日産アリア 見た目も独特だが、その装備は?
2022年の春からようやく予約していた方へのデリバリーが始まったという日産アリア。初披露は確か2020年7月のことだったから、なんと1年半以上も待たされたことになるが、幸いだったのはそのデザインやハードウエアが、いまだにまったく色あせたりしていなかったことだ。
ワンモーションのフォルムに大径タイヤを履くクーペSUV的なフォルムのアリアには、先に市場投入された「ノート」や「ノート オーラ」、そして発表されたばかりの軽BEVである「サクラ」とも共通する、繊細さと未来感が同居したテイストが与えられている。コンセプトは「タイムレス・ジャパニーズ・フューチャリズム」。確かに、言われてみれば日本的である。
キーを持ってクルマに近づくとドアが自動的にアンロック。車内に入ると、タッチ操作可能な大型ディスプレイが今っぽい雰囲気を醸し出す一方で、全体にはとてもスッキリとした印象だ。このデザインも、やはり日本の“間”を意識したものだという。
エアベントは横一線に配置され、物理スイッチは極力排されている。空調の操作系はウッド調パネルに、触れると指先に振動が伝わり操作感となるハプティックスイッチが埋め込まれたかたちだ。ドアトリム、可動式センターコンソールの奥にはめ込まれた照明は、ラジエーターグリルなどに使われている組子パターンを踏襲したもので、これまた日本的といえるのだが、決してベタなものにはなっておらず、ちゃんとモダンなのが好ましい。
このスッキリ感の理由は、デザインだけではなく、実は空間としてもとても余裕があるおかげである。アリアでは、新プラットフォームのメリットを生かして、場所をとるエアコンユニットを床下の電気モーターの脇にレイアウトすることで、前席周辺、特に足元のスペースを大幅に拡大することができたのだという。
機能も充実している。最新の音声認識機能は自然な言葉で語りかけるだけでさまざまな操作を可能としているし、Amazon Alexaを搭載しているので、クルマの中から自宅の家電のコントロールまでできてしまう。しかも、これらのソフトウエアはリモートでアップグレードできるから、当面は古びることなく使い続けられるという具合だ。
もちろん、もっと早く出ていてくれればよかったとは思う。けれどアリア、繰り返しになるが、いまだ色あせることなく非常に魅力的な一台となっている。そうあらためて感じられるのである。
(文:モータージャーナリスト・島下泰久)
[GAZOO編集部]
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