台を計画している。「これからは今年モデルチェンジを迎えるTNGAの主力モデルである『カムリ』、最近発表した『CH-R』などの新型車の販売促進や、これまで小規模な投資で能力を増強してきたSUV、ピックアップの能力をフルに活用してライトトラック系の供給改善を図っていく」と永田理副社長は話し、なんとか前年並みの245万台を確保したい考えだ。
ただ、米国市場は今年に入ってから4カ月連続して前年割れが続いている。しかもインセンティブ(販売奨励金)が増加している。果たしてトヨタの目論見通りに行くのか予断を許さない状況になっている。その米国市場の先行きについて、豊田章男社長は次のように話す。
「米国市場では特にリテール(小売)台数に注目している。メーカーも販売店も一人ひとりに丁寧に売ることが大事だ。足元ではセダンからSUVなどのライトトラックに需要が移っており、中古車市場でも同様なことが起きている。クルマのライフサイクルは30年あると考えている。新車から中古車までオーナーが変わっていくが、自動車産業の持続的な成長にはオーナーのクルマへのバリューを持続的に担保することが大切だ」
トヨタとしては、今後も無理な値引き販売をせずにユーザーのバリューを守りながら販売を行っていく方針のようだ。今期、北米での販売が減少する見込みだが、ここはユーザーの後々のことも考えてじっと我慢するといったことなのかもしれない。今回の決算会見では、豊田社長へ質問が飛んでも永田副社長がほとんど答えていたのが印象的だった。
(レスポンス 山田清志)
17年3月期の連結販売台数は897万台で前年同期よりも29万台増加した。日本(21万台増)、欧州(8万台増)、アジア(24万台増)で販売台数を大きく伸ばしたものの、北米と中近東などを含むその他地域で減少した。
なかでも米国市場は2016年通年で1755万台と過去最高の販売台数を記録している。その中にあって、トヨタは約245万台と前年より2%、約5万台減らしているのだ。同じ日系メーカーのホンダ(3.2%増)、日産自動車(5.4%増)、スバル(5.6%増)が販売台数を伸ばしているにもかかわらずである。
これはトヨタが米国市場の変化についていけなかった結果といっていい。米国市場は原油安などの影響でセダン系からライトトラックやSUV系にシフトが起こり、トヨタはそれに対応できなかったわけだ。日本で人気のハイブリッド車『プリウス』も米国では販売を大きく落としている。
その傾向は今期(2018年3月期)も変わらないようで、米国を含む北米の販売台数は前年よりも1万7000台少ない282万台を計画している。「これからは今年モデルチェンジを迎えるTNGAの主力モデルである『カムリ』、最近発表した『CH-R』などの新型車の販売促進や、これまで小規模な投資で能力を増強してきたSUV、ピックアップの能力をフルに活用してライトトラック系の供給改善を図っていく」と永田理副社長は話し、なんとか前年並みの245万台を確保したい考えだ。
ただ、米国市場は今年に入ってから4カ月連続して前年割れが続いている。しかもインセンティブ(販売奨励金)が増加している。果たしてトヨタの目論見通りに行くのか予断を許さない状況になっている。その米国市場の先行きについて、豊田章男社長は次のように話す。
「米国市場では特にリテール(小売)台数に注目している。メーカーも販売店も一人ひとりに丁寧に売ることが大事だ。足元ではセダンからSUVなどのライトトラックに需要が移っており、中古車市場でも同様なことが起きている。クルマのライフサイクルは30年あると考えている。新車から中古車までオーナーが変わっていくが、自動車産業の持続的な成長にはオーナーのクルマへのバリューを持続的に担保することが大切だ」
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