トヨタ 豊田社長「未来のクルマをコモディティにしないために」…マツダと資本・業務提携発表

トヨタとマツダ、資本・業務提携を発表
トヨタ自動車とマツダは8月4日、豊田章男社長と小飼雅道社長が都内のホテルで記者会見し、米国での共同生産や協業する技術開発分野、資本提携などに合意したと発表した。

両社は2015年5月に業務提携で基本合意しており、両社で組織した検討委員会が協業の具体的内容などを詰めてきた。その結果、幅広い分野で持続的な協力関係を構築することとした。

まず、北米事業の強化を図るため、米国に折半出資による年30万台規模の能力をもつ車両工場を新設、21年をめどに生産開始する。投資額は16億ドル(約1800億円)で、4000人規模の雇用を想定している。それぞれ1本ずつの生産ラインとし、マツダはクロスオーバー車種、トヨタは『カローラ』を生産する計画だ。

両社は、関係を密にして協業を円滑に進める狙いから株式の持ち合いにも踏み出す。17年10月にトヨタはマツダの第3者割り当て増資により、5.05%を出資、マツダもトヨタが保有する自己株式を割り当てで取得し、0.25%の出資とする。両社の株式取得額はともに500億円規模となる。資本提携については将来の強化も視野に入れている。

グループの日野自動車とダイハツ工業を除いて、トヨタの自動車メーカーへの出資はSUBARU(スバル、2005年)、いすゞ自動車(2006年)に続いて3社目になるが、持ち合いは初めてとなる。

技術開発分野では、電動化技術強化の一環として電気自動車(EV)の基本構造に関する共同開発や、コネクティッドおよび先進安全技術での協業を図る。さらに、商品補完についても拡大を進める計画だ。

会見で豊田社長は「私たちの前にはグーグル、アップル、アマゾンといった新しいプレーヤーが現れており、未来は決して自動車会社だけでつくれるものではない」と危機感を表明。マツダとの提携をテコに、「私たちはとことんクルマづくりにこだわり、未来のクルマを決してコモディティにはしないようにする」と強調した。

また、資本提携の目的については「お互いの自主独立を尊重しながら、持続的に協力関係を築くため」と説明した。

一方、小飼社長は、米国での工場新設と生産の狙いについて「効率的に短時間でお客様に商品を届けて喜んでいただきたい。現地工場で地域から支えられることは、ブランド強化にも必要」と指摘した。また、EVの協業については「発展期を迎える技術であり、今後のさまざまな変動にフレキシブルに対応できる体制をつくるのがひとつの狙い」と述べた。

(レスポンス 池原照雄)

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