クルマ旅に非日常を。フェリー旅へのいざない

四方を海に囲まれた島国・ニッポン。道路は陸路の旅へと導き、航路はまだ見ぬ海の向こうへ旅路を開く。フェリーに愛車を積んで出かけよう。

航路いろいろ

フェリーは、中長距離フェリーと短距離フェリーに大別され、関東地方からは北海道や四国、九州にフェリーで向かうことができる。また、あらゆる群島間、または本土間には航路が開かれ、往来するフェリーが海運を担っている。

「フェリーで旅に出る」と聞くと、「時間をかけて遠いところに行く」というイメージがあるかもしれないが、隣の島まで10分ほどの航海でつなぐようなフェリーもあり、島国ならではの多様性が感じられる。

船酔いは大丈夫?

船旅と聞くと「船酔い」を懸念する向きも多いが、大型のフェリーについてはほぼ心配ない。横揺れ防止装置や推進時の振動を制御する装置など、最新技術を導入し、客船にも劣らない快適な乗船環境を実現させている。

ただ、比較的小型のフェリーでは、揺れが気になるのも事実。船体の中心に近いところで進行方向と平行に横たわると、揺れの影響を最小限にとどめることができる。また、空腹時や満腹時の乗船を避けるようにすることも有効だ。

フェリー旅の料金は?

フェリーにクルマを載せる場合、その全長に応じた料金が設定されている。軽自動車やコンパクトカーなら4メートル未満、一般的な乗用車やミニバンなら5m未満の料金が目安だ。なお、一般に「自動車の料金」として設定されている乗船料には、運転手1人分の運賃が含まれる。

乗船券の買い方は?

原則として事前予約が必要になる。予約時に予約番号が伝えられたら、忘れずにメモしたい。乗船当日は、フェリー乗り場近辺にクルマを停め、車検証を持ち、切符売り場へ向かおう。自動車用の乗船申込書が用意されているはずだ。書式はさまざまだが、必要な情報は「クルマのナンバー」「全長」「全幅」「車高」になる。いずれも車検証どおりに記入し、窓口でも車検証を提示する必要がある。

支払いを済ませたら、車内に提示する番号札のようなものを渡される。ダッシュボードの上など指定の場所に置いて乗船時刻を待とう。また、航行中はクルマに戻れないことが多いので、財布やスマートフォンなど必要なものはあらかじめまとめておきたい。

クルマはどうやって載せる?

指定された乗船時刻にクルマで待機していると、係員が誘導してくれる。誘導に従ってクルマを移動させよう。注意したいのは、船内に至るスロープの傾斜が大きい場合があることだ。最低地上高の低いクルマは、バンパーや下回りを傷つけないよう、ゆっくりと移動させたい。

船内での楽しみ方は?

クルマを指定の位置に停めたら、客室に移動し船旅を楽しもう。フェリーによっては展望浴場やカフェ、ゲームセンターなどの設備があることも。天気がよければ、デッキ部分で徐々に離岸する風景を楽しむのも「旅立ち感」が高まるのでおすすめだ。また、船内には、クルマの運転者だけが利用できる、「ドライバー室」がある。

家族連れなどにぎやかに船旅を楽しみたい層もあれば、貨物車のドライバーなど、ビジネスで利用する層もフェリーを利用する。職業ドライバーにとって、航行中は体を休める大切なひとときでもある。お盆などの繁忙期でもドライバー室はそれほど混み合っていないので、ドライバーのちょっとした特権ともいえそうだ。

大海原を愛車とともにフェリーに揺られ島へ向かう。そのゆっくりとした時間の流れは忙しい日々を忘れさせてくれるに違いない。ドライブ旅に非日常のエッセンスを与えてくれるのがフェリー旅。次の休日が待ち遠しくなりそうだ。

(上泉純+ノオト)

[ガズー編集部]

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