【動画】ロールス・ロイス・カリナン 試乗インプレッション 車両紹介編
今回取り上げるのは「ロールス・ロイス・カリナン」。英国の超高級ブランドが初めて開発したSUVは、どんなクルマに仕上がっているのか? モータージャーナリスト島下泰久が解説する。
誰もが知る“超高級車”であるロールス・ロイスだが、実際に触れたことがあるという人は決して多くはないだろう。筆者自身も仕事でステアリングを握ったことがあるのは、21世紀に入ってからのモデルだけで、ましてやリアシートなんて、仕事でだってほんの一瞬しか体験した記憶がない。
それでもロールス・ロイスには、超高級車という確固たるイメージがあるだけに、カリナンが登場する際にも大きな騒ぎとなったのは記憶に新しい。しかも賛否両論というより「ロールス・ロイスまでついにSUVを出してしまうのか」といった、ネガティブな反応のほうが目立っていた気がする。
こうしたクルマは実際に高級であることと同じかそれ以上に、世間がそれを高級だと、加えてパワフルで、歴史があって、高価だと認識していることも重要だ。それだけにユーザーではない世間の反応も大事で、故にロールス・ロイスは開発中という看板を早くから掲げ、開発の模様をチラ見せし、世間に対してじっくりと時間をかけて地ならしをした上でクルマをデビューさせた。
かくして登場したカリナンは、見ての通り誰が見てもロールス・ロイスと呼べるものに仕上がっている。パルテノングリルをいただくフロントマスクは当然として、あえてスリーボックス風とされたサイドビュー、コーチドアの採用、そして言うまでもなく最高級の内外装の仕立て等々、どこを切り取って見ても期待を裏切らないものとされた。
こうした超高級車のマーケットが、いわゆる成熟国以外の国々にまで広がっていることを考えればなおのこと、出せば売れることは分かっていたロールス・ロイスのSUV。けれど、これだけのブランドになれば、そうした新しいチャレンジを本当の意味で成功させるには相応の根回しも必要だと、その導入プロセスは教えてくれた。まさにブランディングである。
今にして思えばロールス・ロイスは、BMW傘下となった時に、まず新生ロールス・ロイスが本物であることを世間に認めさせるというプロセスを踏んでいた。それと同じことがSUVへの進出でも繰り返されたのだ。いずれにせよ、クルマとして圧倒的に高級だからといって超高級車として成功するわけではなく、それだけにカリナンの存在感には畏敬の念すら抱いてしまうのである。
(文:モータージャーナリスト・島下泰久)
[ガズー編集部]
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