クルマへのトキメキを思い出す! 新型カムリのCM

自動運転技術が話題になり、クルマの燃費性能に注目が集まる昨今。世の中全体で、だんだんとクルマへの興味が薄れていくような気配さえも感じられる。そうした悪い雰囲気の払しょくを期待されるのが、2017年7月10日より発売が開始された最新の「カムリ」だ。

世界のトレンドはSUVに傾き、セダンへの注目度は相対的に下がっている。しかし、走る/曲がる/止まるという、クルマ本来に求められる性能は、どう考えても背の高いSUVよりもセダンの方が有利。また、優雅なプロポーションもセダンの方が実現しやすい。つまりセダンが秘めるポテンシャルは高く、魅力的なモデルさえ存在すればセダン再評価の流れも生まれる。新型「カムリ」にはそうした「セダン復権」の期待も大きくかけられているのだ。

そうした狙いもあってか、新型「カムリ」は、日本中がクルマに熱烈にラブコールを送っていた80~90年代のクルマが数多く登場するプロモーション動画を用意した。動画を見れば、80年代当時を知るベテランのクルマ愛好者たちが、かつての「クルマ愛」を思い出してくれること間違いなし! と言えるだろう。

80年代を中心に話題を集めたモデルが続々と登場!

スーパーカーと同じミドシップレイアウトを採用した「MR2」。1984年に初代が誕生する
スーパーカーと同じミドシップレイアウトを採用した「MR2」。1984年に初代が誕生する

ここで、そのプロモーション動画に登場するクルマたちを紹介しよう。まず、動画がスタートすると、画面が3分割され、左から初代「MR2」、「セリカXX」、「チェイサー」の3台が登場する。

「MR2(AW型)」は、1984年に誕生した2人乗りのスポーツカー。なんと、エンジンを運転席の後ろに搭載するミドシップレイアウトを日本の小型車として初採用。「誰もが手に届く価格で、憧れのスーパーカーと同じレイアウトのスポーツカーが販売された!」と大きな話題を集めた。

セリカの兄貴分として生まれた「セリカXX」。後に「スープラ」に発展してゆく
セリカの兄貴分として生まれた「セリカXX」。後に「スープラ」に発展してゆく

「セリカXX」は、大ヒットスペシャリティ「セリカ」の兄貴分として追加されたモデル。動画に登場するのは1981年発売の2代目だ。「セリカXX」は、後に「スープラ」に発展。1980年代に大人気だったクルマ漫画『よろしくメカドック』にも主役クラスで登場するなど本格スポーツモデルとして人気となった。

2リッターツインターボを搭載して話題となった3代目「チェイサー」
2リッターツインターボを搭載して話題となった3代目「チェイサー」

「チェイサー」は「マーク2」の兄弟車。他に「クレスタ」も存在して、「マーク2 3兄弟」とも呼ばれていた。3兄弟で「チェイサー」は、もっとも若々しくスポーティな存在だ。動画のモデルは1984年に発売された3代目「チェイサー(X70系)」。1985年に、最高出力185PS/6200rpm(Gross)の2リッターDOHCツインターボを追加して話題になる。当時は185馬力でも、ものすごい高性能であったのだ。

プロモーション動画の4秒過ぎになると、3分割画面の中央に「アルテッツァ」が登場。右側は「セリカ」の後ろ姿。そして左の画面でも2代目「MR2」が、後ろ姿から映し出される。

手頃な価格とサイズのコンパクトFRセダンの復活として注目を集めた「アルテッツァ」
手頃な価格とサイズのコンパクトFRセダンの復活として注目を集めた「アルテッツァ」

「アルテッツァ」は1998年に大きな期待と共に世に送りだされた。1990年代は、小型モデルのFF化が進んだ時代で、気が付けば、「手ごろな価格のFRスポーツセダン」が絶滅していたのだ。その穴を埋めるべく投入されたのが「アルテッツァ」であった。

スペシャリティカー=デートカーとして大人気モデルであった「セリカ」。写真のヘッドライトはポップアップ前の収納状態
スペシャリティカー=デートカーとして大人気モデルであった「セリカ」。写真のヘッドライトはポップアップ前の収納状態

角ばった特徴的なリヤビューを持つのが1981年デビューの3代目「セリカ」。プロモーション動画では一瞬、フロント部が横から映し出されているが、そのヘッドライトに特徴があった。使うときだけ、わずかにポップアップするセミリトラクタブル式「ライズアップ」ヘッドライトが採用されていたのだ。

ミドシップレイアウトの2座スポーツ「MR2」。写真の2代目モデルはパワフルで、サーキットやジムカーナでも人気を集める
ミドシップレイアウトの2座スポーツ「MR2」。写真の2代目モデルはパワフルで、サーキットやジムカーナでも人気を集める

2代目の「MR2(SW型)」のデビューは1989年。初代モデルよりも、ひと回り大柄になり、さらにパワーもアップ。初期モデルの走りのピーキーさは伝説的でさえあり、恐れと憧れの交じった目で見つめられていたのだ。

ジウジアーロが手掛けた欧州テイストの濃いデザインが好評となった初代「アリスト」
ジウジアーロが手掛けた欧州テイストの濃いデザインが好評となった初代「アリスト」

角ばった「セリカ」の後の一番右の画面には、ガレージの中の「アリスト」。1991年誕生の初代は、暴力的なまでの強烈なパワーと、ジウジアーロが率いるイタル・デザインによるスタイリッシュなスタイルが特徴であった。今の「レクサス・GS」のご先祖様ともいえる存在だ。

「マーク2」3兄弟の中でも、最も若々しくスポーティなイメージなのが「チェイサー」であった
「マーク2」3兄弟の中でも、最も若々しくスポーティなイメージなのが「チェイサー」であった

その後、中央で土煙と共に豪快なドリフトを見せるのが、再び「チェイサー」。これは1980年にデビューしたX60型の2代目モデル。最もスポーティなグレード「GT」が人気となった。

「ハイソカー」とも呼ばれ、プレミアムなスペシャリティカーのブームを生み出した初代「ソアラ」
「ハイソカー」とも呼ばれ、プレミアムなスペシャリティカーのブームを生み出した初代「ソアラ」

そして最後の3画面を占領するのが「ソアラ」の初代モデルだ。トヨタにとって、初の高級パーソナルカー。ワイドな3ナンバーのボディは、ロングノーズ&ショートデッキの2ドアクーペ。これに当時国内最強の170馬力エンジンを搭載。高級であり、ハイパワーで、しかもスマートで格好よい! 「ハイソカー」なる流行語まで生み出す、大ヒットモデルとなったのだ。

「MR2」にはじまり、「セリカXX」「チェイサー」「アルテッツァ」「セリカ」「アリスト」「ソアラ」と並ぶのが、新しい「カムリ」のプロモーション動画だ。どのクルマも1980年~90年代に大いに話題を集めたモデルばかり。まさに「クルマが熱かった時代」を思い出させてくれるクルマたちである。

(鈴木ケンイチ+ノオト)

[ガズー編集部]

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