ドライブ旅の片道はフェリーで。新造船「さんふらわあ さつま」で行く鹿児島県志布志

ある年齢以上の関西人なら、「さ~んふらわぁ~、さ~んふらわぁ~、太陽にまもぉ~ら~れてぇ~♪」という歌を覚えている人も多いでしょう。自分も忘れられないひとりです。

先日、熊本県で行われた「メガスーパーカーモーターショー」のレポートをお届けしましたが、実はこのときの往路に、あの歌でおなじみのフェリー「さんふらわあ」を利用しました。「さんふらわあ」には、大阪南港~鹿児島志布志、大阪南港~別府、神戸~大分の3つのルートがありますが、今回は、2018年5月15日に就航した新造船「さんふらわあ さつま」に乗るため大阪~志布志ルートを選択。

筆者が移動した日曜日の運行スケジュールは、大阪南港17:00発、鹿児島志布志8:55着でした。船上でリラックスしている間に山陽ルートで900km、四国ルートで700kmを移動できるのですから、これは相当なメリットと言えるでしょう。今回、往路にフェリー、復路は自走というスタイルで旅をしてみたところ、少ない疲労で遠くまで移動ができることを実感。フェリーなら、ドライブ旅行の可能性もぐっと広がることでしょう。

ゆったりした時間を楽しむのがフェリーの醍醐味

船の出航は独特の雰囲気があります。汽笛を鳴らしながらゆっくりと離岸し、沖に出る。港からは多くの人が手を振って見送ってくれる。「あぁ、旅に出るんだ」と、気分も上がってきます。デッキでゆっくりと小さくなっていく大阪をしばし見ていました。

出港してしばらくすると日没になるのですが、その瞬間を「どこで味わうか?」に悩みます。展望大浴場で湯船につかって太平洋を眺めるのもいいし、レストランで夕食をゆったり楽しみながら淡路島や四国の夕景を眺めるのもいい。いずれにしても、ゆったりとした時間が流れていきます。

ちなみにレストランはブッフェ形式で、種類が豊富でけっこうおいしい。食材も地産地消的な地元のいい食材が使われているようです。おいしいこともあってかすぐになくなってしまうのですが、料理はどんどん補充されるので常に温かいものが食べられました。カレー好きには、大人カレー、子供カレー、そして朝カレーと、三種類ものカレーが楽しめるのも嬉しいところ。ちなみにこのカレーは、売店でレトルトのものが買えました。

おなかいっぱいになって船内を一通り散歩したところで消灯時間に。部屋に戻ってベッドに入ります。いい感じの揺れが眠気を誘いあっという間に眠りについてしまいました。目覚めれば志布志はすぐそこ。朝食ブッフェをささっと楽しんで、わくわくしながら下船準備です。

海のLCC(ローコストクルーズ)でカジュアルなクルーズ

スイートルームや和室、ペットと一緒に泊まれるウィズペットルーム、リーズナブルなプライベートベッド、ツーリストなど、さまざまな客室がある中で今回選んだのは、スーペリアルーム。大人1人クルマ1台で3万7000円でした。

この新造船「さんふらわあ さつま」は、従来船より部屋を広くしてゆったりと旅を楽しめるようにしたそうです。そのために料金も、少し高めなのだとか。本格的なクルーズ船に対して、カジュアルクルーズという位置づけを狙っているとのことです。いわば海のLCC(ローコストクルーズ)。

一方、フェリーと言えばかなりの貨物需要もあるのですが、トラックドライバーたちの部屋もすべて個室になっているため、ゆっくり休息が取れると好評だそうです。物流業者としても、走行距離が格段に短くなるから整備費が低減されるメリットは大きく、フェリー運送コストとの差額は十分にもとが取れる計算になっているとか。このコラムを書いている最中、たまたまテレビで放送していた経済番組の中でこの新造船の特集を放送していたので、世間的な注目度も高いようです。

「オートポリスでのレースを観たいけど遠いな~」「あそこで楽しそうなクルマのイベントがあるけど遠いな~」と思っている方は、ぜひフェリーを調べてみてください。西へ東へ路線が多いので、きっとドライブ旅の新しみ方が見つかりますよ。

(取材・写真・文:大田中秀一 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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