【動画】フェラーリ348GTS 試乗インプレッション 車両紹介編

自動車ライター清水草一は、長年あこがれてきた「フェラーリ328」のほかにもう1台、「フェラーリ348」も所有している。なにゆえ“2台持ち”なのか? その経緯や愛車へのこだわりについて語る。

 

1989年から1994年まで生産された「348」というモデルは、フェラーリの中でとても影が薄い。「328」と「F355」という傑作にはさまれた、恵まれないフェラーリです。

実は、フェラーリのV8ミドシップモデルは、「ひとつ置きに失敗作と成功作を繰り返す」というパターンがありました。具体的には、「308」(失敗)→「328」(成功)→「348」(失敗)→「F355」(成功)→「360モデナ」(失敗)→「F430」(成功)という順です。異論もあるでしょうが、メカ的な完成度が“低い”“高い”と言い換えれば、ディープなフェラーリファンにも納得してもらえるでしょうか。

フェラーリは、フルモデルチェンジと言いつつ、2モデルごとにビッグマイナーチェンジで済ませてきたのです。308を改良したのが328、348を改良したのがF355、360モデナを改良したのがF430ということですね。つまり、2モデルごとに大きなトライをするものの、少量生産メーカーゆえに当初は完成度が足りず、次の代でやっと完成させていたのです。新しいモデルに飛びつくオーナーは、パトロン兼テストドライバーの役割を担っていた!ということにもなります。

私は、フェラーリの新車が買えるようなパトロンではないけれど、くしくも最初のフェラーリとして、「348tb」を中古で買いました。今から27年も前のことです。そして、栄えあるフェラーリのテストドライバーの一翼を(勝手に)担い、その欠陥ぶりを骨の髄まで味わうことになったのです。

具体的に何がどう欠陥だったのかは、動画を見ていただくとして、しかしその経験は、何物にも代えがたい貴重なものでした。

当時、フェラーリの悪口を書く人など誰もいなかった。「348」も絶賛されていた。ところが実際に走ってみたら、すさまじい欠陥車! それはものすごい発見でした。でも、その欠陥は、信じられないほど官能的なエンジンの魔力にかき消されてしまう。つまり、たまらなくセクシーな悪女のようなもので、知れば知るほど引き込まれたのです。

その「フェラーリ348」を、なぜ27年後の今、再び買ってしまったのでしょう? それもまた、動画を見てもらえればご理解いただけるものと期待しています。

(文:自動車ライター・清水草一)

[ガズー編集部]

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