VW ティグアン&パサート、ディーゼルエンジン×四輪駆動の安定した快適な雪上ドライブ
環境問題などの影響からEVが注目されてきているが、それは遠い? 中国でのお話。現実的には、マンションなど集合住宅に住む人にとっては充電をどうするかがイチバンのテーマ。一部の集合住宅では、吊り下げ式の駐車施設に充電システムが導入されるようになったそうだが、まだまだ時間のかかる問題だろう。
そこでCO2排出量が低く低燃費なクリーンディーゼルがもう一度注目されている。排気ガス規制は年々厳しくなってきているが、クリーン度を増した新開発ディーゼルエンジンをアルファロメオやプジョーなどが続々と国内導入を始めていることからも、まだまだクリーンディーゼルモデルの必然性が見てとれるというもの。
今回は、雪道での試乗を行い、四輪駆動とクリーンディーゼルの相性を確かめようという企画だ。人気が右肩上がりのSUV車。その生涯オフロード走行距離は10%にも満たないという調査結果がある。なかにはオンロードしか走らずに役目を終えてスクラップになるSUVもあるはず。道路環境が整った日本でオフロードの多い地域は少なくなってきた。しかし、降雪は別なのである。雪ほど厄介なものはない。ボクはスキー愛好家なので、この時期、四輪駆動とスタッドレスタイヤ、そしてクリーンディーゼルモデルには毎年注目している。
◆アイスバーンも難なくクリアできる「4MOTION」システム
今年は暖かいから安心している方も多いと思うが、厳冬の1月、2月よりも少し暖くなり始める3月の路面は厄介なことになる。雪は温度に左右され、昼間の気温上昇と直射日光によりシャーベットと化した雪道は、夜間の冷え込みによってアイスバーンと化すのだ。アイスバーンは日陰などでは日中も長時間そのままの路面となっているところもある。昼間は泥濘のようなシャーベット路面、そして夜間は起伏のあるアイスバーン。
まずはそんな路面をわざと設営した特設コースを『ティグアン』で走る。スタートからいきなり上り坂のアイスバーン路面。さらには起伏やうねりがあり、一旦停止してはもう一度坂道発進という厳しい条件だが、ティグアンはいとも簡単に登りきる。
フォルクスワーゲンでは「4MOTION」と呼ぶこの4WDシステム。雪道ではタイヤの空転も多くなるので、最適駆動配分を行うことで燃費向上の効果もある。4MOTIONが採用する4WDシステムは現在5世代目へと進化していて、電動ハルデックスカップリングを採用している。4世代目からは専用のオイルポンプで油圧を発生させ、基本的には燃費に優しい前輪駆動で走行し、タイヤのスリップを検知したら瞬時に後輪にも駆動配分するのだ。2輪駆動と4輪駆動を切り替えるオンデマンドと呼ばれるこのような4WDシステムでは、このときどれだけ瞬時に4WDシステムに移行できるかがキモ。その点オイルポンプで油圧をあらかじめ高めて作動させる4MOTIONのシステムは遅れることなく4WDの性能を発揮する。この5世代目からはESC、ABS、XDSなどとの協調性が進化してアクティブセーフティーシステムとの連携制御がより良くなっているとのこと。
第5世代4MOTIONシステムは『パサート』や『ゴルフ R』などVWの4WDにも採用されている。基本的な4WD制御は100:0~50:50の範囲で制御。特に発進時は4WD待機状態になるので、今回のような特設コースでの登坂では4輪が同時に駆動を発生して、躊躇なく登りきることができた。登りきると今度は下り。ここではヒルディセントシステムをONにしてクルマ任せで急降下。凍った下り坂でも、このシステムを作動させればブレーキを自動で4輪個別に制御してくれ、低い速度で安心して坂を下ることができる。ドライバーはステアリングだけに集中すればよいのだ。
◆駆動抜けすることなく安定した走り
登降坂を試した後は平たんな路面の広場で、思いっきりアクセルを踏み込んでグルグル回る! 定常円旋回などと呼ばれるやつだ。ここではXDSが活躍する。XDSはLSDに近い制御で駆動輪のトラクション抜けを抑えるシステム。コーナリングでの荷重移動によって空転した内輪タイヤにブレーキをかけ、外輪へしっかりと駆動をかけてやるシステムだ。これによって駆動抜けすることなく、このような旋回でもしっかりと後輪へも駆動が伝わり、その後輪が左右両輪で雪を掻きドリフトも面白いように楽しめる。
