【ルマン24時間】トヨタ日本人選手たちが敗戦を振り返る…中嶋一貴「まだ、何かが足りなかったということでしょうか」

#8 中嶋一貴
2017年ルマン24時間レース、途中までは確勝と見られる流れにあったトヨタGAZOOレーシングだが、結果的には惨敗といってもいい状況に陥ってしまった。敗戦後、3台の「TS050ハイブリッド」に乗り組んだ日本人ドライバーたちからもコメントがあがってきている。

今年のルマンにトヨタは、通常の世界耐久選手権(WEC)よりも1台増の3台体制で参戦。いずれのマシンにも日本人ドライバーが乗り、どのマシンが勝っても“日本人選手が日本メーカーのマシンに乗ってルマン総合優勝”という史上初の快挙になるはずだった。

そしてそのためのスピードも充分に備えてはいたが、それに見合う結果を得ることはできなかった。トップ快走中の真夜中、セーフティカー明けにリタイアを喫した7号車の小林可夢偉からは、当時の状況も語られている。

小林可夢偉 (#7 予選1位/決勝リタイア)
「我々のレースになると思っていただけに、本当に残念です。セーフティカー導入の間にピットインを行ない、ピット作業の後、マーシャルからコースへ出てよいと指示されたので発進しました。その時、後方からセーフティカーがやって来たので、停止しろとの指示を受け、セーフティカーの後ろにつくために、クラッチを使ってエンジンパワーで再スタートをしようとしたのですが、通常は行なわない操作だったため、クラッチが壊れてしまいました。 もしピットレーンに留まっていれば、TS050はモーターのみを使ってスタートをするのですが、既にピットから出ていたため、その操作が出来ませんでした。またしても、我々はルマンで勝つことがどれだけ難しいかを思い知らされました。再度勝利を争うべく、必ず戻って来ます」

中嶋一貴(#8 予選2位/決勝9位=トラブルのための長期ピットインあり)
「今回のルマンもチームにとって厳しいレースでした。本当に言葉がありません。ただひとつ言えるのは、来年も挑戦しなくてはならないということです。我々には速いTS050がありましたが、まだ、何かが足りなかったということでしょうか。ハードワークで準備してきたにもかかわらず、予想外の様々なアクシデントに見舞われました。来年はさらに充分な準備をして、よりハードに戦わなくてはなりません」

国本雄資 (#9 予選5位/決勝リタイア)
「自分にとって初めてのルマン24時間は残念なレースに終わりました。初めての経験を楽しみ、トラブル(アクシデント)に見舞われるまでは納得いく走りを見せられたと思います。(僚友がドライブしていた)9号車が止まっているのを(ピットのモニターで)見た時は、ここまで仕上げてくれたチームスタッフのハードワークを見ていただけに、本当に落胆しました。彼らの働きに感謝します。彼らのためにも良い結果を持ち帰りたかったのですが、厳しい結果になってしまいました。またルマンに戻って来て、必ず雪辱を果たしたいと思っています」

ルマン再挑戦には一年の歳月を挟まねばならないが、WECは今季まだ6戦を残す。10月の富士戦を含む戦いのなかで、トヨタは3年ぶりのシリーズタイトル獲得を目指して戦い続ける。レギュラードライバーの一貴、可夢偉には日本人選手初のWECドライバーズタイトル獲得の期待もかかる(一貴ら8号車のクルーは第3戦ルマン終了時点でランキング2位)。

(レスポンス 遠藤俊幸)

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