意外なクルマもランクイン! トヨタ博物館「バックヤード収蔵車展 お客様が選んだ裏BEST10」

2018年10月6日(土)より、愛知県長久手市のトヨタ博物館にて、「バックヤード収蔵車展 お客様が選んだ裏BEST10」が始まりました。

トヨタ博物館 車両学芸グループ主幹・次郎坊浩典さんによると、「今までは、年2回春と秋にバックヤードツアーを開催して収蔵車を公開していましたが、抽選だったため、限られたお客様にしか参加していただくことができませんでした。お客様から『もっとバックヤードのクルマを見たい』というお声を多くいただき、バックヤードツアーを止め、昨年よりバックヤード収蔵車展を開催するようになりました。そこで、今回トヨタ博物館では、収蔵車48台を候補に、今年の2~5月ご来館いただいたお客様を対象として『展示して欲しい車両』のアンケートを取り、そのベスト10を展示することにしたのです」とのこと。

実際にトヨタ博物館でこの展示を見てきましたので、次郎坊さんの解説とともに“裏ベスト10”をご紹介します。

お客様が選んだ裏ベスト10はこの10台!

まずは、アンケートで選ばれた“裏ベスト10”のクルマをざっと見ていきましょう。

1位:トヨタ2000 GTボンドカー(1966年)

2位:デロリアンDMC-12(1982年)

3位:トヨタ・セラ(1995年)

4位:トヨタ MR2(1984年)

5位:トヨタ7 ターボ(1970年)

6位:マツダ・三輪トラック(1953年)

7位:トヨタ2000 GT スピードトライアル(レプリカ、1966年)

※取材当日は都内のメガ・ウェブに出張中でした

8位:トヨタ2000 GT 後期型(1969年)

9位:トヨタ・カローラ レビン(1972年)

10位:トヨタ・トヨエース(1959年)

デロリアンと三輪トラックを除く10台中8台がトヨタ車、しかも2000GTが3台もランクインしていました。次郎坊さんは「2000GTは常設展示でも人気ですが、3台もランクインしたことは驚きです。トヨタ車がここまで多いのも嬉しいですね」と話します。さらに次郎坊さんには、各車の詳細や時代背景などについてお話しいただきました。

三輪トラックとトヨエース

この2台は日本のクルマ社会の大きな転換点を象徴しているそうで、合わせて鑑賞するのがオススメだそうです。

3輪トラックの運転席は、エンジンがほとんど“むき出し”。
3輪トラックの運転席は、エンジンがほとんど“むき出し”。
トヨエースの車内は簡素ではあるものの、2名がちゃんと乗れる環境が整えられている。
トヨエースの車内は簡素ではあるものの、2名がちゃんと乗れる環境が整えられている。

「戦後間もない日本で業務用のクルマといえば、マツダ・三輪トラックに代表される、低価格で丈夫で、小回りが利く3輪自動車で、4輪のトラックは高価でした。しかし、トヨエースは部品の簡略化や低価格販売戦略などを行い3輪トラックの価格に近づけ、逆に3輪トラックはユーザーの快適性への要望に応え、ルーフ、ドアの追加、丸ハンドル化などを行い価格が上昇し、ついに値段が逆転。トラックの国民車と呼ばれるようになりました。」(次郎坊さん)

たしかに3輪トラックをみると、エンジンが運転席の下にむき出しになっており、乗り心地がよさそうではありませんでした。実際、高速安定性もよくなかったそうです。そんな中で登場したのが、4輪トラックのトヨエース。3輪トラックよりも快適で、価格面でも対抗しうる廉価な4輪トラックをトヨタが1950年代中旬に提案したことは、当時センセーショナルな出来事だったそうです。

トヨタ・カローラ レビン

現在でもクラシックカーのイベントなどで見かけることも多い同車。当時を懐かしむお客さんも多いみたいです。

1972年発売されました。カローラクーペのボディに当時セリカが搭載していた1600ccのDOHCエンジン(2T-G)を載せたホットモデルです。今でも人気で、当時を懐かしむお客様の他にも、若いお客様にも人気です。」(次郎坊さん)

トヨタ7(ターボ)

トヨタ7(セブン)は、トヨタが本格的にレース参戦を見据えて開発した最初のレーシングカー。同時に悲運のレースマシンでもあります。

「1970年の日本グランプリでの勝利を見据えて開発されました。当時のトヨタは、既存のクルマを競技用に改造したクルマでレースを行っていましたが、1966年の『第3回日本グランプリ』にはプリンスなどのライバルが、本格的なレースカーを開発したことで、トヨタも開発に乗り出しました。この車両はその3台目に当たり、ターボチャージャー搭載マシンとして期待されましたが、、日本グランプリ自体が中止になり、実戦投入されることのなかった幻のレースカーとなってしまいました。」(次郎坊さん)

