「スーパーカー・フェスティバル in 東京ドームシティ 2018」で聞いた愛車エピソード

フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンにパガーニ……。1台だけでもただならぬオーラを発するスーパーカーが一堂に会する「スーパーカー・フェスティバル in 東京ドームシティ 2018」が3月11日(日)に開催されました。

このイベントは、「見て座って写真を撮って、子供たちに喜んでもらえるスーパーカー展示会を」と、「Super Car Club Japan」のメンバー・関係者が協力して実現したもの。集まったスーパーカーは約40台、総額なんと10億円! 今回はこのイベントで展示されていたスーパーカーの中でも、特に貴重なクルマのオーナーさんに、愛車とのエピソードを聞いてみました。

キッカケはYouTube! 公道を走るレーシングカー「ラディカルRXC」

展示されていた中でも1、2を争う“タダモノじゃない雰囲気”をまとっていた1台がこちら。このクルマは、イギリスにある「ラディカル社」が販売している「ラディカルRXC」。ナンバープレートは付いていますが、中身はレーシングカーそのものです。

オーナーによると、動画サイト「YouTube」でこのクルマを知り、直接メーカーと交渉して輸入したとのこと。ナンバー取得に当っては、日本の排ガス規定値への適合に苦労したそうです。

搭載されているエンジンは、フォード・マスタング用の自然吸気V6エンジンがベース。自然吸気エンジンを搭載した個体は世界的にも希少だそう
搭載されているエンジンは、フォード・マスタング用の自然吸気V6エンジンがベース。自然吸気エンジンを搭載した個体は世界的にも希少だそう

発進時のクラッチ操作が難しいようですが、「自分の意のままに運転できて楽しい!」とのこと。整備やパーツの入手など、購入してからもそれなりに苦労はあっても、普通のクルマではできない体験ができたりスーパーカー仲間が増えたりとカーライフは大変充実しているようで、インタビュー中もずっと笑顔だったことが印象的でした。イベント後には、ラディカルのメカニックが来日して車体をチェックしてくれるそう。希少車だからこそ味わえる体験ですね。

世界に1台だけのカスタムイタリアンスーパーカー!「パガーニ・ゾンダ C12S」

まるでヘビのような鋭い目とぬるっとしたスタイリングを持つこのクルマは、イタリア・パガーニ社がハンドメイドで生産している「パガーニ・ゾンダ C12S」をさらにカスタマイズして仕上げられた「anija-special」。スーパーカー専門のエアロパーツ「Anija」ブランドの代表である山田勝久さん(Anijaさん)の愛車で、クルマもオーナーも日本国内外のスーパー界ではよく知られた存在です。

このエアロは、山田さんの趣味趣向でデザインされていて、「一般的にスーパーカーに求められる空力性能を追求したものではない」とのこと。元のクルマを設計したパガーニ社の代表オラチオ・パガーニは、崇拝するレオナルド・ダ・ヴィンチの哲学を取り入れ、「芸術」と「科学」を両立した「作品」としてパガーニの各モデルを生み出していますが、「anija-special」はそこからさらに踏み込んだものだと言えそうですね。

こちらは2014年1月に筆者が撮影した「anija-special」。このときとはボディカラーもスタイリングも異なり、進化していることが分かる
こちらは2014年1月に筆者が撮影した「anija-special」。このときとはボディカラーもスタイリングも異なり、進化していることが分かる

世界に2台とないカスタム・パガーニ・ゾンダは、まさに「ザ・スーパーカー」と言えるでしょう。ちなみに今回、展示された40台の中でもっとも高額な1台でもあります。

直していけば、クルマはオーナーより長生きする? 「ディーノ」

「ディーノ」は、フェラーリ社が1960~1970年代に開発・生産したクルマ。フェラーリの創設者、エンツォ・フェラーリの息子、ディーノことアルフレード・フェラーリが開発に携わったことや、それまでのV12エンジンに代わってV6エンジンを搭載したことから、「フェラーリ」の名を冠さず「ディーノ」として販売されたものです。

このクルマはオーナーが、約25年前に購入。ボディ下半分がサビで朽ち果てていた状態から、ここまで仕上げてきたそうです。レストアに当たっては、個体差のために取り寄せたパーツを“現車合わせ”で修正しなければならないなど、苦労も多かったとか。しかし、世界的に人気の高い車種のためパーツは入手しやすく、「日本の旧車よりも維持しやすいですね。キチンと直していけばオーナーよりもクルマの方が長生きできるでしょう」とオーナー氏。

ディーノの横で解説をしているのがオーナー氏。朽ち果てた状態からここまで仕上げてきた情熱と愛情に頭が下がる
ディーノの横で解説をしているのがオーナー氏。朽ち果てた状態からここまで仕上げてきた情熱と愛情に頭が下がる

エンジンの整備はオーナーが自ら行なっており、10年以上前にエンジンを降ろしてオーバーホールしたときには、エンジンルームの内側に日付と自分のサインを残しているそう。オーナーさんは、「いつの日か、このクルマが海外にわたって再びエンジンが降ろされたとき、メカニックがこのサインに気づいて『日本人にも好きモノがいたんだな』と思ってくれることを密かに楽しみにしています」と話してくれました。

クルマだけを見ていると、スーパーカーならではの華やかさやオーラにばかりに気を取られてしまいますが、オーナーさんにお話を聞いてみると、決してステータスで乗っているのではなく、それぞれのクルマが持つ「何か」に惹かれ、スーパーカーから人生にかけがえのないものを与えてもらっていることがわかりました。そういう意味では、あなたの愛車が「かけがえのないもの」を与えてくれているなら、それはあなただけの「スーパーカー」なのかもしれません。

(取材・文・写真:クリハラジュン 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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