トヨタの赤い水素カートリッジの将来性は?…ジャパンモビリティショー2024
「ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024(Japan Mobility Show Bizweek 2024)」で、トヨタは小型の水素カートリッジを展示、その応用について模索を始めていた。
小型水素カートリッジの可能性
一般的に水素社会は2050年ごろからの次世代エネルギーとされているが、トヨタは2018年から水素燃料電池(FC)を動力源としたFCEV『MIRAI(ミライ)』を発売している。国内ではホンダに続くFCEVを持っているOEMだ。次世代エネルギーとして期待がかかる水素だが、インフラや製造コスト、タンクや機器の定期検査など長期的な課題・法規制も多い。トヨタでもFCEVのみで水素社会の実現は難しいと考えており、自社のFCモジュールを定置型発電機として外販を始めている。
車両以外のFCの応用例として考えられたのが、水素カートリッジだ。ミライに搭載された水素タンクの技術を投入し、直径200ミリ、長さ580ミリの小型カートリッジタイプのコンセプトモデルを開発した。重さは8.5kgでタンクの容量は4.7リットル。ミライのタンク1本が52リットル(ミライには52リットル×2、25リットル×1の合計3本のタンクが搭載されている)なので、かなり小型化されていることがわかる。
4.7リットルの水素の重さは200gくらいだというので、満タンのタンクでも重さの違いはわからない。重量8.5kgと決して軽くはないが大人なら片手で持つことは可能だ。ホンダやEUのマイクロカーが採用する交換式バッテリーよりは軽いので、人手で交換可能なカートリッジとしては十分だろう。
同じ形状で欧州仕様のカートリッジも展示されていた。こちらの外装はグレーだが、日本は法規制により水素タンクの色が決められているため赤に着色している。また内圧の規定も異なるため欧州仕様のタンク内圧は52MPaとなっている。
肝心の発電容量はおよそ3.3kWhだという。3本あれば一般家庭の1日の電力をまかなうことができるという。ただし水素タンクの内圧は70MPaあるのでFCモジュールやガスコンロに使うためには減圧器が必要だ。デモ展示では水素カートリッジが2本入るモジュールと発電機となるFCモジュールがあった。カートリッジモジュールはもっと小型化する必要があると説明員はいう。たしかに3本で1日分の電力となると、2本のモジュールでは緊急時の予備電源として使えるが、それ以上の用途は難しい。
発電機となるFCモジュールはかなり小型化されていた。外販しているミライのFCモジュールは出力に応じて3種類のサイズが用意されているが、その最小サイズのモジュールよりもさらに小さい。FCスタックを減らすなどして小型化を実現している。
水素ガスは燃やすことができるので、水素カートリッジは、ガスコンロにつなぐこともできる。会場では、リンナイが開発した水素ガスコンロの展示と調理デモ(屋外)も行われていた。このガスコンロは水素カートリッジ1本で約90分ほど燃焼可能だという。火力はコンロの設計しだいだが、水分を含む水素ガスの炎で調理すると肉や野菜のみずみずしさが違うそうだ。
スタートアップとのマッチングを目的とし開催されている今回のモビリティショー。トヨタは、水素カートリッジを使った機器の開発やサービス提供を事業として推進できるスタートアップ企業を求めているという。例えば、水素カートリッジを使用したアプリケーション機器の開発及び販売や水素カートリッジの配送及び交換サービス、FC小型発電機を利用したサービスの提供などが考えられる。
なお、水素カートリッジの発想自体は以前にもあり、2022年のパリモーターショーではNamXという新興メーカーとピニンファリーナが車両向けのコンセプトモデルを発表している。「NamX HUV」というプレミアムFCEVだ。メインタンクとは別に予備タンク6本をリアトランク下のスロットに脱着するようになっている。6本のカートリッジでおよそ300km分の走行が可能だという。まだ市販はされていない(開発中)が、サイトには事前予約のボタンがある。
液化が難しい水素は容積がかさむという問題があるが、可搬性には優れているのでカートリッジのような運用ができれば、大規模な水素ステーションのほかにカートリッジによるステーションの建築も可能かもしれない。
中古の車載電池を蓄電システムに活用
一方、ブースでは「スイープ蓄電システム」についての展示も行われていた。これは、直列に繋いだ各電池の通電と非通電をマイクロ秒の速さで切り替えることで、各電池からの充電・放電を直流・交流で任意に制御するトヨタ独自の「スイープ技術」を用い、中古の車載電池を蓄電システムに活用する仕組みだ。直流交流変換装置の削減による設備コストや電力変換時のエネルギーロスの低減、システムを稼働したままでも劣化した電池交換を使用することが可能となる。運営面でのコスト低減にもつながるという。
2018年からJERA(旧中部電力)とともにリユース・リサイクル事業の実証を開始しており、2022年からは「大容量スイープ蓄電システム」をJERAの四日市火力発電所に設置し、実証実験を行っている。