トヨタ7のレーシングスピリットは今も「TOYOTA GAZOO Racing」に受け継がれ、今年の「ル・マン24時間レース」での優勝などに続いています。

トヨタGT-2000(後期型)

今や伝説とまで言われるようになった「トヨタ2000GT」。その誕生はトヨタの技術力を世界に示すものでした。

他社ではスポーツカーがメーカーの技術力の大きなアピールとなっていたため、トヨタも世界のメーカーに見劣りしない、まったく新しい車両を生み出そうとグランツーリスモの開発に乗り出しました。流線形のボディでリトラクタブル・ヘッドライトというデザイン。まだ、ドラムブレーキが主流だった時代にディスクブレーキ、ダブルウィシュボーンサスペンションを採用するなど、当時の最先端技術を多く取り入れたクルマです。」(次郎坊さん)

2000GTは、1万マイルもの距離を平均時速206.18kmで走り抜き、3つの世界記録や13の国際記録を更新したことにより、トヨタのイメージを高めたクルマとして、歴史を語る上で重要なクルマです。取材当日、東京・お台場のMEGAWEBに出張中だった、7位のスピードトライアル仕様は、まさにその記録を持つクルマのレプリカです。

トヨタMR2、トヨタ・セラ

この2台が3位と4位にランクインしたことは、トヨタ博物館のスタッフから見て意外だったそう。

「アンケートの結果では、女性の人気が非常に高かったですね。セラのガルウイングやMR2のミッドシップスポーツのデザインが、今になると斬新に見えるのかもしれません。セラは所有している女性が訪れて『今でも大切に運転しています』と言われたことがあります。」(次郎坊さん)

セラは、特徴的なガルウイングのドアが開いた状態で展示してありました。このドアこそ注目してほしい部分です。

デロリアンDMC-12

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシンに採用されたクルマといえば、名前を知らなくてもわかる人が多い同車。今さら説明不要かもしれませんが、1975年にゼネラルモーターズの副社長であったジョン・ザッカリー・デロリアン氏が、「俺の考えた最高のスポーツカーを作る」と独立して開発・生産されたクルマですが、実は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で人気が出たころにはすでに会社が倒産。幻のスポーツカーとなっていましたが、実は……。

「デロリアン社が倒産したとき、工場にたくさん部品が残っていたと言われています。そのおかげで今でも市場にかなり部品が出回っています。」(次郎坊さん)

展示スペースでは、同車の特徴であるステンレスボディを間近で見ることができるほか、内装も確認できます。内装が意外にシンプルに思えたのは、映画の印象が強すぎたから?

トヨタ2000 GTボンドカー

映画『007』シリーズでジェームズ・ボンドが搭乗する「ボンドカー」は、重要なプロダクト・プレイスメント(劇中広告)で、作品の舞台となった地域やその年の最新のクルマが採用されることで知られています。同車も1967年公開で、日本が舞台となった『007は二度死ぬ』で採用されたものです。しかし、聞いてみるともともとは別のクルマが候補だったとか……。

「日本で007が制作されるというのを開発者の河野二郎氏が聞きつけ、『ぜひ2000GTを使ってほしい』と直談判をしたのがきっかけ。もともとはシボレー・カマロの予定だったそうですが、日本が舞台ならば日本車にするべきだと交渉して、『オープンカーであれば』という条件で採用が決まったそうです。通常の2000GTにはないオープンカーとなった理由は、うしろからの撮影も可能とするため。2週間という短い制作期間だったので、窓や屋根の開閉はできません。フロントガラスは、実はアクリル製になっています」(次郎坊さん)

フロントガラスがアクリル製というのは、展示車をよく見るとわかります。ほかにも急遽オープンカーにしたことによる、手作りの部分が見られます。ちなみに次郎坊さんは「劇中でボンドは運転していなくて、ボンドガールのアキ役だった若林映子さんが運転しているんですよね。なので正確には『ボンドガールカー』なんです」と話してくれました。

「バックヤード収蔵車展 お客様が選んだ裏BEST10」は2019年4月7日(日)まで開催予定です。会場では当時の資料の展示などもあります。また、撮影もでき、博物館オススメのフォトスポット位置などの表示もあるので、クルマ好きなら楽しめること間違いなしです!

▼トヨタ博物館
住所:愛知県長久手市横道41−100
TEL:0561-63-5155
URL:http://www.toyota.co.jp/Museum/

(取材・文・写真:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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