【新聞ウォッチ】対極のトヨタと日産、”遊び心”の豊田社長、”謹厳実直”の西川社長

GR発表会での豊田社長。後席は筆者。
気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2017年9月20日付

●アベノミックス加速重点、自民衆院選公約(読売・1面)

●スポーツカー新ブランド「GR」発表、トヨタ「走り」(読売・8面)

●「リーフ」受注4000台超え、日産新型EVを本格生産(毎日・6面)

●新アコード生産、米工場に300億円、ホンダが投資(毎日・6面)

●東証2年1か月ぶり高値、2万299円、時価総額最大(産経・2面)

●圏央道開通、工業地に活気、物流施設建設ラッシュ(産経・11面)

●日産の世界生産累計1.5億台突破、新型「リーフ」で達成(日経・13面)

●日本最長の連結トラック、ヤマト、輸送量2割多く(日経・15面)


ひとくちコメント

「月とスッポン」、「提灯に釣り鐘」など、同類のものでありながら大きな違いをあらわす言葉は数多いが、世界の自動車市場を席捲するトヨタ自動車と日産自動車をそれぞれ陣頭指揮する経営トップの“振る舞い”にも大きな違いがあるようだ。

きのう(9月19日)は午前中、日産が国内主力の生産拠点の追浜工場で「グローバル生産累計1億5000万台突破」と、電気自動車の新型『リーフ』のラインオフ式を兼ねた記念イベントを開催。式典に出席した西川広人社長は「(リーフの予約受注も)絶好調で、新しい歴史を切り開く先兵となる」と、約1000人が集まった従業員たちを励ました。

これまでラインオフ式には、17年余り経営トップの座に君臨し続けたカルロス・ゴーン会長が派手なパフォーマンスであいさつを行ってきたが、記憶が確かならば、ゴーン氏の場合は、工場内のイベントには従業員同様に作業服と帽子を着用して臨んでいたようにも思えた。ところが、「謹厳実直」がウリでもある西川社長は時節柄、ノーネクタイとはいえ、律義にもダークスーツ姿で登場。親近感ということではゴーン氏とはまったく違う印象を受けた従業員たちも少なくないだろう。

一方、午後はトヨタが、ショールームのある江東区の「MEGA WEB」でスポーツカーの新ブランド「GR」の発表会を開いた。これまで展開してきた「GSports」を一新、クルマの楽しさを幅広い層に広げるのが狙いという。きょうの各紙が「スポーツ車『GR』に統一、『走り』重視、新興勢に対抗」(日経)などと、大きく取り上げている。

イベントのトークショーには、豊田章男社長もスーツ姿ではなく、「GR」のネーム入りでレーシングドライバーたちと同じデザインのユニフォーム姿で飛び入り“参戦”した。豊田社長といえば、レーザーとしてライセンスを取得。「モリゾウ」の異名で多くのレースにも出場している。この日もデモ走行では、ドライバーとしてドリフト走行などの機敏で華麗なテクニックを披露。持ち前の笑顔と“遊び心”で運転する楽しさをアピールしていた。

それにしても、両社のイベントを取材すると、企業経営はトップの性格や顔色によって社風が大きく変わってくるものである。

(レスポンス 福田俊之)

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