青く見えるのに青色じゃない!「モルフォ蝶」の発色原理を応用したレクサスの特別なボディカラー
クルマの個性を引き立てるボディカラーは、乗る人のライフスタイルを表現する手段でもあるもの。塗装自体も進化しており、従来はなかった質感や深みのある塗装も開発されています。レクサスのフラッグシップクーペ「LC」の特別仕様車“Structural Blue”に設定された「Structural Blue(ストラクチュラルブルー)」も、そのひとつです。
青の顔料は未使用!? 蝶の羽の発色から着想を得た技術
レクサスの国内累計販売台数50万台を記念して発売されたこのクルマのボディは、鮮やかな青色に見えますが、なんと青色の顔料は一切使われていないのだそう。レクサス広報によると、「モルフォ蝶の羽から着想を得た『構造発色』の原理を応用し、15年の開発期間を経て実現したものです」とのこと。
中南米に生息するモルフォ蝶は特徴的な青色の羽をもつことを知られていますが、羽そのものは特定の色を持ちません。鱗粉の積層構造が青色の波長だけを強く反射することで、独自の青色を出しているのです。これが「構造発色」。モルフォ蝶の羽のような特定の波長のみを反射する原理とは異なりますが、シャボン玉やCDが本来無色なのに虹色に見えるのもこの構造発色が理由です。
通常の青より深みのある陰影が特徴
「顔料は、グレーの金属粒子と無色の硫化亜鉛の粒子を透明フィルムにコーティングし、このコーティングをフィルムから剥がすことでできあがる鱗粉上の粉をさらに細かくし、完成します。この顔料によって、光の反射で、深みのある陰影を表現した、鮮やかなブルーを実現することができました」(レクサス広報)
これまでもこの技術を利用して、見る角度によって色味が変化する顔料は開発されていました。しかし、今回採用されている顔料は、ひとつの色だけを発現するもので、「進化を目指す新世代レクサスの象徴であるフラッグシップクーペ『LC』の魅力的なデザインを一層引き立たせ、奥深い世界感を表現することができるボディカラーとして採用しました」と言います。
顔料は特別仕様でも特別なお手入れは必要なし
顔料が特別であるとは言っても、「通常のボディカラーのLCと同じように塗装を行い、元町工場のLC専用生産ラインで生産しております。普段の洗車やお手入れにも、特別なことは必要ありません」とのこと。また、レクサス販売店でのボディコーティングも、一般のクルマと同じようにできるそう。
- “Structural Blue”には、「ブルーモーメント」という専用のインテリアカラーも設定され、エクステリアとコーディネートされる
自然界ではほかにもクジャクやタマムシ、貝類などが、モルフォ蝶と同じような仕組みで鮮やかな色を発していますが、今のところ顔料ではこの青のみ。今後、研究開発が進めば、また別の色で「構造発色」の顔料が生まれてくるかもしれません。まずは街で青いLCを見かけたら、ぜひその深みや色合いの変化を確かめてみてください。
(取材・文:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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