レクサスLM６人乗り 豪華で快適な究極のファミリーカー

先日、東京・六本木のあたりを歩いていて、異様なオーラを放つクルマの存在を感じてよく見てみれば、そこには「レクサスLM」が鎮座していました。ドライバーは、決して派手ではないものの、仕立ての良さが伝わってくるお召し物をまとったマダム。その組み合わせで六本木の高層ビルの傍らにちょっと停車しているだけで、何という存在感なのだろうと驚くほどのたたずまいでした。

レクサスLMが「トヨタ・アルファード／ヴェルファイア」と多くのコンポーネンツを共有していることはクルマ好きなら知るところだと思いますが、LMをポンと買える方々にとっては、それはどうでもいいことなのかもしれません。

アルファード／ヴェルファイアも十分高級なクルマで、エクステリアやインテリアの豪華さだけでなく、車内の静粛性や快適性など、非の打ちどころがないモデルです。価格帯も上がってきてはいるものの、この性能でありながらガソリン車は540万円から、ハイブリッド車は620万円からという良心的な（？）値づけ。もちろん安くはありませんが、がんばれば手が届くと思えそうですよね。

一方、LMの価格は1500万円から。「そんなに価格差があるの？」とひっくり返ってしまう人もいるかもしれませんが、実物に触れてみて、それくらいでなければLMとしての意味がないとすら感じられました。

アルファード／ヴェルファイアは、すでに高級ミニバンとして確立されており、所有していることで一定のステータスを得られるモデルだとは思います。例えば、私が生まれ育った地方の街では、ご近所さんが乗っていると「あのお家はお金持ちなんだね！」と、誰にでも認識してもらえるような認知度になっています。

しかし、多くの人が買おうと思えば買えるというのも事実。その点、このLMは、圧倒的な価格と存在感で、他のモデルを寄せ付けない頂点に立っている。試乗を通して、日本のミニバンは真のショーファーカーとしても、さらなる一歩を踏み出したと実感できました。私にとっては、縁遠い世界の話ではありますが……。

（文：自動車ライター・伊藤 梓）

伊藤 梓さんが解説するレクサスLMの注目ポイント