【動画】レクサスIS300“F SPORT” 試乗インプレッション 試乗編

大幅改良が施されたレクサスのFRスポーツセダン「IS」。ワインディングロードで2リッターのスポーティーモデル「IS300“F SPORT”」に試乗した島下泰久は、その走りに大いに感銘を受けたのだった。

新型ISは、車体の基本骨格を継続使用する“大幅なマイナーチェンジ”という体裁で登場した。それでいて走りの進化は非常に大きなものとなっている。

それを実現できたひとつの要因が「Toyota Technical Center Shimoyama」、いわゆる下山テストコースの存在だ。新型ISは、2019年に運用が開始されたこの新しいテストコースで徹底的に鍛え上げられた。

ここのカントリー路と呼ばれるコースは全長約5.3m。山間部の地形を生かした高低差は実に75mにも及び、つまり右に左にコーナーが連続するだけでなく、アップダウンも激しく、しかも路面はうねっていたりバンプが設けられていたりするから、クルマにもドライバーにも非常に負荷が大きい。

ご想像の通り、このレイアウト設定には世界屈指のテストコースであるニュルブルクリンクで得たノウハウが注入されている。いわば、国内に居ながらクルマを限界の先まで追い込んで開発できるのが、下山テストコースなのだ。

この絶好の舞台で、ISの開発チームは合宿形式で開発を進めたのだという。担当ごとに分かれての作業ではなく、皆が一体となっての開発は、スピードが速く、問題が起きても抜本的な解決に至りやすく、何より意思疎通が図りやすくチームの一体感が強まる。そうして実現されたのが、新しいISの、マイナーチェンジだということを忘れさせるほどの劇的な走りの進化である。

実は他の部分の開発も、すべてがそんな風に進められたそうだ。デザインに関しても、デザイナーだけでなく設計、生産部門などが一堂に会してチームとして話を進めていく。“カッコいいクルマ”は優れたデザインであるのはもちろん、それを具体化する設計、生産能力が伴わなければ実現できないのだ。

マイナーチェンジでも、素材の持ち味をフルに引き出すことができれば、素晴らしいクルマが生まれるんだと、新型ISに乗ると実感できる。逆に、それができるという確信があったからこそ、今回はフルモデルチェンジではなくマイナーチェンジを選んだのだろう。

とにかく先入観は無用。今どき、こんなすがすがしいほどに「カッコよさ」と「走りの楽しさ」が具現されているクルマ、他にはそうはないと、実車に触れればきっと納得できるはずだ。

(文:モータージャーナリスト・島下泰久)

[ガズー編集部]

【動画】レクサスIS300“F SPORT” 試乗インプレッション 車両紹介編

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