【マセラティ GT2ストラダーレ】レーシングカーを公道で走らせる、マセラティならではのマジック
マセラティジャパンはレーシングマシン「GT2」の公道仕様、マセラティ『GT2ストラダーレ』を日本初公開した。ストラダーレという名の通り、レーシングマシンを公道も走行可能にしたクルマだ。価格は未定で、生産及び納車は2025年を予定している。
◆GT2とMC20の良いとこ取り
マセラティのレースの歴史を紐解くと1926年のタルガ・フローリオにまでさかのぼる。「TIPO 26」がクラス優勝を獲得し、それ以降幾多の輝かしい成績を残してきた。近年でも2023年からファナテック GT2 ヨーロピアン・シリーズに参戦。2024年は初のフルシーズン参戦し、16回のポールポジションと12回の優勝を果たしている。
2020年にデビューした『MC20』は開発時からレースを意識。それをベースにレーシングモデル化したのがGT2なのである。つまり、「GT2(レースカー)とMC20の双方の得意性を融合して生まれたのが、GT2ストラダーレだ」と紹介するのは、マセラティジャパン業務執行取締役ジャパンジェネラルマネージャーの玉木一史氏だ。そして、「このGT2ストラダーレは、数々のレースの歴史から培われた極限のパフォーマンスを持ちながらも、公道も合法的に走行できるクルマだ」とした。
従ってこのGT2ストラダーレはGT2を開発したチームによって生み出された。まず、「エンジンパワーを増強させ、車重を大幅に軽減。そしてダウンフォースも大幅に向上させることで性能を一段と引き上げることに成功。これによってダイナミックな特性が際立ち、運転の楽しさ、ハンドリングが向上している」という。
◆バネ下重量の低減とダウンフォース向上がポイント
当然ながらGT2ストラダーレもマセラティが自社設計製造する「ネットゥーノ」エンジンを搭載。3リットル90度V型6気筒ツインターボ、ドライサンプシステムを採用。最高出力はMC20と比べて10PSを上回る640PS、最大トルク720Nmを発揮する。
一方、軽量化にも注力。GT2のために開発した特別なコンポーネントを数多く採用することでMC20よりも59kgの軽量化に成功。このうちブレーキやホイールといったバネ下重量だけで35kgもの削減をしていることから、「数値以上にドライビングパフォーマンスに与える影響が大きくなっている」と述べる。重量配分は40対60とされ、「パフォーマンスバランスにも優れている」と玉木氏。
パワーアップと軽量化の結果、0-100km/h加速はMC20を上回る2.8秒を達成。最高速度は324km/hで、「バロッコのテストコースでは、MC20が記録したラップタイムを5秒以上上回る記録を叩き出している」とのことだった。
このラップタイムの向上に重要な役割を果たしたのがダウンフォースだ。特に、「コーナリング性能を高めることを目指しつつ、縦方向の効率を極力犠牲にしないことに追求」。具体的には、280km/hのダウンフォースを比較すると、MC20は145kgに対しGT2ストラダーレは500kgと大幅に向上している。これはリアウイングが3段階に調整できる機構を通り入れており、この数値はハイドラッグの状態のもの。「このブーメラン形状のウイングは表面積を拡大するとともに、吊り下げ式を採用。日本をはじめとした各国の安全基準もクリアしている」という。
空力の対策はフロントにも及んでおり、シャークノーズにすることで、MC20よりも開口部を拡大。同時にGT2と同じボンネットを採用することで荷重バランスと熱の排出するために3つのエアベントを採用。因みにフロントフェンダーやリアウイングの後ろにも3つのエアベントを用いており、「デザインにおいて“3”という数字がカギだ」とコメントする。
そのほか新しいカーボンファイバー製のバンパーや、大きなスプリッターがダウンフォースをさらに増大。同時に専用のエアインテークがブレーキの冷却を改善している。フロント下部にあるトライデント(マセラティのシンボルマーク)の下側にも少し盛り上がった形状をさせており、これも空力の効果を狙ったもののようだ。
リア周りでは、リアフェンダーのエアインテークが完全に再設計され、「カーボンファイバー製のダクトによりフレッシュエアの流れが16%向上し、エンジンの冷却効率も大幅にアップ」している。
