トヨタ全販売店で全車種併売、カーシェアも…東京では年内にトライアル開始

トヨタがハワイで展開しているカーシェアリング
トヨタ自動車は1日、全国トヨタ販売店代表者会議を開催し、販売ネットワークの変革に取り組むことを確認した。原則、全販売店全車種併売化を実施し、その上で、新たにカーシェアリング事業を立上げる。

トヨタでは、「脱全国」「町一番のお店づくり」をめざし、2018年1月より日本の営業体制・働き方を「チャネル軸」から「地域軸」に見直した。今回、この考え方を進め、モビリティ社会への対応に向け、どの店でも地域の消費者のあらゆるニーズに対応するため、2022~25年を目途に、原則、全販売店全車種併売化を実施する。

これによりトヨタでは、高い競争力の商品と流通ネットワークを活用し、国内150万台販売を維持していく。扱い商品は共通となるが、チャネルはこれまで築いてきたブランドであり、今後も維持していく。

その上で、カーシェアリング事業を立上げる。将来的に「利活用」が進展していく中、販売店は「移動」を軸に他業種、行政などと連携したサービスを提供し、地域社会をより豊かにする業態を目指す。

シェアリング事業では、トヨタがシステムやデバイス(アプリなど)を販売店に提供する。トヨタの販売店やレンタリース店の店舗、試乗車を活用したカーシェアリング事業を立上げ、販売店の参画を促す。カーメーカーならではの豊富な車種ラインアップ、安全装備の積極搭載に加え、車両の利用情報、走行情報に基づくお客様毎のポイント付与など、新たなサービス開発を目指す。2018年内を目途に東京でトライアルを開始し、以後順次地域を拡大し、2019年内の本格立ち上げを目指す。

この取り組みを2019年4月より東京のメーカー直営販売店4社が融合する新会社「トヨタモビリティ東京」で先行して実施する。全国ではチャネルを存続するが、メーカー直営店である4社はチャネルを廃止、新たなモビリティサービスにもトライする。

東京地区ではチャネル制を廃止し、直営店を「ひとつのトヨタ」に統一する。そして全国に先駆け、全店舗で全車種の販売を開始する。2018年12月からはカーシェアリングサービスのトライアルを中野区で開始、2019年2月からは都内全域に展開する。さらに2019年初めをめどに、税金や保険の支払い、車両メンテナンス等の手続きをパッケージ化した個人向けの月額定額サービス「KINTO」をトライアル導入する。

東京直営店4社融合にあたり、生産性・品質向上に向けた販売店オペレーション改善を実施、また改善を支える人材育成に向け「TPS改善推進部」を設立した。トヨタは「クルマをつくる会社」からモビリティに関するサービスを提供する「モビリティカンパニー」への変革を目指している。変革を進める中で鍵となるのが、販売ネットワークの変革だ。

豊田章男社長は会議で全国のトヨタ販売店の代表者に対し、「トヨタの販売ネットワークの強みは『地場資本』であること。町に暮らす人がどうすれば笑顔になるのか一番わかっている。全ての店で全ての車種を扱えば、これまでにない地域密着型のサービスを生み出せる。地域に根差した新しいモビリティサービスを提供すれば、トヨタの販売ネットワークは地域にとって『かけがえのない存在』となり、トヨタグループの『アドバンテージ』になる」と語った。

(レスポンス 高木啓)

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