日産 エクストレイル 日産独自の技術がふんだんに詰め込まれた上質な走りと使い勝手を森口将之がレポート

さまざまなSUVを知るモータージャーナリスト森口将之が、ステアリングを握って太鼓判を押す新型「日産エクストレイル」。その走りのよさを支える、注目すべきテクノロジーとは?

デザイン以上に新型エクストレイルで注目なのがメカニズムだ。コンパクトクラスの「ノート」や「キックス」に続き、全車、エンジンで発電した電気で走る「e-POWER」を採用。4WDはプロペラシャフトのない2モーター式になり、走行状況に応じて4輪の駆動力を電子制御する「e-4ORCE」も搭載されているのだ。

しかも発電をつかさどるエンジンは、日本市場には初投入となる、可変圧縮比機構採用の1.5リッター直列3気筒ターボ、通称「VCターボ」なのである。これは、ピストンの上下の動きを回転に変える従来型のクランクに代わり、複数のリンクを採用してそれを電子制御するもので、巡航時には圧縮比を高くして燃費を稼ぐ一方、加速時は逆に圧縮比を落とし、ターボの力を発揮できるようにするというものだ。

言葉にするだけでも複雑なメカニズムであり、音や振動が気になると予想する人もいるだろう。しかし、海外向けでは数年前から市販されているとおり、実際は驚くほど洗練されていた。そもそも静粛性が高いので、エンジンが回っているかどうかさえ、耳を澄まさないとわからないし、回り方は3気筒らしからぬ滑らかさで、圧縮比を変えている様子など全然わからない。

多くのハイブリッド車とは違い、急加速時でもエンジンの回転は急に跳ね上がるようなことはなく、車速の上昇とシンクロした自然な印象だった。圧縮比の可変システムとターボの組み合わせが、発電用エンジンとして自然なマナーを手に入れていることが確認できた。

メカニズムにおけるもうひとつのトピックは、電動4輪制御技術のe-4ORCEだ。前後輪それぞれをモーターで回していることを生かし、4輪の駆動力をきめ細かく変化させることで、舗装路での加減速やコーナーでもスムーズな走りを提供するというものだ。

コーナリングでの効果はテストコースや雪道でないと体感しにくいかもしれないが、加減速のギクシャク感を解消してくれる制御は普通に走っていても体感できる。しかもドライブモードには「オート」「スポーツ」「エコ」のほか、「スノー」や「オフロード」もある。今回は試していないが、初代以来定評のあるオフロードでの走破性も十分期待できそうだ。

そして僕は、日産が新型エクストレイルで先進技術それ自体を誇示するのではなく、乗る人の安全や快適につなげていることに感心した。これこそ“技術の日産”だと評価したくなった。

4代目エクストレイルの仕上がりは、初代のようなベストセラーSUVの座に返り咲くのではないかと思えるほど。機会があれば、その実力をぜひ試していただきたい。

(文:モータージャーナリスト・森口将之)

[GAZOO編集部]

他の試乗記情報はこちら

MORIZO on the Road