そのほかディフューザーもアンダーボディからの空気の排出を促進するように完全に再設計。リア周りをよりダイナミックに見せる役割もあるという。
◆走行モードもドライバーのスキルに合わせて
インテリアも「一目見てレーシング的要素を感じていただけるのではないか」と玉木氏。センタートンネルを軽量化のために再設計。そのセンタートンネルにはドライブモード設定用のダイヤルが人間工学に基きドライバーの手元に近づくように配置。この部分はカーボンファイバー製で、その周囲は黄色く彩られている。これは、「レーシングカーにインスピレーションを受けたもので、耐久レースの夜間セッションでも、ドライバーは必要な操作を迅速に行うことが可能にするためのものだ」。
サベルトと共同で特別にデザインされたカーボンファイバー製ダブルシェルシートは、「ドライビングポジションをさらに低く設定することも可能で、体格に合わせて2つのサイズを用意。オプションで3点または4点式のハーネスの取り付けが可能となっている」とのこと。
さて、GT2ストラダーレには、「WET」、「GT」、「SPORT」、「CORSA」という4つのドライブモードが備えられているが、玉木氏によると、「パフォーマンスパッケージ」を選択すると、「CORSA EVO」と呼ばれる電子制御を4段階で減少させるモードが備わる。
段階的に電子制御の介入が少なくなるので、「ドライバーのスキルに合わせてドライビングのカスタマイズが可能だ。ストレートが多い、あるいは複合コーナーが多いサーキットなど、それぞれに合わせたセッティングもでき、場合によってはウェザーコンディションなどにより電子制御の介入を自分好みにセッティングも可能」という。「ドライビングスキルの上達と共に、電子制御の介入を減らしていくことができるのも楽しみ。マシンを自分に合わせていくことができるという、このクルマの魅力ではないか」と語る。
このようにサーキットなどで究極のパフォーマンスを発揮する一方、ADASをはじめとした「安全性、快適性、日常生活にも適した親しみやすさも備えている。カメラ、パーキングセンサーといった現代のクルマに欠かせない補助機能も備えているので、市街地でも快適に走行できる」と玉木氏はコメントした。
そして、「GT2ストラダーレはレーシングカーのパフォーマンスを生むためのテクノロジーと、MC20が誇る最高のクオリティを兼ね備えている。マセラティがこれまでに提供してきたドライビング体験を最高の形で楽しんでもらえるクルマ」と結んだ。
◆GT2とMC20の良いとこ取り
マセラティのレースの歴史を紐解くと1926年のタルガ・フローリオにまでさかのぼる。「TIPO 26」がクラス優勝を獲得し、それ以降幾多の輝かしい成績を残してきた。近年でも2023年からファナテック GT2 ヨーロピアン・シリーズに参戦。2024年は初のフルシーズン参戦し、16回のポールポジションと12回の優勝を果たしている。
2020年にデビューした『MC20』は開発時からレースを意識。それをベースにレーシングモデル化したのがGT2なのである。つまり、「GT2(レースカー)とMC20の双方の得意性を融合して生まれたのが、GT2ストラダーレだ」と紹介するのは、マセラティジャパン業務執行取締役ジャパンジェネラルマネージャーの玉木一史氏だ。そして、「このGT2ストラダーレは、数々のレースの歴史から培われた極限のパフォーマンスを持ちながらも、公道も合法的に走行できるクルマだ」とした。
従ってこのGT2ストラダーレはGT2を開発したチームによって生み出された。まず、「エンジンパワーを増強させ、車重を大幅に軽減。そしてダウンフォースも大幅に向上させることで性能を一段と引き上げることに成功。これによってダイナミックな特性が際立ち、運転の楽しさ、ハンドリングが向上している」という。
◆バネ下重量の低減とダウンフォース向上がポイント
当然ながらGT2ストラダーレもマセラティが自社設計製造する「ネットゥーノ」エンジンを搭載。3リットル90度V型6気筒ツインターボ、ドライサンプシステムを採用。最高出力はMC20と比べて10PSを上回る640PS、最大トルク720Nmを発揮する。
一方、軽量化にも注力。GT2のために開発した特別なコンポーネントを数多く採用することでMC20よりも59kgの軽量化に成功。このうちブレーキやホイールといったバネ下重量だけで35kgもの削減をしていることから、「数値以上にドライビングパフォーマンスに与える影響が大きくなっている」と述べる。重量配分は40対60とされ、「パフォーマンスバランスにも優れている」と玉木氏。