そして、最後は左右互い違いに深い穴を掘った岩場を想定した路面。つまりクロスした穴を通過する際の完全にタイヤが浮いた状態でも、ちゃんと駆動が伝わって前進することができるか? を試すもの。ティグアンの十分な車高と4MOTIONのコラボ、さらにXDSはこのような状況でもブレーキ制御によって駆動抜けを抑えて、何事もなく通過する。ドライバーはクロスした揺れに戸惑うが、ティグアンは全く安定していた。雪道って色々なことが試せるから楽しい。
◆パサートで一般道試乗、音も気にならない
もう1台は『パサート』。こちらも4MOTION&クリーンディーゼルエンジン。パサートは特設会場ではなく一般路の試乗。より現実の路面での走りを試す。やはり低速域からディーゼルエンジンの力強さが光る。走りやすい。雪道でも普通に走行しているときはFF(前輪駆動)だが、発進時や滑ると4WDに切り替わる。この切り替わりは何かショックがあるわけでもなく、自然に移行して違和感があるわけでもない。
試乗コースは斑尾高原から野尻湖を1周するものだったが、凍結、シャーベット、舗装とあらゆる路面環境。しかも上り下りあり、対向車あり。このような滑りやすい路面ではトランスミッションはATモードにするよりMTモードで低いギヤを使いたい。アクセルOFFでの駆動感、つまりエンジンブレーキによる4輪への支配感を持ってステアリングを操作したいのだ。このためにATモードよりも低いギヤを使うのだが、必然的にエンジンの回転数は常時高めとなる。ディーゼルエンジンでは高回転域となる4000rpm付近でもVWのTDIは振動感が少なくノイズも悲鳴には聞こえない。だから、まるでガソリンエンジンのような感覚で走らせることができる。そして4MOTIONとXDS効果でアンダーステアーを感じずオンザレール感覚でコーナリングする。ホイールベースが長いので、ブレーキングでも安定感があり、快適な雪道ドライブが楽しめた。
[ティグアン]
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
[パサート]
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
(レスポンス 松田秀士)
そこでCO2排出量が低く低燃費なクリーンディーゼルがもう一度注目されている。排気ガス規制は年々厳しくなってきているが、クリーン度を増した新開発ディーゼルエンジンをアルファロメオやプジョーなどが続々と国内導入を始めていることからも、まだまだクリーンディーゼルモデルの必然性が見てとれるというもの。
今回は、雪道での試乗を行い、四輪駆動とクリーンディーゼルの相性を確かめようという企画だ。人気が右肩上がりのSUV車。その生涯オフロード走行距離は10%にも満たないという調査結果がある。なかにはオンロードしか走らずに役目を終えてスクラップになるSUVもあるはず。道路環境が整った日本でオフロードの多い地域は少なくなってきた。しかし、降雪は別なのである。雪ほど厄介なものはない。ボクはスキー愛好家なので、この時期、四輪駆動とスタッドレスタイヤ、そしてクリーンディーゼルモデルには毎年注目している。
◆アイスバーンも難なくクリアできる「4MOTION」システム
今年は暖かいから安心している方も多いと思うが、厳冬の1月、2月よりも少し暖くなり始める3月の路面は厄介なことになる。雪は温度に左右され、昼間の気温上昇と直射日光によりシャーベットと化した雪道は、夜間の冷え込みによってアイスバーンと化すのだ。アイスバーンは日陰などでは日中も長時間そのままの路面となっているところもある。昼間は泥濘のようなシャーベット路面、そして夜間は起伏のあるアイスバーン。
まずはそんな路面をわざと設営した特設コースを『ティグアン』で走る。スタートからいきなり上り坂のアイスバーン路面。さらには起伏やうねりがあり、一旦停止してはもう一度坂道発進という厳しい条件だが、ティグアンはいとも簡単に登りきる。
