新型アクアの注目すべき機能・装備を島下泰久がチェック
2011年にハイブリッド専用車としてデビューしたトヨタ・アクアは、実は個人的にはとてもお気に入りの一台だったりする。購入こそしなかったが、出張などに行った際にレンタカーを借りるときには必ず第1候補として指名する存在だった。
燃費が素晴らしく良いというのも、もちろん理由の大きな部分を占めるのだが、決してそれだけで選んでいるわけではない。ルックスを含めたその小気味よい存在感、そして走りの楽しさが、ついついアクアを選ばせるのである。
もともとはハイブリッド専用車として生み出されたアクアにとって、いずれも主眼とした性能ではないだろう。最も重視されていたのはおそらく燃費であり、車重の軽さや、コンパクトでキャビンを“上すぼまり”の形状としたフォルムなどは、あくまでそのために導き出されたものだったはずなのだが、結果としてそれらは限られた寸法でギリギリまでスペースを追求するクルマたちのなかで、ちょっと目を引くルックスになっていたり、軽快な走りの楽しさにも直結していたりした、というわけだ。
初代アクアが、10年にもわたるロングセラーとなったのは、燃費の良さだけが理由ではないとにらんでいる。きっと私と同じように、それだけではない価値を認めたという人、想像以上に多かったに違いないと思うのだが、どうだろうか。
実際、アクアは大ヒットモデルとなり、売れているということで予算もついたのだろう。モデルライフの途中には幾度もマイナーチェンジが行われて、デザインや走りに磨きをかけていった。そうやって走行性能や乗り心地が改善されれば、またそれが販売を加速させるという好循環が生まれる。実際、アクアに乗っていて車検のタイミングを迎えたユーザーが、ほかのクルマには目もくれず最新のアクアへと乗り換えるという事例、非常に多かったという話である。
その意味でアクアは、まさにひと世代にして定番としての地位を確立した存在と言っていいだろう。しかしながらトヨタはそこに安住するのではなく、今回初のフルモデルチェンジに際して、コンセプトから刷新してきた。見た目の雰囲気は似ていて、見ればすぐにアクアだと分かる。ハイブリッドのうま味をフルに生かした存在だという意味でも変わらない。けれど中身は、相当に攻めているのが新型アクアなのだというのが、まず出会ってじっくりチェックしての印象だったのだ。
(文:モータージャーナリスト・島下泰久)
[ガズー編集部]
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