【スズキ ワゴンR スティングレー 試乗】現行軽自動車の頂点にあるモデル、とは褒めすぎか?…中村孝仁
NA、マイルドハイブリッド、それにターボという3種のエンジンバリエーションがある新しい『ワゴンR』。パーソナルなイメージの強い『スティングレー』に用意されるのは、マイルドハイブリッドとターボである。
今回試乗したのは、ターボエンジン搭載車。実は先代のターボ車には、今回からハイブリッドと呼ばれるようになったSエネチャージは装着されていなかった。ところが今回は、ターボ車にもこのハイブリッドシステムが装備される。というわけで、従来もターボ車の走りは中々力強く、これならば敢えて小型車じゃなくて、軽でもOKと思っていたものがさらにそれに拍車をかけた形。しかも、ライバルの中においてもFWD車は165万8880円という価格である。
さて、スタイルの話からしよう。サイドビューが日本で一番人気のミニバンを彷彿させる話は、ハイブリッド車の試乗でもした通り。スズキのクルマはよく、売れてるクルマのいいとこどりをデザインに反映させる傾向にある。人気車『ハスラー』のHマークとその文字は、今は無きハマーのエンブレムにそっくりだし、今回のワゴンRの場合、サイドビューもそうだがスティングレーのデザインでは、ヘッドライトはどことなく、キャデラック風だし、グリルは今や旧世代となった上下分割グリルのシボレーを彷彿させる。
そういや、名前のスティングレーだって、シボレー『コルベット』のそれと一緒だ。まあ、それで全体がまとまっていて、良いデザインに見えれば何の問題もないと思うので、これはスズキ・デザインの勝利かもしれない。
ターボパワーによる恩恵は、馬力よりもトルク。NAモデルは60Nmであるのに対し、ターボは98Nmと実に5割以上のトルクアップを果たしている。しかも今回の場合、50Nmのトルクを持つモーターが発進加速もアシストしてくれるわけだから、従来よりも遥かに良好な加速感が得られているのは道理なのである。モーターアシストは100km/hまでの加速時に使えることになっているから、事実上高速道路の制限速度までは、アシストされているというわけ。
現実的な話をすれば、高速道路上の流れに乗って追い越し車線を走ると、ここから先はエンジンパワーだけでも十分という印象を受けた。そして高速でも従来よりはるかに静粛性が高く、快適だ。今回リアサスペンションは新たにトーションビームアクスルに改められて(FWDのみ)軽量化が図られている。バネ下重量がそれによって軽減されたかどうか定かではないが、ドシッと安定感のある乗り心地を持っているのはサスペンションと新たなプラットフォームの相乗効果かもしれない。
水平基調を強調したインテリアデザインは、今回からセンターメーターが採用されて、確認すべき計器類は、ナビなども含め、ボディ中央に集約されている。おまけにオプションだが、ヘッドアップディスプレイも装備されるので、目線の横移動が嫌な人は、最低限の情報はヘッドアップディスプレイからも得られる。スティングレーの場合、黒ベースのダッシュボードにその水平基調をさらに強調する赤いピンストライプが入れられている。ターボ車の場合、パドルシフトも装備されて、7速のマニュアル操作も可能だ。車高や地上高はNAハイブリットモデルと同一だが、タイヤサイズはNAの155/65R14から、165/55R15と大型化していて、乗り味はNAモデルと比較して一段と引き締まった印象を受けるが、決してゴツゴツと硬いという印象ではなかった。
総じて、新しいワゴンRスティングレーはその性能、乗り味、装備、コストパフォーマンスなどの点で、現行軽自動車の頂点にあるモデルと言って過言ではない。褒めすぎか?
■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
(レスポンス 中村 孝仁)
今回試乗したのは、ターボエンジン搭載車。実は先代のターボ車には、今回からハイブリッドと呼ばれるようになったSエネチャージは装着されていなかった。ところが今回は、ターボ車にもこのハイブリッドシステムが装備される。というわけで、従来もターボ車の走りは中々力強く、これならば敢えて小型車じゃなくて、軽でもOKと思っていたものがさらにそれに拍車をかけた形。しかも、ライバルの中においてもFWD車は165万8880円という価格である。
さて、スタイルの話からしよう。サイドビューが日本で一番人気のミニバンを彷彿させる話は、ハイブリッド車の試乗でもした通り。スズキのクルマはよく、売れてるクルマのいいとこどりをデザインに反映させる傾向にある。人気車『ハスラー』のHマークとその文字は、今は無きハマーのエンブレムにそっくりだし、今回のワゴンRの場合、サイドビューもそうだがスティングレーのデザインでは、ヘッドライトはどことなく、キャデラック風だし、グリルは今や旧世代となった上下分割グリルのシボレーを彷彿させる。
そういや、名前のスティングレーだって、シボレー『コルベット』のそれと一緒だ。まあ、それで全体がまとまっていて、良いデザインに見えれば何の問題もないと思うので、これはスズキ・デザインの勝利かもしれない。
ターボパワーによる恩恵は、馬力よりもトルク。NAモデルは60Nmであるのに対し、ターボは98Nmと実に5割以上のトルクアップを果たしている。しかも今回の場合、50Nmのトルクを持つモーターが発進加速もアシストしてくれるわけだから、従来よりも遥かに良好な加速感が得られているのは道理なのである。モーターアシストは100km/hまでの加速時に使えることになっているから、事実上高速道路の制限速度までは、アシストされているというわけ。
現実的な話をすれば、高速道路上の流れに乗って追い越し車線を走ると、ここから先はエンジンパワーだけでも十分という印象を受けた。そして高速でも従来よりはるかに静粛性が高く、快適だ。今回リアサスペンションは新たにトーションビームアクスルに改められて(FWDのみ)軽量化が図られている。バネ下重量がそれによって軽減されたかどうか定かではないが、ドシッと安定感のある乗り心地を持っているのはサスペンションと新たなプラットフォームの相乗効果かもしれない。
水平基調を強調したインテリアデザインは、今回からセンターメーターが採用されて、確認すべき計器類は、ナビなども含め、ボディ中央に集約されている。おまけにオプションだが、ヘッドアップディスプレイも装備されるので、目線の横移動が嫌な人は、最低限の情報はヘッドアップディスプレイからも得られる。スティングレーの場合、黒ベースのダッシュボードにその水平基調をさらに強調する赤いピンストライプが入れられている。ターボ車の場合、パドルシフトも装備されて、7速のマニュアル操作も可能だ。車高や地上高はNAハイブリットモデルと同一だが、タイヤサイズはNAの155/65R14から、165/55R15と大型化していて、乗り味はNAモデルと比較して一段と引き締まった印象を受けるが、決してゴツゴツと硬いという印象ではなかった。
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