フォルクスワーゲンでは「4MOTION」と呼ぶこの4WDシステム。雪道ではタイヤの空転も多くなるので、最適駆動配分を行うことで燃費向上の効果もある。4MOTIONが採用する4WDシステムは現在5世代目へと進化していて、電動ハルデックスカップリングを採用している。4世代目からは専用のオイルポンプで油圧を発生させ、基本的には燃費に優しい前輪駆動で走行し、タイヤのスリップを検知したら瞬時に後輪にも駆動配分するのだ。2輪駆動と4輪駆動を切り替えるオンデマンドと呼ばれるこのような4WDシステムでは、このときどれだけ瞬時に4WDシステムに移行できるかがキモ。その点オイルポンプで油圧をあらかじめ高めて作動させる4MOTIONのシステムは遅れることなく4WDの性能を発揮する。この5世代目からはESC、ABS、XDSなどとの協調性が進化してアクティブセーフティーシステムとの連携制御がより良くなっているとのこと。
第5世代4MOTIONシステムは『パサート』や『ゴルフ R』などVWの4WDにも採用されている。基本的な4WD制御は100:0~50:50の範囲で制御。特に発進時は4WD待機状態になるので、今回のような特設コースでの登坂では4輪が同時に駆動を発生して、躊躇なく登りきることができた。登りきると今度は下り。ここではヒルディセントシステムをONにしてクルマ任せで急降下。凍った下り坂でも、このシステムを作動させればブレーキを自動で4輪個別に制御してくれ、低い速度で安心して坂を下ることができる。ドライバーはステアリングだけに集中すればよいのだ。
◆駆動抜けすることなく安定した走り
登降坂を試した後は平たんな路面の広場で、思いっきりアクセルを踏み込んでグルグル回る! 定常円旋回などと呼ばれるやつだ。ここではXDSが活躍する。XDSはLSDに近い制御で駆動輪のトラクション抜けを抑えるシステム。コーナリングでの荷重移動によって空転した内輪タイヤにブレーキをかけ、外輪へしっかりと駆動をかけてやるシステムだ。これによって駆動抜けすることなく、このような旋回でもしっかりと後輪へも駆動が伝わり、その後輪が左右両輪で雪を掻きドリフトも面白いように楽しめる。
そして、最後は左右互い違いに深い穴を掘った岩場を想定した路面。つまりクロスした穴を通過する際の完全にタイヤが浮いた状態でも、ちゃんと駆動が伝わって前進することができるか? を試すもの。ティグアンの十分な車高と4MOTIONのコラボ、さらにXDSはこのような状況でもブレーキ制御によって駆動抜けを抑えて、何事もなく通過する。ドライバーはクロスした揺れに戸惑うが、ティグアンは全く安定していた。雪道って色々なことが試せるから楽しい。
◆パサートで一般道試乗、音も気にならない
もう1台は『パサート』。こちらも4MOTION&クリーンディーゼルエンジン。パサートは特設会場ではなく一般路の試乗。より現実の路面での走りを試す。やはり低速域からディーゼルエンジンの力強さが光る。走りやすい。雪道でも普通に走行しているときはFF(前輪駆動)だが、発進時や滑ると4WDに切り替わる。この切り替わりは何かショックがあるわけでもなく、自然に移行して違和感があるわけでもない。
試乗コースは斑尾高原から野尻湖を1周するものだったが、凍結、シャーベット、舗装とあらゆる路面環境。しかも上り下りあり、対向車あり。このような滑りやすい路面ではトランスミッションはATモードにするよりMTモードで低いギヤを使いたい。アクセルOFFでの駆動感、つまりエンジンブレーキによる4輪への支配感を持ってステアリングを操作したいのだ。このためにATモードよりも低いギヤを使うのだが、必然的にエンジンの回転数は常時高めとなる。ディーゼルエンジンでは高回転域となる4000rpm付近でもVWのTDIは振動感が少なくノイズも悲鳴には聞こえない。だから、まるでガソリンエンジンのような感覚で走らせることができる。そして4MOTIONとXDS効果でアンダーステアーを感じずオンザレール感覚でコーナリングする。ホイールベースが長いので、ブレーキングでも安定感があり、快適な雪道ドライブが楽しめた。
[ティグアン]
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
[パサート]
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
(レスポンス 松田秀士)
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