【動画】レクサスIS300“F SPORT” 試乗インプレッション 車両紹介編
レクサスISは個人的に思い入れの深いクルマだ。レクサスブランドの国内展開が始まった2005年秋、当時の「GS」「SC」から約2カ月遅れて発売された初代レクサスISを私は購入し、短い時間ではあるが生活をともにしていたからである。
購入を考えたきっかけは、日本での新しい自動車ブランドの開業という、そうそう頻繁にはないであろう歴史的な瞬間を、間近で観察、体験したいという思いだった。実際その後、この国に新しい自動車ブランドは立ち上がっていないから、本当にいい経験ができたと思っている。
ラインナップの中からISを選んだのは、トヨタ自動車の士別テストコースでの発売直前の試乗の機会に、その美しい姿にほれ込んだからだ。夕方、自分の試乗パートを終えて高速周回路の一番内側の車線をスローダウンしながらピットに向かっている時、脇を駆け抜けていったISの夕日を浴びたリアビューのりりしさに「これしかない!」と即決したのだった。
あれから15年以上がたったのかと思うと驚くしかない。ともあれレクサスISというクルマが、あの時と同じくFRプレミアムスポーツセダンという立ち位置のまま、レクサスのラインナップの中で重要な位置を占め続けていること、そしてそれがこの時代に新しい姿へと生まれ変わる瞬間に立ち会えたことは、とても感慨深いものがある。
プレミアムという言葉の意味と価値が変化し、そしてまたセダンの存在意義も揺らいでいる今の時代。そこに新型ISが、ストレートに「走りのよさ」と「カッコよさ」というFRプレミアムスポーツセダンのド真ん中の価値を、剛速球で貫いてきたのは、とても痛快なことだ。
決して昔と変わらないというわけではない。実車を見て、そしてステアリングを握れば、それは一目瞭然である。
今の時代の要請、周囲のライバルたちの進化、そしてレクサス自身のブランドとしての成熟といった要素を正面から見据えつつ、しっかりアップデートを果たしてきたのが新しいISである。15年前よりも格段に成長した、そのさっそうとした存在感に、今回の試乗では本当にうれしい気分にさせられたのだ。
(文:モータージャーナリスト・島下泰久)
[ガズー編集部]
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