パワーアップと軽量化の結果、0-100km/h加速はMC20を上回る2.8秒を達成。最高速度は324km/hで、「バロッコのテストコースでは、MC20が記録したラップタイムを5秒以上上回る記録を叩き出している」とのことだった。
このラップタイムの向上に重要な役割を果たしたのがダウンフォースだ。特に、「コーナリング性能を高めることを目指しつつ、縦方向の効率を極力犠牲にしないことに追求」。具体的には、280km/hのダウンフォースを比較すると、MC20は145kgに対しGT2ストラダーレは500kgと大幅に向上している。これはリアウイングが3段階に調整できる機構を通り入れており、この数値はハイドラッグの状態のもの。「このブーメラン形状のウイングは表面積を拡大するとともに、吊り下げ式を採用。日本をはじめとした各国の安全基準もクリアしている」という。
空力の対策はフロントにも及んでおり、シャークノーズにすることで、MC20よりも開口部を拡大。同時にGT2と同じボンネットを採用することで荷重バランスと熱の排出するために3つのエアベントを採用。因みにフロントフェンダーやリアウイングの後ろにも3つのエアベントを用いており、「デザインにおいて“3”という数字がカギだ」とコメントする。
そのほか新しいカーボンファイバー製のバンパーや、大きなスプリッターがダウンフォースをさらに増大。同時に専用のエアインテークがブレーキの冷却を改善している。フロント下部にあるトライデント(マセラティのシンボルマーク)の下側にも少し盛り上がった形状をさせており、これも空力の効果を狙ったもののようだ。
リア周りでは、リアフェンダーのエアインテークが完全に再設計され、「カーボンファイバー製のダクトによりフレッシュエアの流れが16%向上し、エンジンの冷却効率も大幅にアップ」している。
そのほかディフューザーもアンダーボディからの空気の排出を促進するように完全に再設計。リア周りをよりダイナミックに見せる役割もあるという。
◆走行モードもドライバーのスキルに合わせて
インテリアも「一目見てレーシング的要素を感じていただけるのではないか」と玉木氏。センタートンネルを軽量化のために再設計。そのセンタートンネルにはドライブモード設定用のダイヤルが人間工学に基きドライバーの手元に近づくように配置。この部分はカーボンファイバー製で、その周囲は黄色く彩られている。これは、「レーシングカーにインスピレーションを受けたもので、耐久レースの夜間セッションでも、ドライバーは必要な操作を迅速に行うことが可能にするためのものだ」。
サベルトと共同で特別にデザインされたカーボンファイバー製ダブルシェルシートは、「ドライビングポジションをさらに低く設定することも可能で、体格に合わせて2つのサイズを用意。オプションで3点または4点式のハーネスの取り付けが可能となっている」とのこと。
さて、GT2ストラダーレには、「WET」、「GT」、「SPORT」、「CORSA」という4つのドライブモードが備えられているが、玉木氏によると、「パフォーマンスパッケージ」を選択すると、「CORSA EVO」と呼ばれる電子制御を4段階で減少させるモードが備わる。
段階的に電子制御の介入が少なくなるので、「ドライバーのスキルに合わせてドライビングのカスタマイズが可能だ。ストレートが多い、あるいは複合コーナーが多いサーキットなど、それぞれに合わせたセッティングもでき、場合によってはウェザーコンディションなどにより電子制御の介入を自分好みにセッティングも可能」という。「ドライビングスキルの上達と共に、電子制御の介入を減らしていくことができるのも楽しみ。マシンを自分に合わせていくことができるという、このクルマの魅力ではないか」と語る。
このようにサーキットなどで究極のパフォーマンスを発揮する一方、ADASをはじめとした「安全性、快適性、日常生活にも適した親しみやすさも備えている。カメラ、パーキングセンサーといった現代のクルマに欠かせない補助機能も備えているので、市街地でも快適に走行できる」と玉木氏はコメントした。
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