トヨタも開発に参画、NASCARがパワー1000kWのEVプロトタイプ公開…ABBと脱炭素化めざす

  • ABB NASCAR EVプロトタイプ
米国ABBとNASCAR(全米自動車競走協会)は7月6日、新しいEVプロトタイプ「ABB NASCAR EVプロトタイプ」を初公開した。また両者は、ABB NASCAR電動化イノベーションパートナーシップを発表した。このパートナーシップにより、EVテクノロジーと自動車レースの世界的リーダーが結集し、NASCARの電動化に関する戦略的取り組みを前進させる。

このパートナーシップの一環として、米国ABBは、NASCARが電動化とEVの充電に関する公共のサステナビリティ目標を達成できるよう支援する。NASCARは、レースにおける内燃機関の歴史的な役割に尽力する一方で、電動化と革新的なソリューションを通じて、2035年までに事業の脱炭素化を図り、中核事業全体でカーボンフットプリントをゼロにすることにも取り組んでいる。

EVプロトタイプは、NASCAR研究・開発センターチームによる最新のイノベーションだ。2022年にデビューしたNext Gen(次世代)モデルは、ストックカー(市販車)としての要素を取り戻し、車両のほとんどの部品を現代化した。また、このマシンは、NASCARがレースカーを可能な限り市販車に近づけるために製品の関連性を再確認したことを示している。

このEVプロトタイプは、NASCARのパートナーであるシボレー、フォード、トヨタと共同で開発され、Next Genマシンとルマン24時間レースに参戦するガレージ56を担当したNASCARのエンジニアによって開発された。

サーキットテスト済みの電動ストックカーには、3台のSTARD UHP 6相モータ(フロント1台、リア2台)が搭載され、特別に設計されたGoodyear Racing Eagleタイヤ4本すべてに直接電力を供給する。78kWhの水冷バッテリーが搭載され、制御可能なパワートレインは、ピーク電力で1000kWを生成できる。回生ブレーキは運動エネルギーを動力に変換し、ロードコースや短いオーバルトラックに最適という。

この全輪駆動車には、持続可能なフラックスベースの複合材で作られたクロスオーバーユーティリティビークル(CUV)のボディが採用されている。Next Genとガレージ56の両方と多くの類似点があり、車体はNext Genシャシーを改造し、ステアリング、サスペンション、ブレーキ、ホイールはすべてNASCARカップシリーズのマシンから派生したものだ。

ABBは、サステナビリティ、コミュニティエンゲージメント、その他の社会的取り組みを推進するために立ち上げられた包括的なプラットフォーム「NASCAR IMPACT」の創設パートナー。NASCAR IMPACTの中核となるのは、2035年までにNASCARの主要事業全体でカーボンフットプリントをゼロにする計画だ。

NASCARは、事業全体にわたって持続可能な運営に真剣に取り組んでいる。事業をスコープ1(燃料の燃焼)からスコープ2(電気)に移行することは、NASCARのサステナビリティ戦略の重要な要素である。NASCARの年間カーボン指標は、長期的な運営上の排出目標に加えて、2028年までに所有するレーストラックと施設で100%再生可能電力を調達すること、廃棄物転用の取り組みの拡大、敷地内のEV充電ステーションの設置など、短期的なサステナビリティ優先事項を示している。ABBは、運用業務の重要な要素の電動化に関して貴重なガイダンス、機器、サポートを提供し、NASCARを支援する上で重要な役割を果たしていく。

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