トヨタ社長「競争のルールが変わる中で舵取りのやり方も変えなければいけない」
トヨタ自動車の豊田章男社長は5月9日、決算会見の終了後、1時間以上の時間を取って同社の今後の方針を説明し質疑応答を行った。その中で、豊田社長が強調したのはトヨタ生産方式(TPS)と原価低減を改めて徹底するということだった。
「自動車産業は今、100年に一度と言われる大変革の時代に突入し、ライバルも競争のルールも変わり、まさに未知の世界での生死をかけた闘いが始まっている。私どもとしては、原価低減の力に磨きをかけて、稼ぐ力を強化し、新技術や新分野への投資を拡大していく。さらにグループはもちろん、同業他社や他業界も含めたアライアンスを強化していく」と豊田社長は説明する。
ただ、新技術の開発については一番早く世の中に出すということよりも、すべての人がより自由に、安全に、楽しく移動できるモビリティ社会を実現するために一番役に立つ技術を開発していく。そこで、IT企業などの新たなライバルと差別化して、生死をかけた闘いに勝ち残っていこうというわけだ。
また、これからの時代に重要なことはお客のニーズを先取りして、リアルタイムに届けることと考え、TPSの神髄である「ジャストインタイム」を強化を行っている。それは車をつくる現場だけでなく、販売店、アライアンスパートナーなどすべてを結びつけ、必要とするサービスを、必要なときに、必要なだけ提供していこうというのだ。
文字通り「ジャストインタイム・サービス」を実践してムダを徹底して排除していく。現在、販売店をはじめ、トヨタに関係のある現場でTPSに基づくオペレーションを導入し、サービスを提供するリードタイムの大幅な短縮にチャレンジしているそうだ。
しかし、これまでの延長線上で経営していたのでは、未知の世界での闘いに勝ち残っていくのは難しいだろう。IT企業はこれまでにないスピードと発想で事業を行っているからだ。トヨタにもそうしたことがこれから求められてくるのは言うまでもない。
「これまではトヨタという巨大企業のドライバーズシートに一人で乗り込み、自分のセンサーを頼りにおきまりのコースを速く走らせようとしてきた。その中で感じたことは成功体験を持つ巨大企業を変革することの難しさだ。競争のルール、ライバルが変わる中で、トヨタの舵取りのやり方も変えなければならない」と豊田社長は強調。
そのために、サーキットレースからラリーに走り方を変えていくという。ラリーでは、ドライバーとコドライバーが連携しながら、変化に富んだ道をいかに速く走るかが重要である。そこで、カンパニープレジデントやグループ企業のトップを経験した副社長と各分野のエキスパートである社外取締役や役員が、豊田社長のコドライバーとして、社長目線でナビゲートしながら、より速くゴールを目指すやり方に転換していく。
ただ、豊田社長が認めているように、今はまだ経営陣と第一線の現場では危機感に大きなギャップがある。「日本一のトヨタが潰れるわけがない」と思っている人が大半なのだ。そんなトヨタをどうやって新たな“モビリティ・カンパニー”へと変革させていくのか、豊田社長の一挙手一投足が注目される。
(レスポンス 山田清志)
「自動車産業は今、100年に一度と言われる大変革の時代に突入し、ライバルも競争のルールも変わり、まさに未知の世界での生死をかけた闘いが始まっている。私どもとしては、原価低減の力に磨きをかけて、稼ぐ力を強化し、新技術や新分野への投資を拡大していく。さらにグループはもちろん、同業他社や他業界も含めたアライアンスを強化していく」と豊田社長は説明する。
ただ、新技術の開発については一番早く世の中に出すということよりも、すべての人がより自由に、安全に、楽しく移動できるモビリティ社会を実現するために一番役に立つ技術を開発していく。そこで、IT企業などの新たなライバルと差別化して、生死をかけた闘いに勝ち残っていこうというわけだ。
また、これからの時代に重要なことはお客のニーズを先取りして、リアルタイムに届けることと考え、TPSの神髄である「ジャストインタイム」を強化を行っている。それは車をつくる現場だけでなく、販売店、アライアンスパートナーなどすべてを結びつけ、必要とするサービスを、必要なときに、必要なだけ提供していこうというのだ。
文字通り「ジャストインタイム・サービス」を実践してムダを徹底して排除していく。現在、販売店をはじめ、トヨタに関係のある現場でTPSに基づくオペレーションを導入し、サービスを提供するリードタイムの大幅な短縮にチャレンジしているそうだ。
しかし、これまでの延長線上で経営していたのでは、未知の世界での闘いに勝ち残っていくのは難しいだろう。IT企業はこれまでにないスピードと発想で事業を行っているからだ。トヨタにもそうしたことがこれから求められてくるのは言うまでもない。
「これまではトヨタという巨大企業のドライバーズシートに一人で乗り込み、自分のセンサーを頼りにおきまりのコースを速く走らせようとしてきた。その中で感じたことは成功体験を持つ巨大企業を変革することの難しさだ。競争のルール、ライバルが変わる中で、トヨタの舵取りのやり方も変えなければならない」と豊田社長は強調。
そのために、サーキットレースからラリーに走り方を変えていくという。ラリーでは、ドライバーとコドライバーが連携しながら、変化に富んだ道をいかに速く走るかが重要である。そこで、カンパニープレジデントやグループ企業のトップを経験した副社長と各分野のエキスパートである社外取締役や役員が、豊田社長のコドライバーとして、社長目線でナビゲートしながら、より速くゴールを目指すやり方に転換していく。
ただ、豊田社長が認めているように、今はまだ経営陣と第一線の現場では危機感に大きなギャップがある。「日本一のトヨタが潰れるわけがない」と思っている人が大半なのだ。そんなトヨタをどうやって新たな“モビリティ・カンパニー”へと変革させていくのか、豊田社長の一挙手一投足が注目される。
(レスポンス 山田清志)
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