「後付け」で踏み間違い防止、トヨタの加速抑制システムを試してみた【岩貞るみこの人道車医】
◆トヨタとダイハツの後付け安全装置
高齢化ニッポン、高齢者が起こす交通事故が連日、報道で伝えられると、明日は我が身と気分がどんよりと重くなる。特に多いのはペダルの踏み間違い事故だけど、ITARDA(交通事故分析センター)のデータを見る限りでは、高齢者だけが起こしているわけではなく若年層からほぼまんべんなく起こしているというのは、すでに何度もお伝えしているとおりである。
安全装置フル装備のクルマに買い替えられればいいけれど、世の中そんなにお金が自由になる人ばかりじゃない。後付け、後付け、なんとしても後付け!と関係者の耳のそば(って、誰?)でぶつぶつと囁いていたら、トヨタとダイハツが同時に誤発進抑制機能装置を発表してくれた。ありがたい。
トヨタとダイハツという同じグループ会社なものだから同じものかと思ったら、おや、トヨタ5万5080円(取付費別)、ダイハツ3万4560円(取付費コミ)と価格が違う。実はそれぞれ開発して発表のタイミングだけ合わせたそうだ。トヨタは「踏み間違い加速抑制システム」、ダイハツは「つくつく防止」(いいなあ、このノリ!)。
◆「ベタなやり方」だからこそ
そんななか、トヨタのシステム装着車にトライする機会があった。ボディを見ると、バンパー部分に前後、二か所ずつ小さな穴が開いている。ここから超音波センサーで、3m先の障害物を検知するのである。
今回の試乗車はプリウス。ハンドルの右側のダッシュボード上に、小さな旅行用の目覚まし時計みたいな表示機が乗っかっている。後付けなので一体感があるはずもなく、プリウスのインテリアデザイナーが涙目になってしまいそうだけれど、正直なところ、このくらいの違和感と存在感がある方が、高齢者には使いやすいのではと思う。
前方に壁がある状態でエンジンをスタートさせ、Dレンジに入れたとたん、ピピピとまさに目覚まし時計のような警告音が鳴り響く。ちなみに、リバースに入れれば音はやむ。当然だけれど、壁を検知した方向にシフトが入れられたときのみ、「あなた、シフトの位置、まちがっていますよ!」と教えてくれるのである。
それでも無視して、アクセルを踏み込んでも前には進まない。目覚まし時計は「ピーッ!」という音に代わり、さらに画面に「アクセルを離してください」という文字を表示。いかにもベタなやり方なのだけれど、この基本に忠実な泥臭さこそ、高齢者のハートに届くと思われる(ダイハツは表示方法が違う)。
今回は前輪のところに低めの車止めが用意されていたのだが、アクセルペダルを底につくまで踏みこんでも乗り越えることはなかった。ただ、ずーっと踏み続けていると、抑制機能は解除される。状況によっては、わざと壁に接近したい場合もあるからね。もちろん、スイッチひとつで機能をオフにすることも可能である。
後ろ向きでも同じ機能があるほか、トヨタの場合は、後方に障害物がなくても、5km/h以上は出ないようになっている(ダイハツはこれはないのでご注意)。たしかに、5km/h以上でだーっとバックする人は、自動車運搬船にクルマを積み込むプロドライバーの類くらいでしょうしね。
いずれの機能もスイッチひとつで解除できるので(エンジンスタート時のデフォルトはオン)、必要ないときは使わなければいいだけの話だ。
◆ペダル踏み間違いが「もし」起こったとしても
今回は、トヨタはプリウスとアクア。ダイハツは、2007年12月に発売した2代目タントへの装着が可能。車種が限られるのは、バンパーの穴の位置などをきちんと調整して決めないといけないのが理由のひとつだ。
穴の位置はとてもシビアで、横方向はともかく上下方向は上下の角度それぞれ3度以内、計6度しか誤差が許されない。特に下は道の突起物を拾っちゃうのである。なので、この装置を装着後、バンパーを激しくぶつけた場合には、いちど、装着した店でチェックするべし。
ペダル踏み間違いは、起こさせないようにするのが一番だけれど、踏み間違っても事故にしないこと。さらに、事故っても被害をできるだけ少なくするのが大切。こうした機能が安価で、どんなクルマにも装着でき、少しでもクルマを運転する人やまわりの人が安心できるといいと思う。
だけど、こうした機能のお約束は、「いつでもどんなときでも100%守ってくれるわけではありませんから!」ということ。過信せず油断せず、なによりも自分で気をつけて運転するのが一番ですからね!
