【マツダ CX-5 試乗】ディーゼル車とガソリン車、「走り」で選ぶなら…会田肇

マツダ CX-5 新型。写真はディーゼルの「XD」
◆欧州SUVと充分競合できる高品質さを備えた

初代モデルが登場してから5年、すべてをアップデートした2代目『CX-5』が発売となった。人気が高かったデザインコンセプトを引き継ぎながら、ノーズを長くしてよりスタイリッシュさをアップ。インテリアの質感も大幅にアップしてプレミアム感を高めた2代目を試乗した。

試乗したのは2.5リットルガソリンの「25Sプロアクティブ4WD」と、2.2リットルディーゼルターボは「XDプロアクティブ2WD」を選んだ。乗り込んでまず感じるのはインテリアの質感が素晴らしくレベルが上がったことだ。手に触れる上質なインテリアは国産競合車をはるかに超えるもので、価格的に桁が違う欧州車と並べても何ら遜色ないレベルに仕上がっているのだ。

各スイッチ類の操作感も良好で、ダイヤルを回したときの感触も適度な重みがあって心地いい。試乗車のシートはオプションのパワー機構が備わっていたが、シート自体は標準のファブリック。手触りも良く滑りにくい素材となっている。リアシートには全車にリクライニング機構が付き、最上位グレードの「Lパッケージ」にはヒート機構もプラスされる。

エンジンをONするとフロント前方にヘッドアップディプレイ(HUD)が浮かび上がった。HUDはこれまでダッシュボード上にコンバイナーを立て、そこに投影するタイプだったが、正直に言えばチープさを感じることもあった。それが2代目ではフロンドウィンドウに直接投影するタイプとなり、ここでも欧州SUVと遜色ない装備となったと言っていい。

マツダコネクトが映し出されるディスプレイはサイズこそ従来と同じ7インチだが、コントラスト感が高まって一段と見やすさを増している。ただ、コントローラーは従来と同じで、回転以外に前後左右に対応するだけにとどまっている。

◆静粛性も高まり、太いトルクが常用域での使いやすさを発揮

試乗コースは、横浜・みなとみらい地区から首都高速を使い、一般道で帰ってくるルートを繰り返した。シャシーで大きく進化したのは、「G-ベクタリング コントロール(GVC)」の採用にあるが、それ以外にもフロントダンパーやブッシュ類の改良などが行われている。この成果もあって、バタつかずフラット感のある乗り味に仕上がっている。

ここで特にしっかりとした乗り味を見せたのがディーゼル車の方だった。両車ともステアリングは全体に軽めな仕上がりだが、ディーゼル車は高速走行時のつなぎ目も柔軟に受け止める。ガソリン車の方はつなぎ目でやや弾む印象があり、開発者によればサスペンションのセッティングは同じとのことで、この辺りはエンジン単体の重量差が影響しているのかもしれない。

高速走行時の直進安定性はかなり高く、修正をほとんどする必要がない。これもGVCの効果だろうと思われる。コーナリングではグリップ感がしっかりと伝わってくる安心さを感じさせる。ただ、少し高めのスピードでコーナーへ入っていくと、ステアリングの軽さと車高の高さが災いするのかステアリングの動きに過敏に反応する傾向もあった。

加速フィーリングでもディーゼル車のトルクの太さが際立った。発進時から力強さを感じさせ、高速域まで一気に加速する。ガソリン車の方は高回転までキレイに伸びて軽快感は感じられるものの、トルクの力強さではディーゼル車には敵わない。とくに街中で走ることが多い場合は明らかにディーゼル車に分がある。ただ、ディーゼル車は旧型に比べてノック音は抑えられているが、アイドリングや走り出したときのノイズ感はガソリン車の方が小さい。とはいえ、旧型に比べたらディーゼル車も大幅に静粛性が高められており、高速走行時でも十分な静粛性は保たれている。

また、安全装備面で進化したことも大きなポイントだ。アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)はマツダで初めて全車速域で対応可能となり、ブラインドスポット モニタリングやレーンキープアシストなども搭載。停車時に足を離しても停車状態が続くオートホールド機能がブレーキ機構に追加されたのも嬉しい。デザインや走り、装備のすべてが大きく進化を遂げた2代目は、プレミアムなSUVとしての魅力をいっそう高めたことは間違いない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

会田 肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴い新型車の試乗もこなす。 

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