今回の出展では、システムをより安価・安定的に運用できるアイデアを募集し、さらなる改善に繋げたいとのこと。スタートアップに対し求める技術や設備としては、電池の交換作業を画期的に短縮・低減できる技術や搬送設備、動作確認・評価リードタイムを短縮できるような評価設備・評価手法、電池トレサビリティ技術(モノと情報の連携)などとしている。
小型水素カートリッジの可能性
一般的に水素社会は2050年ごろからの次世代エネルギーとされているが、トヨタは2018年から水素燃料電池(FC)を動力源としたFCEV『MIRAI(ミライ)』を発売している。国内ではホンダに続くFCEVを持っているOEMだ。次世代エネルギーとして期待がかかる水素だが、インフラや製造コスト、タンクや機器の定期検査など長期的な課題・法規制も多い。トヨタでもFCEVのみで水素社会の実現は難しいと考えており、自社のFCモジュールを定置型発電機として外販を始めている。
車両以外のFCの応用例として考えられたのが、水素カートリッジだ。ミライに搭載された水素タンクの技術を投入し、直径200ミリ、長さ580ミリの小型カートリッジタイプのコンセプトモデルを開発した。重さは8.5kgでタンクの容量は4.7リットル。ミライのタンク1本が52リットル(ミライには52リットル×2、25リットル×1の合計3本のタンクが搭載されている)なので、かなり小型化されていることがわかる。
4.7リットルの水素の重さは200gくらいだというので、満タンのタンクでも重さの違いはわからない。重量8.5kgと決して軽くはないが大人なら片手で持つことは可能だ。ホンダやEUのマイクロカーが採用する交換式バッテリーよりは軽いので、人手で交換可能なカートリッジとしては十分だろう。
同じ形状で欧州仕様のカートリッジも展示されていた。こちらの外装はグレーだが、日本は法規制により水素タンクの色が決められているため赤に着色している。また内圧の規定も異なるため欧州仕様のタンク内圧は52MPaとなっている。
肝心の発電容量はおよそ3.3kWhだという。3本あれば一般家庭の1日の電力をまかなうことができるという。ただし水素タンクの内圧は70MPaあるのでFCモジュールやガスコンロに使うためには減圧器が必要だ。デモ展示では水素カートリッジが2本入るモジュールと発電機となるFCモジュールがあった。カートリッジモジュールはもっと小型化する必要があると説明員はいう。たしかに3本で1日分の電力となると、2本のモジュールでは緊急時の予備電源として使えるが、それ以上の用途は難しい。
発電機となるFCモジュールはかなり小型化されていた。外販しているミライのFCモジュールは出力に応じて3種類のサイズが用意されているが、その最小サイズのモジュールよりもさらに小さい。FCスタックを減らすなどして小型化を実現している。
水素ガスは燃やすことができるので、水素カートリッジは、ガスコンロにつなぐこともできる。会場では、リンナイが開発した水素ガスコンロの展示と調理デモ(屋外)も行われていた。このガスコンロは水素カートリッジ1本で約90分ほど燃焼可能だという。火力はコンロの設計しだいだが、水分を含む水素ガスの炎で調理すると肉や野菜のみずみずしさが違うそうだ。
スタートアップとのマッチングを目的とし開催されている今回のモビリティショー。トヨタは、水素カートリッジを使った機器の開発やサービス提供を事業として推進できるスタートアップ企業を求めているという。例えば、水素カートリッジを使用したアプリケーション機器の開発及び販売や水素カートリッジの配送及び交換サービス、FC小型発電機を利用したサービスの提供などが考えられる。
なお、水素カートリッジの発想自体は以前にもあり、2022年のパリモーターショーではNamXという新興メーカーとピニンファリーナが車両向けのコンセプトモデルを発表している。「NamX HUV」というプレミアムFCEVだ。メインタンクとは別に予備タンク6本をリアトランク下のスロットに脱着するようになっている。6本のカートリッジでおよそ300km分の走行が可能だという。まだ市販はされていない(開発中)が、サイトには事前予約のボタンがある。
液化が難しい水素は容積がかさむという問題があるが、可搬性には優れているのでカートリッジのような運用ができれば、大規模な水素ステーションのほかにカートリッジによるステーションの建築も可能かもしれない。
中古の車載電池を蓄電システムに活用
一方、ブースでは「スイープ蓄電システム」についての展示も行われていた。これは、直列に繋いだ各電池の通電と非通電をマイクロ秒の速さで切り替えることで、各電池からの充電・放電を直流・交流で任意に制御するトヨタ独自の「スイープ技術」を用い、中古の車載電池を蓄電システムに活用する仕組みだ。直流交流変換装置の削減による設備コストや電力変換時のエネルギーロスの低減、システムを稼働したままでも劣化した電池交換を使用することが可能となる。運営面でのコスト低減にもつながるという。
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