【動画】ホンダe 試乗インプレッション 車両紹介編

デビュー以来、ちまたで大いに注目を集めているホンダ初の量産型EV「ホンダe」。人気の理由はどこにあるのか? モータージャーナリスト森口将之がリポートする。

2019年のジュネーブモーターショーでデビューし、日本でも今年8月27日に発表されたホンダのコンパクトEV、その名も「ホンダe」の評価が、ここにきて急に良くなってきている。

デビュー当初は満充電での航続距離が283km(WLTCモード)にとどまることや、その割に価格が451万円もすることに不満の声が寄せられた。EVの航続距離は一般的にバッテリー容量に比例し、車両価格はそのバッテリー容量に比例する。その公式に当てはめれば高価だったからだろう。

ところが第1期の販売予定枠はあっという間に埋まり、メディア向けの試乗会では多くのジャーナリストが絶賛。さらにドイツのカー・オブ・ザ・イヤーを日本車で初めて受賞するに至り、この小さなEVに対する評価は急速に好転しつつある。

それを可能にしたのはやはり、デザインの力だろう。筆者は試乗会で説明を受けたあと、2020年11月に東京・青山で行われたデザインイベントのトークセッションを取材する機会にも恵まれた。そこでのエピソードをいくつか紹介しよう。

ホンダeに最初に与えられたコンセプトは、「欧州向けの小型EV」ということだけ。開発チームは答えを探しに北欧に向かった。このあたりの話は、すでにいくつかのメディアでも紹介されている。

以前は「北欧行き」の理由として、ノルウェーのオスロが世界で一番EVが普及した都市であることが強調されていた。しかし11月のイベントでは、国連が発表する“世界幸福度ランキング”でフィンランドが3年連続第1位になっていることも加えていた。

スウェーデンのストックホルムで、EVに乗る高齢女性の意見を聞いたエピソードも明かされた。子供のクルマを借りてきた彼女は、普段の生活空間との隔たりを感じていたとのこと。これがホンダeのデザインのヒントになったそうだ。

つまりホンダeは、単なるクルマとしてはデザインされていない。いわば“都市生活に4つのタイヤを付けたような存在”なのだ。イベントのファシリテーターを務めたインテリアスタイリストは、クルマの第一印象を「デザイン家電に近い」と評した。ネガティブな言葉に聞こえるかもしれないが、もちろん褒め言葉だ。

少し前までカーデザインの決まり文句として使われてきたエモーショナルという概念は、ホンダeにはまるでない。でもそんなホンダeを多くの人が称賛している。時代が移り変わりつつあることを、筆者は実感している。

(解説:モータージャーナリスト・森口将之)

[ガズー編集部]

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