ミリタリーカメラマンに聞く! アメリカ格安ドライブ旅行のススメ3 ~宿泊・食事編~
広大な国土を持つアメリカでのクルマ旅では、食事や宿泊場所をどうするかは気になるところ。「レンタカー編」「道路事情編」に続く今回は、ミリタリーカメラマンの布留川司さんに、アメリカでの失敗しない宿泊や食事の方法を聞きました。
食事はファストフードが無難。レストランはかなりの賭け!?
旅先では、“ご当地の味”を食べたいと思うものですが、アメリカだと状況はかなり違ってくるようす。
「食事は特にこだわりがなければファストフードチェーン、もしくはスーパーの『DELI(デリ)』が無難です。というのも、チップなど以前にレストランは“当たり外れ”が大きいから。20~30ドル払ってガッカリ……ということもよくあります。どこで食べても変わらないファストフードの方が、安心感はありますね」(布留川さん)
またレストランでは、メニューに写真がないのが一般的なため、「文字が読めても『シェフ自慢の○○』といったでき上がりの想像しにくいものはあまりおすすめしない」とのこと。
- アメリカのハンバーガーはボリュームたっぷり!
- デリはこんな感じ。特に中華料理系は外れが低くておすすめ
- 購入方法も簡単なため、ファストフード店は言葉に自信がない人にも安心
ちなみに、アメリカのファストフード店では、日本で言うドリンクバーのような飲み放題のお店が多いのだそうです。
「ファストフード店は、英語がわからない人にも対応してるのがいいところ。メニューを見て番号を言えば注文できるので、言葉に不安がある人も安心です。ただ、食べ続けると飽きるし太る可能性もあるので、デリでサラダとかヘルシーなものを探すことも、長い旅では必要になってきます」(布留川さん)
モーテルは宿泊の強い味方! 車中泊はNG
アメリカで、宿泊代を安く済ませたいならば、モーテルが一番です。日本でモーテルというと、いかがわしい場所というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、アメリカでは街道沿いのビジネスホテルのような扱い。店舗数がとにかく多いので、事前予約が不要なのも便利な点です。
「安いところで、1泊30~40ドル、ちょっといいところで70~80ドル。日本人の感覚からすれば、どこも部屋は広いので不満はないと思います。1店舗だけということはあまりなくて、ちょっと走れば別のモーテルもあるという感じ。都市部でなにかイベントがあるようなとき以外は、予約なしでそのまま泊れるので利用しやすいですね」(布留川さん)
広さはどこも十分だそうですが、あまりに安いモーテルの場合、部屋の環境はあまりよくないとか。その粗悪さは、レンタカーのグレードの比ではないそうです。
- モーテルの部屋。チェーン店だとだいたいこんな雰囲気
「基本的に安いところは環境もちょっと……。ベッドに寝たら身体がかゆくなったり、シャワールームで水しか出なかったり、そういう場所も平気であります。過去には、ベッドの下に注射器が捨ててあって戦慄したことも(笑)。モーテルに関しては、絶対にチェーン展開している系列店にした方がいいです。日本のビジネスホテルのように、全米で展開しているモーテルもあります。企業理念もしっかりしているので、著しく汚い部屋はありません。独立系の30ドルぐらいのモーテルは、映画みたいな雰囲気を体験したい人以外はやめましょう」(布留川さん)
クルマ旅での宿泊といえば、車中泊が可能かどうかは気になるところ。車中泊なら費用はかなり抑えられそうですが……。
「車中泊は、基本的にやらない方がいいです。特に都市部では、絶対にNG。犯罪に巻き込まれなくても、警官に怒られます。どうしても車中泊しなければならない状況のときは、『トラックストップ』というトラック運転手が給油や休憩をする場所で。緊急避難的に寝る分には、まぁ大丈夫だと思います。人の目があるし、トラック運転手は目的地に荷物を運ぶのが仕事だから、もめごとは起こしたくないので。売店やシャワールームがあるのも、助かる点ですね。日本のSA/PAに当たる『レストエリア』も、場所によっては夜間に警備員がいて、泊れるところもあります。でも、決しておすすめはできないですね。やっぱりよく怒られます(笑)」(布留川さん)
- ファストフード店などが入るトラックストップ
- 日本のSA/PAのようなレストエリア
犯罪率は日本よりも高いので注意をしてほしい
アメリカを旅するにあたっては、どんなにのどかに見える街でも、犯罪率は圧倒的に日本より高いので、モーテルにチェックインする際などもとにかく目立たないことが重要だそうです。それは、どのモーテルも、どんな人が泊っているかわからないから。
「たとえば、宿泊客とは無駄に目を合わさないとか、荷物入れるときに見えないように、目立たないというのは心がけてください。でも、向こうの人はフレンドリーだから、気軽に話してくる人もいます。そのときは、話は聞きつつも警戒を怠らない方がいいですね。あと、車上荒らしに遭わないようにクルマわざと汚くしておくのも手です。綺麗なクルマ、いいクルマほど狙われやすくなります。ちなみに、州によっては銃規制が緩いので、『当店は警察に連絡する前に撃ちます』なんて注意書きあるところもありますが、驚かないように(笑)」(布留川さん)
また当たり前の話ですが、よほどのことがない限り、夜の出歩きは控えるのが基本です。
「たとえば自動車の街として有名な街にデトロイトがありますよね、私は街中まで入ったことはありませんが、『通りによっては危険だから注意しな』と言われたことがあります。基本的には、夜は動かないことですね。日本の感覚ではありえませんが、普通の住宅地だったのにちょっと歩くとスラム街、ということもよくあることです」(布留川さん)
- 宿泊先のすぐ近くで撃ち合いがあり、警察が急行したこともあったとか……
なお、宿泊や食事もクレジットカード払いが基本だそうですが、長距離を移動する長期滞在では注意が必要とのことです。
「クレジットカードは2枚ぐらい持っていた方がいいですね。それぞれ、カード会社は違う方がいいです。また、長期間滞在かつ長距離移動となる場合は、カード会社に事前に報告してください。というのも、あまりに各地でカード払いをしていると『カードが盗まれたのでは?』と勘違いされ、カード利用が止められてしまうことがあるから。私も一度、経験があります」(布留川さん)
不便も多いけど自由なドライブ旅行は楽しい!
布留川さんの話を聞いていると不便な部分も多そうですが、クルマでのアメリカ旅行は時間に自由が利くことが最大の魅力だそうです。
「飛行機で移動するより安くて楽しいと思います。行き当たりばったりで行けるから、寄り道するのもいいですし。スーパーに行くだけでも、日本の大型ショッピングモールみたいなところがいっぱいあって楽しめます。私なんかクルマ旅を楽しむあまりレンタカーで数千キロ走って、返却時に『このクルマはガレージ行きだ』とよく言われます(笑)。言語に関しては、単語さえしっかり伝えられればどうにか通じます。一生懸命伝えようとすれば、向こうも聞いてくれますしね。私だって、今でも英語が怪しいことがありますから」(布留川さん)
注意すべきところはたくさんありそうですが、海外旅行に慣れた人ならドライブ旅行も楽しそう。レンタカーを借りての自由な旅、体験してみてはいかがでしょうか。
▼取材協力:布留川司
https://twitter.com/wolfwork_info
(取材・文:斎藤雅道 写真:布留川司 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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