レクサス初のEV『UX300e』、「匠」ドライバーが足回りを開発…2020年内に欧州発売

レクサス UX 300e(欧州仕様)
レクサスの欧州部門は、「匠」と呼ばれるマスタードライバーが、ブランド初の市販EV『UX300e』(Lexus UX 300e)の足回りを開発した、と発表した。2020年内に欧州市場で発売される予定だ。

同車は、レクサス最小のSUVの『UX』をベースに、EVパワートレインを搭載したモデルだ。その開発においてエンジニアリングチームは、レクサスのエキスパートの匠マスタードライバーと緊密に連携して、独自の電動レクサスの走行体験を実現するために、特別なプログラムを導入した。

◆EV化による運動特性の変化に合わせて細部に至るまでチューニング

レクサスでは、特定のテーマの専門家に匠の称号を付与している。専門家は、それぞれの分野で最低6万時間に及ぶ学習と経験を積んでいる。彼らの膨大な知識が、開発と生産において、レクサスの品質を支えているという。

UX300eでは、モーターやバッテリーを車体下部に配置することで重心高を下げ、前後重量配分や慣性モーメントの最適化などにより、車両の運動性能を高めている。さらに、GA-Cプラットフォームの高い基本性能をさらに磨き上げるべく、ブレースの追加やショックアブソーバーの減衰力最適化など、EV化による運動特性の変化に合わせ、細部に至るまでチューニングを施した。

具体的には、匠マスタードライバーが日本の公道とテストコースで運転した後、UX 300eのサスペンションは欧州の道路で微調整され、適切なホイールレートとダンピングにチューニングし、不快なピッチングを抑制した。これらのテストの結果、直線的なステアリングフィールを生み出し、車両の姿勢を制御する専用のショックアブソーバーが開発された。

レクサスの高性能モデルを含めた全車の開発に精通したマスタードライバーからのフィードバックに基づいて、フロントサスペンションメンバーのステアリングギアボックスに補強ブレースが追加され、より直接的で正確なステアリングフィールを追求した。これにより、ドライバーが曲がり始めた瞬間の応答性が向上し、レクサス独自の正確で洗練されたステアリング特性を実現しているという。

また、床下のバッテリーに遮音壁としての機能を持たせたほか、エンジンやトランスミッションの音がないことに起因する風切り音や小石・砂などの巻き上げ音にも配慮している。

◆最大出力204ps を発生するモーター

エクステリアは、優れた空力性能を追求するために、専用ホイールや床下の空力カバーを新開発した。インテリアは、シフトバイワイヤを採用したセンターコンソールなど、EVらしい操作系とした。

予防安全パッケージの「Lexus Safety System +」を採用した。交通事故や事故死傷者のさらなる低減と、ドライバーの負担軽減を狙う。運転支援時にドライバーにとって自然で、安心感のある車両挙動も目指している。

UX 300eでは、「GA-C」プラットフォームのフロントに、最大出力204ps、最大トルク30.6kgmを発生するモーターを搭載する。パワフルなモーターにより、0~100km/h加速は7.5秒の性能を発揮する。最高速は160km/hに抑えられる。

EVでも、UXのガソリン車やハイブリッド車と同じく、ドライバーの意図に忠実な滑らかな加速フィーリングを追求した。ドライブモードセレクトによって、ペダル操作に対して、瞬時にトルクが立ち上がるEVならではの力強い加速フィーリングを味わうことも可能という。

また、パドルシフトによって、減速度を4段階から選択できる。ガソリン車のエンジンブレーキと同じように減速操作ができ、EVの特性を最大限生かしながら自然な操作性を実現することを目指した。

走行中のサウンドにもこだわった。アクティブサウンドコントロール(ASC)を採用することで、車両の走行状況を感じられる快適なドライビング環境を追求した。ドライバーや同乗者に心地良いサウンドをもたらすという。

◆1回の充電で最大400kmを走行可能

大容量のリチウムイオンバッテリーは、床下に搭載される。蓄電容量は54.3kWhとした。ハイブリッド車で培ったモーター、インバーター、ギア、バッテリーといった主要装備の効率を最大化し、システム全体としての性能向上を図った。1回の充電での航続は、最大で400km(NEDC:新欧州サイクル)を確保している。

低温や高温下でも正常に動作するよう、バッテリーには温度調整機能を備える。過充電防止システムや、多重監視のセーフネットにより、高い信頼性を追求した。

バッテリーの充電は、普通充電(AC)の場合、最大6.6kWの出力で充電できる。急速充電(DC)の場合、最大充電出力は50kWとした。

最新のコネクティッド技術を採用する。専用アプリによるスマートフォンとの連携で、バッテリー残量や航続、充電の必要があるかどうかを確認できる。また、充電完了までの時間を把握したり、出発時刻に合わせて充電が完了するようタイマーを設定したりすることも可能だ。エアコンやシートヒーター、デフロスターなどを車外から遠隔操作することもできる。

(レスポンス 森脇稔)

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