日産 エクストレイル タフさに加えて上質さも追求している内装/外装をレポート
エクストレイルと聞いて、「タフギア」というキャッチコピーを思い出すのは僕だけではないはずだ。2000年にデビューした初代は、ゴツゴツ感を残したたくましいデザインと、電子制御4WDの高度な悪路走破性を併せ持ち、10年連続国内SUV登録台数ナンバーワンを達成した。
クリーンディーゼル搭載車を設定した2代目も思想は不変。ところが3代目は、ハイブリッド仕様の追加とともに、アーバンSUVへとコンセプトを変えた。その後、国内での人気がいまひとつになったのは、これが理由ではないかと思ってきた。
なので、通算4代目になる新型のコンセプトが「タフ×上質」と、クオリティーアップを狙いつつ先祖返りもしたことには好感を抱いた。デザインも例外ではなく、以前話を聞いた同モデルのデザイナーは、「シルエットはスクエアに戻した」と言っていた。
とりわけたくましさを感じるのはフロントマスクで、最近の日産車のアイデンティティーである“Vモーショングリル”をブラックアウトし、上下2段のヘッドランプを組み合わせている。一方で上質感が伝わってくるのが、水平基調で前後フェンダーの抑揚も控えめなボディーサイド。大きく盛り上がったフロントフェンダーで躍動感を強調していた先代とは対照的だ。
今回の試乗車のインテリアは、オプションのナッパレザーシートを装着した仕様だった。ブラックとベージュの2トーンは、これまでのエクストレイルのカジュアルな雰囲気から脱却し、コンセプトどおり上質な空間を表現できていると感じた。
外観と同様に水平基調のインストゥルメントパネルは、 電気式セレクターレバーの採用によりセンターコンソールを上下2段にしたり、エアコン温度やオーディオ音量の調節をダイヤルとして残したりと、使い勝手についての良心的な配慮が目立つ。ボディーサイズは先代とほぼ同じだが、リアシートは前後スライドが20mm増えて260mmになったおかげもあり、身長170cmの僕なら足が組める。先代では望めなかったハイブリッド+3列シートも実現した。
新型エクストレイルのデザインはモダンであるだけでなく、クオリティーも高く、エクストレイルらしさもあって、実用性にも配慮している。「ノート」や「アリア」など、最近の日産車とのつながりも感じる。多くのライバルがひしめくなかでも“デザイン買い”したくなる魅力を持っていると思った。
(文:モータージャーナリスト・森口将之)
[GAZOO編集部]
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