アルコール教育の切り札に! 飲酒運転防止インストラクター養成講座

絶対にしてはいけない犯罪である飲酒運転。しかし、さまざまな啓発運動が行われているにもかかわらず、未だ根絶に遠いのが現状です。飲酒運転防止対策としての「アルコール教育」に着目した特定非営利活動法人アスクは、「飲酒運転防止インストラクター養成講座」を開催しています。どのような講座なのでしょうか。

これまで3,000人以上のインストラクターを養成

「酒酔い運転 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 違反点35点 免許取消」
「酒気帯び運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 違反点25点もしくは13点 免許取消や免許停止」

飲酒運転は上記のように厳罰化されているにもかかわらず、防ぎ切れていません。これは、飲酒習慣の問題やアルコールについての認識が欠けているなどの要素が複雑に絡み合っているため、と考える特定非営利活動法人アスクが2008年より開講しているのが「飲酒運転防止インストラクター養成講座」です。

飲酒運転の予防のために、地域や職場でアルコールについての正しい知識を伝えるための担い手として、これまでの9年間で全国各地に3,000人以上の認定インストラクターを養成してきました。

1年を通して知識を身につけ、伝える力を身につける

学び方の流れとしては、通信スクールの受講・添削とスクーリングへの参加、そして、実践報告シートの提出によりインストラクターとして認定されます。

通信スクールは3つの講座で構成されています。飲酒することで身体や脳に及ぼされる影響、ドライバーと職場が知っておかなければならない法律や飲酒運転により引き起こされる厳しい現実、飲酒習慣を変えるための具体的なノウハウなどをテキストで学習。また、3講座とも通信添削を受けます。

全国各地で行われる地区別スクーリングの参加資格は、通信添削で60点以上をクリアして修了すること。10:00から17:00まで1日集中で行われ、グループでの話し合いやケーススタディなど、より実践的な内容を学んでいるそうです。

その後、職場や教育現場、地域などで、DVDを用いた参加型研修を最低1回行ない、実践報告シートに記入の上報告。審査のうえ、認定基準を満たせば、晴れてインストラクターとして認定されます。

悲しい事故を繰り返さないために

特定非営利活動法人アスクウェブサイトより
特定非営利活動法人アスクウェブサイトより

スクーリングの講師をつとめる山村陽一さんは、元・JRバス関東会長。在職中に高速バス運転手が乗務中に飲酒運転を起こし、再発防止対策に追われました。事故を起こした本人は実刑判決、職も失いました。会社としても新規路線を2年間開くことができない免許停止処分を受け、その後、山村さんご自身も引責辞任をされたという経験を持ちます。以降、飲酒運転対策をライフワークとして飲酒運転防止のための活動に尽力されてきました。

「職場には、アルコールの知識をしっかり身につけ、職場の実態や酒飲みの心理をわかった上で具体的に節酒の方法を指導できる人が必要です」と訴えます。

第11期生となる2018年度の受講者の募集は3月15日から開始されるとのこと。一概に「ダメ!」と言い続けるのではなく、正しいアルコールの知識を深めることにより、お酒との付き合い方を考える、よい機会となることでしょう。教育による飲酒運転防止対策として、興味のある方は受講してみてはいかがでしょうか。

(取材・文:わたなべひろみ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]