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。
(レスポンス 岩貞るみこ)
高齢化ニッポン、高齢者が起こす交通事故が連日、報道で伝えられると、明日は我が身と気分がどんよりと重くなる。特に多いのはペダルの踏み間違い事故だけど、ITARDA(交通事故分析センター)のデータを見る限りでは、高齢者だけが起こしているわけではなく若年層からほぼまんべんなく起こしているというのは、すでに何度もお伝えしているとおりである。
安全装置フル装備のクルマに買い替えられればいいけれど、世の中そんなにお金が自由になる人ばかりじゃない。後付け、後付け、なんとしても後付け!と関係者の耳のそば(って、誰?)でぶつぶつと囁いていたら、トヨタとダイハツが同時に誤発進抑制機能装置を発表してくれた。ありがたい。
トヨタとダイハツという同じグループ会社なものだから同じものかと思ったら、おや、トヨタ5万5080円(取付費別)、ダイハツ3万4560円(取付費コミ)と価格が違う。実はそれぞれ開発して発表のタイミングだけ合わせたそうだ。トヨタは「踏み間違い加速抑制システム」、ダイハツは「つくつく防止」(いいなあ、このノリ!)。
◆「ベタなやり方」だからこそ
そんななか、トヨタのシステム装着車にトライする機会があった。ボディを見ると、バンパー部分に前後、二か所ずつ小さな穴が開いている。ここから超音波センサーで、3m先の障害物を検知するのである。
今回の試乗車はプリウス。ハンドルの右側のダッシュボード上に、小さな旅行用の目覚まし時計みたいな表示機が乗っかっている。後付けなので一体感があるはずもなく、プリウスのインテリアデザイナーが涙目になってしまいそうだけれど、正直なところ、このくらいの違和感と存在感がある方が、高齢者には使いやすいのではと思う。
前方に壁がある状態でエンジンをスタートさせ、Dレンジに入れたとたん、ピピピとまさに目覚まし時計のような警告音が鳴り響く。ちなみに、リバースに入れれば音はやむ。当然だけれど、壁を検知した方向にシフトが入れられたときのみ、「あなた、シフトの位置、まちがっていますよ!」と教えてくれるのである。
それでも無視して、アクセルを踏み込んでも前には進まない。目覚まし時計は「ピーッ!」という音に代わり、さらに画面に「アクセルを離してください」という文字を表示。いかにもベタなやり方なのだけれど、この基本に忠実な泥臭さこそ、高齢者のハートに届くと思われる(ダイハツは表示方法が違う)。
今回は前輪のところに低めの車止めが用意されていたのだが、アクセルペダルを底につくまで踏みこんでも乗り越えることはなかった。ただ、ずーっと踏み続けていると、抑制機能は解除される。状況によっては、わざと壁に接近したい場合もあるからね。もちろん、スイッチひとつで機能をオフにすることも可能である。
後ろ向きでも同じ機能があるほか、トヨタの場合は、後方に障害物がなくても、5km/h以上は出ないようになっている(ダイハツはこれはないのでご注意)。たしかに、5km/h以上でだーっとバックする人は、自動車運搬船にクルマを積み込むプロドライバーの類くらいでしょうしね。
いずれの機能もスイッチひとつで解除できるので(エンジンスタート時のデフォルトはオン)、必要ないときは使わなければいいだけの話だ。
◆ペダル踏み間違いが「もし」起こったとしても
今回は、トヨタはプリウスとアクア。ダイハツは、2007年12月に発売した2代目タントへの装着が可能。車種が限られるのは、バンパーの穴の位置などをきちんと調整して決めないといけないのが理由のひとつだ。
穴の位置はとてもシビアで、横方向はともかく上下方向は上下の角度それぞれ3度以内、計6度しか誤差が許されない。特に下は道の突起物を拾っちゃうのである。なので、この装置を装着後、バンパーを激しくぶつけた場合には、いちど、装着した店でチェックするべし。
ペダル踏み間違いは、起こさせないようにするのが一番だけれど、踏み間違っても事故にしないこと。さらに、事故っても被害をできるだけ少なくするのが大切。こうした機能が安価で、どんなクルマにも装着でき、少しでもクルマを運転する人やまわりの人が安心できるといいと思う。
だけど、こうした機能のお約束は、「いつでもどんなときでも100%守ってくれるわけではありませんから!」ということ。過信せず油断せず、なによりも自分で気をつけて運転するのが一番ですからね!
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。
(レスポンス 岩貞るみこ)
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