ライバルは1.4ターボ、ディーゼルの代わりも? トヨタ新ハイブリッドの狙い…パリモーターショー2018

トヨタ・カローラツーリングスポーツ(パリモーターショー2018)
欧州でワールドプレミアされた『カローラツーリングスポーツ』に搭載される注目のパワートレインは、なんといっても2.0リットルエンジンを組み合わせた新開発のハイブリッドシステムだ。(パリモーターショー2018)

「高い燃費性能はキープしたまま、より走行性能を向上させた2.0リットルエンジン用ハイブリッドシステム」とプレス資料で説明されるそのシステムはTHS IIながら、『プリウス』などに使われる1.8リットルエンジンのタイプに比べて排気量がアップしただけでなく、全面的に新設計。パワーコントロールユニットは1.8リットルタイプに比べて20%の小型化と10%の軽量化がおこなわれてトランクアクスルの直上に搭載できるようになり、トランクアクスルはなんと「従来比25%もの損失低減を実現」というから興味深い。モーターやジェネレーターも小型化され、これはタイヤの切れ角アップにも効くという。

また駆動用バッテリーはセルを168個から180個に増やして総電圧を201.6Vから216.0Vに高めつつ、コンパクト化を実現。性能を高めつつ、コンパクトで高効率。それがこの2.0りっとるハイブリッドの特徴といえるだろう。

ではその動力性能の実力はどのくらいなのか?

まず驚くのはエンジンの最高出力で、1.8リットルが98psなのに対し、2.0リットルは153ps。わずか200ccしか排気量が違わないのに、最高出力は1.5倍以上になっているのだ。モーター出力は不明だが、システム出力は122psに対して180psとこちらもほぼ1.5倍とかなりの差。ハッチバックにおける0-100km/h加速は1.8Lの10.9秒から7.9秒へと大幅に短縮されている。

いっぽうで燃費は欧州カタログ値で1.8リットルの3.4リットル/100km(29.4km/リットル)から3.8リットル/100km(26.3km/リットル)に落ちているが、大幅に高まった動力性能を考えればその差は“小さい”と考えていいだろう。

このハイブリッドシステムについてトヨタは「1.4リットルガソリンターボなどのパワートレインを運転する人々は、より速い加速と応答を求めている。そこで欧州市場向けに2.0リットルハイブリッドの開発を決定した」と報道向け資料で説明。

1.4リットルターボとは……? これはどう考えてもCセグハッチバックにおいて世界の基準となっているVW『ゴルフ』のこと。つまりはガソリンエンジンのゴルフをベンチマークとし、それよりも速くてレスポンスのいい(そして燃費もいい)パワーユニットを目指して開発したというわけだ。

そしてこの新ハイブリッドユニットには、新型ではラインナップされていないディーゼルエンジンの代わりを果たすという役割(動力性能/燃料コスト)も背負っていると思われる。

(レスポンス 工藤貴宏)

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